人事評価システムの中には、360度評価に対応している製品も多く見られます。360度評価とはどのような手法で、どういうメリット・デメリットがあるのでしょうか。

本稿では、360度評価の概要と評価方法、実施目的などの基礎知識について整理し、360度評価のメリット・デメリットと360度評価が可能な人事評価システムを選ぶポイントについて解説します。360度評価が利用できるおすすめの人事評価システムも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

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360度評価システムとは

360度評価システムとはどのような人事評価システムなのでしょうか。簡単に概要を説明します。

1、360度評価は人事評価手法の1種

360度評価は、人事評価手法の1種です。人事評価システムで採用されている人事評価手法の主流はMBO(業績目標)評価です。しかしその他にもコンピテンシー評価やOKRなど、最新の人事評価手法を取り入れている製品も多く見られます。人事評価システムでサポートしている主な人事評価手法の概要は以下の通りです。

人事評価手法 概要
MBO(業績目標)評価 従業員個人・組織ごとに目標を設定し、目標の達成度で評価を決める手法
コンピテンシー評価 職務ごとに定義された行動特性(コンピテンシーモデル)を元に人事評価を行う手法
OKR MBOと似ているがより挑戦的な目標設定(達成度60~70%)を行う手法
1on1ミーティング 上司と部下が1対1で行う対話手法
正確には人事評価手法とは違うが、人事評価の補助的な位置付けで対応している人事評価システムが多い

360評価は、これらの人事評価手法とはまた違ったアプローチで人事評価を行う手法です。

2、人事評価システムの多くは360度評価に対応

360度評価は、人事評価に関わる人が多くなるため、手作業で行うと非常に手間がかかるという弱点があります。しかし、人事評価システムを利用すると、360評価にかかる手間がかなり軽減されることもあり、製品の多くは360評価に対応しています。

では、なぜ360度評価は関係する人が多くなるのでしょうか。次に、360評価の概要について解説します。

そもそも360度評価とは

360度評価とは周囲評価とも呼ばれ、対象者に対する評価者を複数人設定して、複数の視点から評価を行う人事評価手法です。

従来、評価者は対象者の上司1人だけでした。しかし、1人だけの評価では、どうしても評価者のバイアスがかかります。そのため、評価者を上司だけでなく部下・同僚・社外の顧客など、対象者と仕事上関係のある人たちも評価を行い、より公平な評価を目指します。

1、360度評価の方法

360度評価の方法は、主に以下の流れで行います。

  1. 複数の視点を通して対象者を評価
  2. 日頃の行動に対するフィードバック
  3. 認識のギャップの明確化

上司・部下・同僚など複数の評価者が、対象者を評価します。評価の際は、対象者に対して日頃の行動に対する意見や助言を記入できます。

評価実施後、対象者は評価結果から、日頃の行動に対する意見や助言を確認し、自身の認識と周囲の評価とのギャップを認識。自分の長所を伸ばし、短所を把握してどう対処すれば良いかを考えて行動に移します。

2、360度評価を実施する目的

360度評価を実施する目的は、経営者・人事部門・従業員それぞれ以下の通りです。

立場 目的
経営者 従業員のモチベーション向上による業績改善
人事部門 複数の評価によってより適正な評価情報を得る
より効果的な人材育成や配置
従業員 複数の視点からより客観的な評価と助言を得る
より公平な評価によるモチベーション向上

経営者・人事部門・従業員と立場の違いにより目的は異なりますが、最終的な目的は、従業員のモチベーション向上や効率的な人材活用による業績改善です。

ここまでが360評価の概要です。次に、360度評価の評価項目の例を紹介します。

360度評価の評価項目例

管理職と一般の社員は、求められる役割や能力が異なります。360度評価の評価項目例として、管理職の場合と一般社員のケースに分けてまとめました。

1、管理職の場合

管理職の場合は、部下や業務のマネジメント力が問われます。管理職向けの評価項目例は以下の通りです。

評価項目 評価内容
リーダーシップ 目標達成や課題解決に対して率先して行動しているか
組織目標を明確に示しメンバーと共有しているか
組織作り 組織運営のためのコミュニケーションや改善を積極的に行っているか
組織目標を達成するための組織作り・組織運営を推進しているか
部下の育成 部下の適性を正しく把握し適切な業務を与えているか
部下の目標設定を適切なものにするよう積極的に支援をしているか
目標達成に必要なアドバイスをしているか
自己啓発 管理職として求められるスキルを身に付ける努力をしているか
部下の手本となり指導できるだけの知識やスキルを持っているか

