【最高益更新でも株主は不満】ソフトバンクグループ孫氏の悩み

「毎年43%株主価値を増やし、業績が良くなっているのですから、株価は後から付いてくる。わたしがどれだけ命がけでソフトバンクの経営をしているか。自社株買いはいつもしたいと思っていますが、自社株買いでしか株価が上がらないと。たいがいにして下さい」

 株主総会で、そんな見方はないだろうと、思わず、こう本音をこぼしたソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義氏。

 2021年3月期は前期の1兆円近い赤字から一転、5兆円の純利益を叩き出し、過去最高益となったが、株主総会で露わになったのは株主との溝。冒頭の発言は株主の「自社株買い以外で株価が上がらない現状をどう見ているか。NAV(Net AseetValue、純資産総額)ばかり強調して高値掴みしている投資家もいる」という質問に対する返答だ。

 だが、その後、「資本家としてのソフトバンクGはNAVが重要だと思っている。そうなると、今時点のソフトバンクGの株価は50%ぐらいディスカウントされている。われわれ経営陣も努力しなければいけないし、評価されるようにしていかなければいけない」と反省も述べた。

 ソフトバンクGの株価は今年3月年初来高値の1万695円を付けたが、6月には7461円まで下落。過去最高益発表後、株価が下落に転じ、時価総額が10兆円近く下がっている。

 業績好調でも株価が上がらない状況を変えようと決算発表などでソフトバンクGの企業価値を熱く語ってきた孫氏だが、市場に届かない状況が続いている。

 今年の株主総会でも、孫氏は「投資家のゴールはお金をたくさんつくること。資本家のゴールは未来を創ること。ソフトバンクは情報革命の資本家としてAIの起業家とビジョンを共有し、未来を創っていく」と強調。「少し長い目で見ていただきたい」と株主に長期目線を訴えた。

 だが、株主総会から見えてくるのは、孫氏がいくら長期目線を訴えても、株主は短期の利益、株価を重視しているという現実。市場は金融バブルの中での好業績であり、後継者問題も懸念される中、ソフトバンクGは長期目線で見られないという見方。それを覆すには、まだまだ高いハードルがある。

ソフトバンクGの収益構造