ラフィンノーズ、40年間変わらぬパンク愛を爆発させた一夜

ラフィンノーズが、2021年6月19日に全国ワンマンツアー「2021 春のワチュロウパーティ!」のファイナル公演を渋谷クラブクアトロにて開催した。

1981年にデビューし、今年でバンド結成40周年を迎えるハードコア・パンクバンドのラフィンノーズ。3月28日の千葉LOOKを皮切りに、全国を駆け巡ってきた同ツアーの千秋楽。梅雨入りを感じさせる雨模様の中、新型コロナウイルス感染症への対策を徹底し、彼らがここまで突き進んできたエネルギーを爆発させた一夜となった。 

開演前のSEでは、アダム&ジ・アンツやAnti-Nowhere Leagueなど、ラフィンノーズというバンドが吸収してきた音楽が流れ、今夜のライブがどんな雰囲気になるのかを示唆していた。定刻を少し過ぎた頃、お馴染みのSEが流れ、会場のファンが座席から総立ちとなる中、大きな歓声に包まれながらメンバーが登場し、PON(Ba.)の掛け声から「WONDERFUL T.V」でライブをスタートさせる。何もない場所から急に大爆発が起こるように、序盤から一気にラフィンノーズのパンク魂を炸裂させる。曲のパワーはもちろんのこと、場内も待ってましたと言わんばかりにクラップやジャンプで白熱していく。ステージ上では、股に楽器のボディを挟んで図太いベースをかき鳴らすPONと、客席を見つめてクールにニヤッとギターソロを弾くLINA(Gt.)。この二人が互いに背中合わせになる姿も板についており、曲をより引き立たせていく。その後ろでは、ちーちゃん(Dr.)が曲に合わせてポップで豊かな表情を見せつつ、他の男性メンバーに全く引けを取らないほどに、手足から文字通り胸に響くドラムの音を豊富な手数で叩き出して、パフォーマンスを盛り上げる。フロアも、思い思いに曲に合わせて身体を揺らしており、会場にいる筋金入りのパンクス達も心を滾らせているようだ。

「SONG FOR U.S.A」、「SILENT DAY」など、どんどんラフィンノーズのライブは展開していく。「帰ってきたぜ東京! 今夜はお足元の悪い中、”春のワチュロウパーティ!”にようこそ!」とCHARMY(Vo.)が挨拶代わりに叫んで「CARRY ON PUNK」がスタート。まだまだ序盤かと思ったが、既に6曲目。ノンストップでライブが進んでいることに改めて驚かされた。同曲のサビではタイトルを連呼し、どんどん熱を上げていく。観客はこれでもかと拳を振り上げ、一緒に「CARRY ON PUNK!」と叫んでいるように感じられてしまうほどの盛り上がりを見せた。「R&R DESIRE」も続けて披露され、今の時代に不足しているロック魂をありありと見せつける。また、当日の公演中には「渋谷―!」、「皆元気かー!」と、数え切れないほどCHARMYが何度も呼びかけていることに気づいた。ステージの正面や、ともすればステージから見えにくい場所の客席の隅々まで顔を覗かせ、笑顔で手を振っている。彼自身も今日というライブを全力で楽しんでいる様子で、思わず見ている側も笑顔になってしまう。それとは対照的に、ハードな大音量のサウンドに負けないほどに、時には過激な歌詞も歌い上げる。そうした二面性もCHARMYというボーカリストの魅力の一つだろう。


Photo by JANIS CHIHIRO KUDO 

「BOTH SIDE FLOWERS」ではタイトル通り、ステージの両脇の花(PONとLINA)のボーカルの掛け合いも見せてくれた。9曲を披露したところでようやくショートMC。ここまでの勢いを止めたくないかのように挨拶を手短に済ませると、マスク装着の意識にとりつかれた時勢から生まれた新曲「マスクヒステリア」、子供の頃の夢を振り返るような哀愁を歌った「POWER AND GROLY」と立て続けに披露。その後、PONのMCへ。
 