他にも、対外交渉力やクレーム処理、財務知識や顧客との関係性など、必要に応じて評価項目を追加します。

2、一般社員の場合

一般社員の評価項目は、業務上必要となる知識・スキル、仕事に取り組む姿勢などになります。仕事の結果・成果のような数値目標も評価対象ですが、360度評価では、仕事のプロセスを重視して評価します。一般社員の評価項目例は以下の通りです。

評価項目 評価内容
主体性 指示待ちではなく、自分から課題を見つけて行動しているか
トラブル発生時も積極的に対応しているか
解決力 常によりよい解決方法を検討して実践しているか
トラブル発生時における原因究明を積極的に行い、最善の解決策を考え、実行しているか
業務遂行力 与えられた業務に対し、ゴールを見据えて計画的に実行できるか
ステークホルダー(会社・顧客など)に利益をもたらすことを考えて業務を遂行しているか
協調性 組織の円滑な運営に協力し、組織内のメンバーとスムーズな連携を取れているか
メンバーとよくコミュニケーションを取り、助け合えているか

後は、職種によって営業力や技術力、クレーム対応や情報収集力などの評価項目を追加します。

360度評価が可能なおすすめの人事評価システム7選

人事評価システムの中から、360度評価に対応しているおすすめの7製品を紹介します。各製品の特徴を確認して、自社に合った製品を見つけてください。

オンライン上で360度評価を進められる「CYDAS PEOPLE 人事評価」
株式会社サイダス

POINT
  • 参考価格:別途問い合わせ
  • 提供形態:クラウド / SaaS / ASP
  • 無料トライアル:あり
  • 集計・分析機能:あり
  • 評価項目の編集:可能
  • 他の評価手法:MBO、OKR、コンピテンシー評価、1on1

「CYDAS PEOPLE 人事評価」は、人事評価だけでなく労務管理や給与明細などの機能も備えたクラウド型の人事システムです。

スタータープランとプロフェッショナルプランの2種類が用意されており、360度評価を行いたいだけならスタータープラン でも問題ありません。人材配置シミュレーションやハイパフォーマンスな人材を探せる傾向分析など、 データ活用・分析機能を利用したい場合はプロフェッショナルプランの契約が必要です。

テレワーク支援や1on1MTGサポートなど、オンライン上で360度評価を進められる機能も提供 。多様な働き方にマッチした人事評価システムを導入したい企業にも適した製品です。


関連製品と組み合わせての使用がおすすめ「評価ポイント」
株式会社シーグリーン

POINT
  • 参考価格:初期費用50,000円 月額10IDまで7,000円、以降10IDごとに7,000円 その他オプション・サポート費用・コンサルティングなどあり
  • 提供形態:クラウド / ASP / SaaS
  • 無料トライアル:別途問い合わせ
  • 集計・分析機能:関連製品導入で可能(Attuned・ヒョーカクラウド・1on1ミーティング)
  • 評価項目の編集:可能
  • 他の評価手法:MBO、コンピテンシー評価、1on1(ヒョーカクラウド・1on1ミーティングをセットで導入することで可能)

「評価ポイント」は、360度評価機能の他に、日報管理や社内通貨、リアルタイム評価などの機能を備えたクラウド型の モチベーション向上ツールです。

関連製品の「ヒョーカクラウド」はMBOやコンピテンシー評価に対応、「1on1ミーティング」は1on1の面談履歴に対応しています。社員・チームの理解を進める「Attuned」の合計4製品から、 必要な機能を選択して導入しましょう。

コンサルティングメニューも豊富 なので、360度評価をどのように導入していけばいいか不安な場合に活用するのもおすすめです。


多くの評価手法に対応したタレントマネジメントシステム「HRBrain」
株式会社HRBrain

POINT
  • 参考価格:69,800円(月額)~初期費用などは別途問い合わせ
  • 提供形態:クラウド
  • 無料トライアル:あり
  • 集計・分析機能:あり
  • 評価項目の編集:可能
  • 他の評価手法:MBO、OKR、コンピテンシー評価、1on1

「HRBrain」は、シンプルな画面構成で360度評価およびMBOなど 主要な人事評価手法に対応したタレントマネジメントシステム です。タレントマネジメントに必要な人材の可視化・適切な人材配置機能・人材育成機能も揃っています。

