【三菱電機】杉山社長が辞任 なぜ不適切検査が何度も相次ぐのか? 

「社長の任にあり続けることが全てのステークホルダーの皆様からご理解を得られるのかどうか、わたしも何度も自問した。社長の職を辞し、新たな体制で信頼回復に取り組んでいくことが必要との判断に至った」

 三菱電機社長の杉山武史氏はこう語り、同社で不適切検査が相次いでいることの責任をとって辞任することを表明した。

 今回発覚したのは、長崎製作所(長崎県時津町)で製造していた鉄道車両用の空調装置。冷房の消費電力試験で異なる温度や湿度による試験を実施するなど、1980年代から30年以上に渡り、空調機の安全性や性能に関して、実際に検査していないにも関わらず、8万4600台の空調装置を出荷していた。

 三菱電機が品質検査データを改ざんしたのは、今回が初めてではない。2018年以降だけでも、ゴム部品の製造子会社がグループの品質基準検査をしないまま製品を出荷したり、パワー半導体の品質検査で顧客と取り交わした基準でない検査のまま製品を出荷していた問題なども明るみになっている。

 同社ではこうした問題が起こる度に再発防止策を公表し、対応に当たってきた。しかし、ここまで品質不正問題が相次ぐと、再発防止策が機能したとはとても言えない。一部では事業部の独立性の高さを問題視する声もあり、「工場や事業部が違えば、隣の社員が何をやっているかなど誰も把握できていない」(グループ関係者)という声も出ている。

 また、新入社員の自殺や長時間労働による過労自殺が相次いでいることとの関連性を指摘する声もある。実際、杉山氏も「課題や問題が発生した時に、上司と部下、同僚、周囲の者との情報共有がうまくできなかった。これは労務問題、今回の品質問題で通じる部分があり、根っこの部分では同じものがある」と話しており、同社は抜本的な体質改善が不可欠だ。

 今年2月に創立100周年を迎えた三菱電機だが、今回露呈したのは”三菱ブランド”に胡坐をかいた当事者意識の無さ。組織的な不正を長年続けてきた現場の劣化、そして現場を把握できなかったトップ双方の責任が問われている。

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