【農林水産省】サンマやサケが深刻な不漁で漁業経営の「兼業」を提言

水産庁が設置した有識者検討会は、サンマ・スルメイカ・サケが深刻な不漁に直面していることを受け、マイワシなど資源量が増えている複数の魚種を狙う兼業的な経営に転換することを促す報告書をまとめた。不漁が長期化する可能性が高い中、漁業所得の維持には、リスク分散を図ることがカギとなる。

 同庁によると、2019年の3魚種の漁獲量は、不漁が顕在化した14年比74%減の14万2000㌧と大きく落ち込んだ。報告書は3魚種に共通する漁獲不振の理由として地球温暖化の進行を挙げた。海水温上昇により、サンマの日本周辺の来遊量が急減し、スルメイカの卵の量も大きく減った。サケは稚魚の生存率が低下している。

 水産物は通常、不漁と好漁を周期的に繰り返すが、3魚種の不振は長期化しつつあり、報告書は「これまでにもあった短期的な不漁とは異なる状況が生まれている」と強調。地球温暖化への対処方針が定まっておらず、不漁がさらに継続する可能性に言及した。

 サンマとスルメイカの資源量は外国漁船による乱獲の影響もある。中国や台湾の漁船が公海でサンマを大量に漁獲。日本海に生息するスルメイカは常に中国の密漁船に狙われている。日本は資源管理のさらなる強化に加え、違法操業の取り締まりを徹底する構えだ。

 そこで浮上しているのが、不漁の長期化を見越して複数の魚種を取る操業形態への転換。国内漁業は単一魚種に頼りがちだが、報告書はサンマ船がマイワシなどを漁獲して経営を安定させる取り組みなどを紹介している。養殖などとの兼業も促し、資源変動に堪えられる経営体制の構築を急ぐ。

 ただ、既にマイワシを取っている漁業者からすると縄張りを荒らされることを意味するため、調整が難航する可能性もある。

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