360度評価をオンライン上で進めるために必要となる1on1機能も提供 。1on1ミーティングをスムーズに進めるための機能や面談内容の蓄積ができます。評価データの自動集計や分析機能もあり、 公開範囲は自由に設定可能。人材評価だけでなく、タレントマネジメントを行いたい場合に適した製品です。


セキュリティに強いタレントマネジメントシステム「カオナビ」
株式会社カオナビ

POINT
  • 参考価格:別途問い合わせ
  • 提供形態:クラウド / SaaS
  • 無料トライアル:あり
  • 集計・分析機能:あり
  • 評価項目の編集:可能
  • 他の評価手法:MBO、OKR、コンピテンシー評価、1on1

「カオナビ」は、360度評価にも対応しているタレントマネジメントシステムです。セキュリティ関連の機能が非常に手厚く 、2段階認証や端末紛失時の遠隔操作、IPアドレス制限等に対応。データベースの二重化や自動バックアップ、第三者機関による脆弱性診断などにも対応しているので、安心して利用できます。

360評価と1on1の両方に対応 しているので、評価結果のフィードバックもしやすく、他の人事評価手法も利用できます。 評価の甘辛調整や評価シミュレーションなど、人事評価に便利な機能がある点もおすすめポイントです。


給与シミュレーション機能やAI活用に特徴あり「あしたのクラウドHR」株式会社あしたのチーム

POINT
  • 参考価格:別途問い合わせ
  • 提供形態:クラウド / サービス
  • 無料トライアル:あり
  • 集計・分析機能:あり
  • 評価項目の編集:可能
  • 他の評価手法:MBO、コンピテンシー評価、1on1

「あしたのクラウドHR」は、360度評価や1on1にも対応 しているクラウド型の人事評価システムです。特徴的な機能としては、給与テーブルと連携したシミュレーション機能や、 AIを活用した目標添削機能・評価者モニタリング機能があります。

AI目標添削機能は、目標設定時にAIがアシストする機能で、従業員の目標設定にかかる手間を軽減します。他の人事評価システムにはない機能があるため、これらの機能を利用したいケースにおすすめです。


柔軟な設定で360度評価にも対応「タレントパレット」
株式会社プラスアルファ・コンサルティング

POINT
  • 参考価格:別途問い合わせ
  • 提供形態:SaaS / ASP
  • 無料トライアル:あり
  • 集計・分析機能:あり
  • 評価項目の編集:可能
  • 他の評価手法:MBO、コンピテンシー評価、1on1

「タレントパレット」は、どのような評価制度にも対応できる柔軟な設定が可能 なタレントマネジメントシステムです。360度評価にも対応しており、自社独自の評価項目を自由に追加できます。1on1面接対応の機能もあり、360度評価で重要なフィードバックに役立ちます。

社員情報は顔写真付き で分かりやすく、評価データは人材配置や育成などに活用。評価と人事データをかけ合わせ、 グラフィカルな画面表示で分析結果を確認できます。


360度評価以外にも多彩な評価手法に対応「スキルナビ」
株式会社ワン・オー・ワン

POINT
  • 参考価格:別途問い合わせ
  • 提供形態:クラウド / オンプレミス
  • 無料トライアル:別途問い合わせ
  • 集計・分析機能:あり
  • 評価項目の編集:可能
  • 他の評価手法:MBO、OKR、コンピテンシー評価、BSCベースの評価

「スキルナビ」は、360度評価はもちろんのことBSCベースの評価やOKRにも対応し、 人事全般の業務をサポートする人事システム です。人事評価以外にも、採用計画や人材育成、人材配置・人材活用といった機能があります。

ExcelデータをそのままWebに移行できるため、従来の評価シートで活かしたい内容があれば反映も可能 です。1on1には対応していませんが、面談管理機能はあるので、360度評価とセットで活用できます。

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360度評価を行うメリット3つ

ここで、あらためて360度評価制度を導入するメリットを解説します。

1、他人を評価することで相手の長所が見えてくる

360度評価では、一般社員も評価者の立場になり、他人を評価するという経験を積みます。評価者の立場になって対象者を観察することで、改めて相手の長所が把握できるように。結果として従業員同士の助言はお互いに受け入れやすく、より能動的に助言を取り入れる、アクティブラーニング効果も期待できます。

