IDC Japanが6月28日に発表した調査結果によると、2020年における国内シンクライアント専用端末市場の出荷台数は総計31万6142台であり、過去最高を記録した2019年と比べて15.5%減のマイナス成長だったが、30万台を超えており市場全体は堅調だったことが分かった。

2020年の同市場は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けつつ、2019年から金融、通信、情報サービス、製造での大型案件が継続し、30万台を上回った。ベンダー別では、1位が日本HP、2位は富士通、3位はデル、4位はAtrust、5位はNECだった。フォームファクター別に見ると、全体の約6割超をモバイルシンクライアントが占め、ここ数年モバイルの割合は上昇傾向を示しているという。

【関連記事】
≪国内クライアント仮想化の4市場で富士通がシェア1位 - IDC≫
≪国内クライアント仮想化関連市場規模予測 - IDCが調査≫

2020年における国内クライアント仮想化ソリューション(オンプレミス)市場売上額は6,336億円、前年比9.8%減であり、ベンダー別では、上位から富士通、日立製作所、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、日本IBM、NTTデータ、日本ヒューレット・パッカード、NECの順だった。富士通は2年ぶりに1位を獲得した。

  • 国内クライアント仮想化ソリューション(オンプレミス)市場のベンダー別 売上額シェア(2020年) 資料:IDC Japan

2020年は、同年4月に緊急事態宣言が発出され、下半期は延期や一旦保留になった案件が徐々に増加し、クライアント仮想化ソリューション(オンプレミス)市場として、初めて前年比マイナスになったとのこと。

国内クライアント仮想化サービス(DaaS:Desktop as a Service)市場の2020年における売上額は815億円、前年比3.3%増で、ベンダー別では、上位からNTTデータ、富士通、日鉄ソリューションズ(NSSOL)、IIJ、NEC、日立製作所の順だった。2020年からプライベートクラウドDaaSに加え、パブリッククラウドを利用したクライアント仮想化サービスが増加しており、2021年も同様の傾向が進むと同社は見ている。

2020年のクライアント仮想化の導入は在宅勤務の増加に伴い、リモートワーク需要とユースケースの多様化で導入が進んだという。その多くが更改案件または既存案件のユーザー数拡大であり、クライアント仮想化システムへの再投資も進んでいるとのこと。

2021年の同市場は、リモートワーク、ゼロトラスト、ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)、ハイブリッド、ライセンスの5つの事項が影響を与えると同社は見ている。

PC、携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの渋谷寛氏は、「2021年はクラウドベースのゼロトラストモデルを取り込んだエンドユーザーコンピューティングモデルへの要望が高まるであろう。ネクストノーマルへ向けた準備段階の時期であり、サステナビリティとレジリエンシーが求められている」と述べている。