日本労働組合総連合会(連合)は6月25日、「仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2021」の結果を発表した。調査は6月4日~8日、全国の20歳~59歳の有職男女(経営者、自営業者などを除く)1,000名を対象にインターネットで行われた。

  • 職場で受けたことのあるハラスメント

    職場で受けたことのあるハラスメント

はじめに、職場でハラスメントを受けたことがあるかを聞いたところ、32.4%が「ある」と回答。特に、40代男性は42.4%と高く、次いで、30代女性と50代女性(いずれも35.2%)が続いた。

受けたハラスメントの種類は、多い順に「パワー・ハラスメント」(27.6%)、「セクシュアル・ハラスメント」(8.5%)、「ジェンダー・ハラスメント」(4.2%)、「コロナ・ハラスメント(新型コロナウイルス感染症に関するハラスメント)」(3.1%)、「(SOGI)に関するハラスメント」(2.2%)、「ケア(育児・介護)・ハラスメント」(2.1%)、「マタニティ・ハラスメント」(1.7%)という結果に。

性年代別に見ると、40代男性では「パワー・ハラスメント」(40.0%)が、20代女性と30代女性では「セクシュアル・ハラスメント」(順に12.0%、16.8%)の割合が他層よりも高かったほか、40代女性と50代女性では「ケア(育児・介護)・ハラスメント」(いずれも4.0%)、20代男性では「性的指向・性自認(SOGI)に関するハラスメント」(4.0%)が他の層と比べてやや高い傾向となった。

  • 「ジェンダー・ハラスメント」「新型コロナウイルス感染症に関するハラスメント」の内容

    「ジェンダー・ハラスメント」「新型コロナウイルス感染症に関するハラスメント」の内容

続いて、各ハラスメントの内容について教えてもらったところ、「パワー・ハラスメント」では、「脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的な攻撃」(43.8%)、「隔離・仲間外し・無視などの人間関係からの切り離し」(28.6%)、「業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害などの過大な要求」(22.5%)が上位に。また、「セクシュアル・ハラスメント」に関しては、「性的な冗談やからかい」(44.7%)、「必要ない身体への接触」(24.7%)、「食事やデートへの執拗な誘い」(20.0%)を受けた人が多いことが分かった。

「ジェンダー・ハラスメント」では、「性別役割分担意識にもとづく冗談やからかい」(61.9%)が最も多く、次いで「性別役割分担意識にもとづく嫌がらせ」「性別役割分担意識にもとづく強要」(ともに40.5%)で続く結果に。男女別に見ると、「性別役割分担意識にもとづく嫌がらせ」を受けた男性は66.7%、女性は30.0%と大きな差が見られた。

「新型コロナウイルス感染症に関するハラスメント」に関しては、「感染したことを理由とした嫌がらせ(暴言、過度な休職の強要等)」(19.4%)や、「体調不良でも休ませてもらえない」「感染対策をしない(マスク着用拒否・マスク外し強要等による職場環境の悪化)」(ともに22.6%)といった行為を受けた人が多かった。

  • ハラスメントを誰から受けたケースが多いか

    ハラスメントを誰から受けたケースが多いか

次に、ハラスメントを誰から受けたケースが多いのかを調べたところ、「パワー・ハラスメント」では「上司」(77.5%)が突出して高く、「セクシュアル・ハラスメント」「ジェンダー・ハラスメント」「新型コロナウイルス感染症に関するハラスメント」でも「上司」(順に76.5%、78.6%、74.2%)がトップに。

また、「ジェンダー・ハラスメント」では「先輩」(50.0%)、「新型コロナウイルス感染症に関するハラスメント」では「部下」(9.7%)が他のハラスメントと比べて高くなり、なお、「同僚」からのハラスメントは、「セクシュアル・ハラスメント」「マタニティ・ハラスメント」「ケア・ハラスメント」「ジェンダー・ハラスメント」で30%程度を占めた。

  • ハラスメント被害が生活に及ぼす影響

    ハラスメント被害が生活に及ぼす影響

ハラスメントを受けたことで、どのような生活上の変化があったか聞いたところ、「仕事のやる気がなくなった」(56.8%)が突出して高く、次いで、「心身に不調をきたした」(24.1%)、「仕事をやめた・変えた」(22.5%)と続き、ハラスメントが仕事のモチベーションや心身の健康に悪影響を及ぼしたり、仕事の継続を困難にさせたりしている実態が明らかとなった。