また、お互いに評価し合うことで従業員同士の相互理解が深まり、仕事がスムーズに進むようになります。

2、自己評価と他者評価とのギャップに気付ける

360度評価は、1人の対象者に対して複数の評価が出てきます。自分自身に対する自己評価に対し、複数の他者評価を確認すると、そのギャップに気付ける点も、360度評価を実施するメリットです。

また、従来は唯一の評価者だった上司も、自分の視点からでは見えなかった評価を確認可能に。自身の評価にどのような偏りがあるかを理解でき、評価スキルの改善につながる、という効果も期待できます。

3、コミュニケーションが円滑になる

360度評価は、上司から部下への一方通行の評価から、双方向の評価へと変化します。上司からの評価が全ての場合に比べ、お互いに評価し合うことで上司と部下が対等な立場で意見を交換することも可能になります。

メリットの多い360度評価ですが、デメリットもあるため以降で確認しましょう。

360度評価を行うデメリット3つ

360度評価を導入すると発生すると考えられるデメリットは以下の3点です。

1、評価者によって評価にばらつきが出る

評価者は複数人いるため、評価者によって1人の対象者の評価に大きなばらつきが出ます。上司1人の主観に引きずられるリスクは回避できますが、評価者の性格によって、同僚の評価が偏る危険性がある点には要注意です。

例えば、社交的で周囲と良好な人間関係を構築している対象者は、同僚からの評価が高くなる傾向にあります。逆に、周囲とコミュニケーションがスムーズではない対象者の場合、成果を出していても同僚からの評価が低くなる危険性があります。

人の評価に慣れていない一般社員や顧客からの評価を集める際は、評価が偏らないように事前説明を丁寧に行うよう検討が必要です。

2、評価者の部下や同僚に気遣うことが多くなる

360度評価では、部下や同僚からも評価されるようになるため、より多くの人に気を遣うことになってしまう点もデメリットの1つです。上司は、部下に対して指導しなければならないケースも少なくありません。しかし、評価のことを気にしてしまい、適切な指導ができない危険性があります。

3、お互いに無難な評価をつけるよう談合する可能性

360度評価はお互いに評価をつけ合うため、事前に評価内容について話し合い、お互いに希望通りの評価にする「談合」が発生する可能性があります。談合が発生しないようにするには、やはり適切な社員教育が必要です。

ここまでは、360度評価自体のメリット・デメリットを紹介しました。次に、人事評価システムを利用して360度評価を行うメリット・デメリットについて解説します。

人事評価システムを利用して360度評価を行うメリット6つ

人事評価システムを使って360度評価を行うことによるメリットは以下の6点です。

1、データの一元管理と分析機能が便利

人事評価システムは、人事評価データを蓄積・一元管理します。過去データも活用して、部門ごと・従業員ごとのデータ分析も可能になり、人材育成や人材配置などにも活用可能に。人事評価データから給与や賞与額、人事異動のシミュレーションも簡単に行えます。

2、評価工数の手間が省ける

360度評価をシステムなしで実施すると、評価シートの取りまとめや最終的な評価決定までの作業工数が多くなり、人事部門の負荷が高くなります。顧客先に評価を依頼するとなると、さらに多くの工数が見込まれます。

人事評価システムを導入することで、360度評価を実施する作業工数を大幅に削減可能です。クラウド型の人事評価システムならインターネットからのアクセスも可能になり、顧客への評価依頼も全てオンラインで完結。評価する側はスマートフォンなどのモバイルデバイスを利用して回答するため、作業負荷も軽くなります。

3、評価のスピードアップ

紙やExcelの評価シートでは、集計するだけでも大変で、最終的な評価を出すまでに時間がかかります。人事評価システムを利用すると、360度評価で複数の評価から自動集計し、平均値を出すのも簡単に行えます。

集計結果は、レーダーチャートなどグラフ表示により直感的に確認できる製品が大多数。評価結果をレポート出力して、そのまま面談に利用する、といった使い方も可能です。

4、アンケート一斉配信やフォローなどがしやすい

360度評価を進める場合、人事部門の作業も多くなります。回答者の選定、アンケートの送信と回収、評価の未実施者に対するフォロー工数は、評価者が増えると負担も大幅に増加しがちです。

人事評価システムなら、回答者選定機能やアンケートの同時送信、回答状況の確認画面やメッセージ機能、リマインド自動送信などの機能が利用可能。人事部門の作業工数も軽減できます。

