【中小企業向け】マイナンバー管理の対応方法とは?|システム化のメリットも解説

マイナンバー管理システム

マイナンバー制度は、事業規模に関係なく対応が必要です。ただ、従業員規模が100人以下の中小企業は、特例的な対応が認められています。

本稿では、マイナンバー制度の対応について、特に100人以下の中小企業に求められる対応とは何かをまとめました。従業員数100人を超える企業に求められている対応との違いやマイナンバー管理をシステム化するメリットについても解説します。

マイナンバー制度と中小企業に求められる対応

まず、マイナンバー制度と、中小企業に求められる対応についておさらいしましょう。

1 マイナンバー制度への対応は全事業者に求められる

マイナンバーとは、住民票を持つ人全員に割り振られる12桁の番号です。企業は、従業員の税金関係や社会保険(雇用保険や健康保険など)の書類などに対してマイナンバ ーを記載し、書類に対応した役所などに提出しなければなりません。マイナンバー制度の対応は、事業規模に関係なく必要です。

2 マイナンバー4箇条

マイナンバーにおける事業者の対応は、大きく分けて以下4種類のルールにて定められています。

ルールの種類 ルールの内容
取得・利用・提供のルール マイナンバーの取得・利用・提供は、法令で決められた場合だけ可能。それ以外では、「取れない」「使えない」「渡せない」。
保管・廃棄のルール 取得したマイナンバーは、必要がある場合だけ保管し、不要になったらただちに廃棄。
委託のルール マイナンバーの委託先を「しっかり監督」することを求められる。再委託は「許諾が必要」。
安全管理措置のルール 情報漏洩などを起こさないために必要。

安全管理措置のルールについては、個人情報保護委員会が定める「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」に対応が示されています。

3 従業員数100人以下の中小規模事業者は特例的な対応が許される

ただ、従業員が100名以下の中小規模事業者(中小企業)は、事務負担に一定の配慮があります。その理由は、事務で扱う個人番号の数量が少なく、マイナンバーを取扱う従業員の人数も少ないためです。

4 100人以下でも中小規模事業者から除外されるケース

従業員の人数が100人以下でも、以下の条件に当てはまる場合は中小規模事業者から除外されます。

  • 個人番号を利用する事務を実施する事業者
  • 他の事業者からマイナンバーを取扱う仕事の委託を受けている事業者
  • 金融分野の事業者
  • 取扱う個人情報の件数が過去6か月の間に1日でも5,000件を超えたことのある事業者

では、上記の条件に該当しない従業員100人以下の中小規模事業者は、マイナンバー制度の対応においてどのような特例があるのでしょうか。

一般の事業者と中小企業のマイナンバー対応の相違点

一般の事業者と中小企業のマイナンバー対応について、相違点は主に以下の2点にまとめられます。

1 取扱規程等の策定が義務ではない

マイナンバーの取扱規程とは、マイナンバーを利用する仕事別に運用方法を定めたマニュアルのことです。

一般の事業者は取扱規程の策定は義務ですが、中小企業の場合は義務ではありません。ただし、中小企業の場合は以下の対応が望ましいとされています。

  • 特定個人情報などの取扱い(保管・廃棄など)を明確にする
  • 事務取扱担当者を変更する場合は確実な引き継ぎを実施し、責任者が確認

取扱規程とまではいかなくとも、マイナンバーをどう取扱うかの運用ルールは、中小企業にも必要です。また、事務でマイナンバー関連の書類を扱う担当者が退職や異動でいなくなる場合は、運用ルールを確実に引き継ぎ、当該部署の責任者が確認します。

2 安全管理措置の特例的な対応

マイナンバー4箇条の「安全管理措置のルール」には、マイナンバーの情報漏洩を防止するためのさまざまな措置が記載されています。この中で、いくつかの措置は、中小企業の場合特例的な対応が許されています。

具体的に、中小企業の安全管理措置対応で、一般的な事業者との相違点を以降で見ていきましょう。

マイナンバーの安全管理措置における中小企業の特例的な対応

マイナンバーの安全管理措置のいくつかは、中小企業に対して特例的な対応を認めています。安全管理措置の種類別に、特例的な対応を抜粋しました。どのような違いがあり、中小企業にはどのような対応を求められているかを確認しましょう。

1 組織的安全管理措置

組織的安全管理措置とは、マイナンバーを安全に取扱うために、組織的な対応を定めた部分です。中小企業の場合は、以下の5種類について、特例的な対応方法が指定されています。

組織的安全管理措置の種類 中小企業の対応内容
組織体制の整備 事務取扱担当者が複数いる場合、責任者と担当者を区分
取扱規程等に基づく運用 特定個人情報などの取扱状況が把握できる記録を保存
取扱状況を確認する手段の整備 同上
情報漏洩等の事案に対応する体制の整備 事案発生に備え、従業員から所属の責任者への報告連絡体制をあらかじめ確認
取扱状況の把握及び安全管理措置の見直し 責任者は特定個人情報等の取扱状況について定期的に点検

