世界的な半導体不足が猛暑下のエアコン業界に暗い影

猛暑の恩恵を受ける家庭用エアコン業界だが、世界的に広がる半導体不足がエアコン生産に影を落とし始めている。

 三菱電機の杉山武史社長は6月3日のオンライン会見で、半導体不足がエアコン生産に与える影響を問われ、「可能性がある」と答え、半導体不足が深刻になりつつある現状が伝わった。

 昨年来、エアコン業界は新型コロナの追い風を受けてきた。テレワークが増え、省エネや快適性へのこだわりから、除菌・脱臭機能などまで備えた高級機への買い替えが進んだからだ。

 この結果、2020年度の国内向け家庭用エアコンの総出荷台数(日本冷凍空調工業会まとめ)は、前年度比5.5%増の1009万7013台と初の1千万台突破となった。21年度も、2年連続での1千万台突破を期待する声が一部であったが「半導体不足で今年度は難しい」(メーカー関係者)と言われている。

 世界的な半導体不足は、20年度後半から顕著になってきた。テレワークのためのモバイルPCが売れ、巣ごもり需要でゲーム機の需要が拡大。国内では3月に、マイコンメーカー大手、ルネサスエレクトロニクスの那珂工場(茨城県)で火災が発生したことも影響している。

 もっとも「事態を予想し今シーズン分のマイコン調達には目処を付けた」という大手メーカーもある。このメーカーは「東日本大震災でルネサス那珂工場が被災した時の教訓があり、半導体不足が見えてきた昨年から備えてきた」。それでも「店頭での価格上昇は避けられないだろう」と予想されている。

 半導体が足らず、需要に応えるだけの十分な生産ができない製品は、エアコンだけではない。自動車、カーナビ、洗濯機まで……。巣ごもり需要で好調なはずの任天堂でさえ、22年3月期の業績は、半導体不足によって連結営業利益が前期比22%減(5千億円)になると予想。

 いまや、業種を超えて半導体を奪い合う構図。半導体の工場ライン増設には時間がかかり、世界的な不足状態は2022年いっぱいまで続くとの予想もあり、早くも来年のエアコン商戦を懸念する声が出るほど深刻な状態だ。

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