5、匿名性が担保できるので回答しやすい

同僚の誰が回答しているのかが特定できてしまうと、評価者も評価しにくさを感じてしまいます。人事評価システムで360度評価を行う場合、事前にシステム側で対象者と評価者を関連付けておくことで、匿名性を保ったまま回答可能です。

また、紙やExcelでの回答では、送付ミスなどが発生しないとも限りません。人事評価システムなら、人的ミスが入り込む余地が少なくなり、ミスから匿名性が担保できなくなるという事故もなくなります。

6、テレワークや在宅勤務でも運用可能

人事評価システムを導入することで、テレワークや在宅勤務中の従業員に対しても人事評価の運用が可能です。面談もオンライン会議システムなどを活用することで、上司と部下の1on1ミーティングも開催できます。

人事評価システムを利用して360度評価を行うことで、多くのメリットが得られます。ただ、デメリットもあるので確認しておきましょう。

人事評価システムを利用して360度評価を行うデメリット2つ

人事評価システムを導入して360度評価を実施する場合のデメリットは以下の2点です。

1、セキュリティ面での問題

クラウド型の人事評価システムを利用する場合、インターネット回線を利用し、データもインターネット上に保存することとなります。

人事評価システムのサービス提供者側でセキュリティ対策は行っていますが、製品によってはセキュリティ対策に細かな違いはあるため確認が必要です。通信や保存データの暗号化など、セキュリティ対策をどこまでやっているかは、製品選定時に確認しましょう。

また、製品で提供されるセキュリティ関連の機能として、多要素認証・IPアドレス制限などの機能もあるかどうかチェックが必要です。

2、既存の人事システムとの連携の問題

既存の人事システムがある場合は、そのシステムと連携できない、または連携できても非常に手間がかかる可能性がある点も要注意です。人事システムが他にない場合はスムーズに導入できますが、既存システムがある場合は人事評価データなどの連携方法を必ず確認しましょう。

ここまで、人事評価システム+360度評価のメリット・デメリットについて整理しました。次に、人事評価システムを利用した360度評価の流れを紹介します。

人事評価システムを利用した360度評価の流れ7ステップ

360度評価に人事評価システムを活用する場合の流れについて、以下の7ステップで紹介します。

1、360度評価の目的決定

最初に、360度評価の目的をはっきり定めましょう。評価結果を誰がどのように使うかを決定します。例えば、評価結果を従業員のエンゲージメント向上に利用する、人事部門が人材育成や適切な人材配置に利用する、テレワークで運用する、などです。

360度評価の目的を決めたら、評価基準や運用プロセス・体制などの検討を進めていきます。

2、導入で想定される弊害と対策を検討する

360度評価は、従来の評価手法とは大きく異なるため、導入時にさまざまな弊害が想定できます。考えうる弊害を洗い出し、対策を検討しましょう。

社風や制度などで、360度評価実施の障害となり得るものがないか、人事部門や従来の評価者からの意見収集も必要です。従業員への事前説明、評価手法の教育などは最低限検討しておきたい事項です。

3、評価基準を策定する

次に、360度評価で用いる評価基準を策定します。一般社員は職種ごとに必要です。管理職用の評価基準も考えます。また、評価者と対象者の関係性によって評価項目を変える必要もあるでしょう。部下・同僚・社内外の顧客用の評価項目を作成し、上司は全項目を網羅した評価項目にする、という方法もあります。

評価基準を策定する際は、設問数を必要最低限に抑えつつ、質問文は評価者によってブレが少なくなるようシンプルにするなどを考慮するといいでしょう。

4、運用プロセスを設計する

360度評価を運用するプロセスを設計しましょう。設計する必要のある主な項目は以下の通りです。

  • 時期:繁忙期を避け、評価結果が必要な時期には評価が終わるように設定
  • 頻度:評価の利用目的に応じて、年1回・半年・四半期ごとなど定める
  • 回答方法:どのように回答するかを決める
  • 回答期間:設問数などを考慮して回答期間を設定
  • 評価者の選定基準:評価対象者に対し、どういう立場の人が何人評価するかを決める

評価者の選定基準については、人数を増やせばより客観的なデータを得られますが、評価者の負担が増えるため慎重に検討します。

5、フィードバック内容を策定する

360度評価の利用目的に応じて、フィードバック内容を策定します。評価の点数だけでなく、具体的な助言や評価ポイントを文章として伝え、従業員のやる気を引き出す仕組みを検討しましょう。評価データは細かく提示して、さまざまな角度から分析できるようにすることも重要です。