中小企業の組織的安全管理措置は、部門ごとにマイナンバー管理の責任者を定め、責任者が定期的に取扱状況を確認します。情報漏洩などの問題が発生した場合は、従業員から部門の責任者へすぐ連絡できるようにしておくことも重要です。

2 人的安全管理措置

人的安全管理措置とは、安全管理措置に関して従業員を管理・育成するためのルールです。事務取扱担当者の監督や事務取扱担当者の教育について定められていますが、中小企業に対する特例的な対応は定められていません。人的安全管理措置については、一般の事業者と同等の対応が求められています。

3 物理的安全管理措置

物理的安全管理措置とは、物理的な方法で安全管理措置を講じるルールです。中小企業の特例的な対応が指定されているのは以下の2種類です。

物理的安全管理措置の種類 中小企業の対応内容
電子媒体等の取扱いにおける漏洩等の防止

マイナンバーなどが記録された電子媒体や書類を持ち出す場合、以下のように紛失や盗難のリスクを防止するための対策を実施

電子媒体:パスワードの設定など
書類:封筒に封入して鞄に入れて搬送など

個人番号の削除、機器及び電子媒体等の廃棄 マイナンバーなどを削除または、マイナンバーを記録したマシンや電子媒体を廃棄したことを責任者が確認

いずれも、マイナンバーを物理的に持ち出す場合や削除・廃棄の場合に、一般事業者よりも簡略化したルールでの対応が、努力義務として規定されています。

4 技術的安全管理措置

技術的安全管理措置とは、悪酢制御などIT技術を利用した安全管理措置の方法です。中小企業は、アクセス制御とアクセス者の識別・認証の2種類の安全管理措置について、特例的な対応が定められています。

技術的安全管理措置の種類 中小企業の対応内容
アクセス制御

マイナンバーなどを扱う機器と事務取扱担当者を限定

機器に標準装備されているアクセス制御機能により、情報システムを取扱う事務取扱担当者を限定

アクセス者の識別と認証 同上

簡単に説明すると、マイナンバーを取扱う職場のパソコンはどれかを決め、そのパソコンを使う担当者も限定するように運用します。

ここでご紹介した特例的な対応以外の部分については、中小企業も一般の事業者と同等の対応が必要です。

マイナンバーへの対応は、上記のように中小企業への配慮がされていますが、やはり全て対応するには人的なリソースを求められます。中小企業のマイナンバー対応を簡単に進める方法の1つがマイナンバー管理のシステム化です。

中小企業がマイナンバー対応をシステム化するメリット4つ

マイナンバー対応のシステム化が中小企業にもたらすメリットは、以下の4点です。

1 人的ミスを防止して適切に管理できる

マイナンバー管理をシステム化すると、適切なタイミングで従業員にマイナンバーの登録を依頼でき、オンラインでマイナンバーの提出が可能になります。また、従業員の退職などでマイナンバーを削除する場合、責任者が本当に確認したかどうかの証跡を残せる点も、システム化のメリットです。

また、クラウド型のマイナンバー管理システムを導入すると、新しい法改正対応は利用企業側で行う必要がありません。このため、手作業の法改正対応で発生しうる人的ミスを防止できます。

2 マイナンバー対応業務の引き継ぎが容易

マイナンバー管理システムを利用していると、マイナンバー関連の業務を引き継ぐ時も簡単です。システムのマニュアルを基に操作方法を説明するだけ。引き継ぎ資料の作成や、責任者の確認なども、システム上ですぐに完結できます。

3 セキュリティ強化もしやすい

マイナンバーの保管や削除などには高いセキュリティが求められます。マイナンバー管理システムは、マイナンバーを情報漏洩から守るセキュリティやアクセス制御関連の機能を多く提供しており、セキュリティ強化がしやすくなります。

4 中小企業でもシステム化が求められている

技術的安全管理措置の「外部からの不正アクセス等の防止」では、中小企業もセキュリティ機能によって保護された情報システムを適切に運用することを求めています。

マイナンバー対応は中小企業もシステム化を検討しよう

中小企業の場合、マイナンバー対応が負担になりすぎないよう、さまざまな特例的な対応が定義されています。ただ、基本的なマイナンバー対応では、中小企業にも厳格さが求められている部分が多々あり、可能な限りマイナンバー管理のシステム化が望ましいと言えます。

マイナンバーを管理するためには、マイナンバー管理機能を含んだ人事システムを導入するか、マイナンバー管理専用のシステムを導入するかを検討しましょう。マイナンバー管理システムをより詳しく知りたい場合は、ぜひ以下の記事も参照いただき、製品の比較検討にご活用ください。

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