また、フィードバック内容を伝えることとセットで、評価結果を受けての行動計画策定も進めるようにします。評価を受けてそのまま終わりにしないような仕組み作りまで考えることで、360度評価を有効活用できるようになります。

6、社員に告知・説明する

ここまでで360度評価制度が整ったら、社員に告知・説明します。社員からの質問や要望を吸い上げ、反映する期間も設けましょう。社員の理解を得るまで、何度かやり取りが発生することも見越したスケジュールを組みます。

7、実施結果の分析とフィードバックを行う

社員の理解を得て準備が整ったら、いよいよ360度評価制度を実施します。社員の人数が多い場合は、いきなり全社導入するのではなく、1部門だけテスト運用するという方法もおすすめです。

360度評価を1クール回し、実施結果の分析とフィードバックを行います。初回のフィードバックは、人事部門の担当者も同席して説明を行うのもいいでしょう。1部門で実施した結果によって運用プロセスなどの微調整を行い、全社へ導入するかどうかを検討します。

人事評価システムを利用した360度評価の流れは以上です。次に、360度評価が可能な人事評価システムを導入する場合に検討したいポイントについて解説します。

360度評価が可能な人事評価システムを選ぶ8つのポイント

360度評価が可能な人事評価システムは数多くありますが、自社に合った製品を選ぶにはいくつかの確認ポイントがあります。主なポイントは以下の8点です。

1、提供形態

提供形態は、社外からアクセスできて低コスト・短期間で導入できるクラウド型がおすすめです。利用人数の多い大企業で、自社に合わせていろいろとカスタマイズを行いたい場合は、コストがかかりますが自由度の高い、オンプレミス型やプライベートクラウド型を検討します。

2、従業員規模や料金体系

従業員規模は、自社に合ったものを選んでください。特に組織構造が複雑な大企業は、組織管理機能も備わった製品の方が使いやすいと考えられます。

料金体系は、クラウド型の場合利用人数単位の月額料金や、1企業1契約での月額料金など、製品によってさまざまです。ほかに、導入支援サポート費用なども見積もり、製品ごとに総コストの見積依頼を出して比較しましょう。

3、評価シートを自由に編集できるか

ほとんどの人事評価システムでは、基本的に評価シートの編集は可能です。念のため、評価シートの編集はやりやすいかなど操作性も確認しましょう。

4、評価者と対象者の関連付けが可能か

評価者と対象者の関連付けは、評価アンケート送信時の宛先ミスを避けるために重要な機能です。上司と部下・同じ部門の同僚といった形で、評価者と対象者の関連付けが行えるかどうか確認してください。

5、集計・分析機能があるか

360度評価の評価アンケートへの回答が終わると自動的に集計・分析する機能があるかどうかも確認しましょう。多くの製品は自動集計に対応していますが、分析の方法や分析結果の見せ方については製品によって違いの出る部分です。

6、1on1など面談の補助機能も併用できるか

360評価は、フィードバックが特に重要な評価手法です。そのため、1on1の面談結果を履歴として保持するなど、面談の補助機能が使えるかどうかも確認しましょう。面談の履歴を残しておくことで、フィードバックの精度は高くなります。

7、使いやすいか

人事評価システムは、全従業員が利用するシステムになるため、使いやすさ・操作性も重要な選定ポイントです。無料トライアルやデモの有無を確認し、操作性をテストするための計画も立てておきましょう。評価者と対象者、人事部門の担当者が、それぞれ利用する画面を操作してテストするよう検討してください。

8、サポート体制

360度評価を初めて導入するとなる場合、システム導入だけでなく制度導入でも試行錯誤する可能性が高いでしょう。その場合に備えて導入支援サービスが手厚い製品を選ぶのも1つの方法です。また、導入後のサポート体制も比較して、自社の求めるレベルのサポート体制が整っているかどうかを確認しましょう。

人事評価システムを活用して360評価を効率良く進めよう

人事評価システムによって、360度評価は効率良く進めることが可能です。人事評価システムを導入することで、多くの評価者に対して評価依頼のアンケートを一斉に送信。回答に対するリマインドや自動集計機能など、人事部門や評価者への負担を軽減できます。

360度評価では上司との面談によるフィードバックが重要です。人事評価システムを選ぶ場合は、360度評価とともに面談の補助機能も使える製品を選ぶと便利です。気になる製品がある場合は、ぜひ以下の記事より製品の資料を入手して、比較検討する際などにご活用ください。

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