「帰ってきたで渋谷!」、「コロナ禍の中よくいらっしゃいました!」、「今日は楽しむために皆さん集まってくれてるやんね。間違ってませんよ! その権利だけは絶対守りましょう! 大変だと思うけどね……(笑)」と、シニカルな笑いを生む。楽しむためだけに集まったファンとともに、「プリムローズ」、「VIKINI」などを披露し猛攻を再開。観客という合唱団をまとめる指揮者のように振舞うCHARMYの姿が印象的だった。この流れの中では新曲「リベラタウン」も披露し、CHARMYが一度ステージを下がり、PONがメインボーカルをとる。ライブショーにかかる制限や、左派や右派に分断した世の中への想いをラフィンノーズからの視点で歌い上げる。以前あるインタビューでPONは「(超満員のワンマンライブの)何も気を使わず会場全体を支配できるあの感じ」と語っていたが、まさにメンバーは自分たちが伝えたいメッセージや培ってきた音楽を全身で体現しており、会場が包まれている光景がとても自然なように見えた。そのまま「FALLINFALLININTO YOUR HEART」、「BAND ON THE RUN」、「明日を狙え」と最後まで新旧織り交ぜながら本編を駆け抜けた。笑顔で感謝を告げて振り返った時に見えた、汗でジャケットの色が変わったメンバーの後ろ姿が彼らのパワーを物語っていた。

アンコールに応えてメンバーが再登場。この後もライブの勢いは衰えずに11曲を披露。アンコールというよりも第二部の幕開けという方が正しいかもしれない。勢いよく飛び出てきたCHARMYは白地のジャケットの胸元に真っ赤なバラを挿したまま、「BROKEN GENERATION」、「GO FOR IT」などキラーチューンを一拍以上空けずに立て続けに連発し畳みかけていく。

MCでは、「お前らの言ってる正気は、俺の狂気だってこと。お前の言っている正しいことは、俺にとっちゃ間違ってることだから。そういう世の中なんだよ」、「俺の思ってること言っていいか? ラフィンノーズを始めたくらい頃から思ってるけど、世の中ちょっとおかしいんだよ。(最近は特に)だいぶおかしくなってきてるんだよ。だんだんおかしくなってきてるだろ?」、「あいつら本気で俺らのこと潰しにかかってきてるから、俺らも本気で闘ってやるぜ」、「音楽? 文化? あいつらはなんとも思ってないからね」、「俺らはロック捨てたら死んでしまうから。もうちょっとだけ長生きしたいんだよな。俺もいい歳だからさ、どうせなら燃え尽きたいんだわ」、「お前らも燃え尽きたいんだろ? 俺たちについてこいよ。死ぬまで突っ走ってやるぜ、燃え尽きるまで走るぜ」と、昨今の社会の情勢に感じる想いを吐露する場面も。ツアーを振り返った後に、ちーちゃんが加入して特によくなったという「STICK IT OUT」を披露。「もしもおいらに 力があったら お前を自由にしてやれる」、「笑顔 見せておくれよ 長い旅の途中で お前に会えてよかった」と歌いながら、拍手を煽り、手を振り、一人一人に向ける笑顔など全てがピュアな感情からくるものを感じさせた。MCでの歯に衣着せぬ正直に語った精神と年齢を感じさせない勢い、愛がないならいらないとまで語るパンクロックがファンを惹きつけ続けてきた。

そのままの勢いでライブの定番曲「LAUGHIN ROLL」、こういう社会情勢の中で、ライブに来たくても来れなかったやつにも聴こえるようにと歌って始まった愛の溢れる「CRASH ST RULES」など立て続けに披露し、デビュー当時からファンに愛されてきた「GET THE GLORY」で大団円を迎えた。愛とパンクを40年間かけて大爆発させた情熱的な一夜であった。 


Photo by JANIS CHIHIRO KUDO


<公演情報>

ラフィンノーズ
「2021 春のワチュロウパーティ!」最終公演 

2021年6月19日(土)渋谷・クラブクアトロ
=セットリスト=
1.WONDERFULL TV
2. PISSENASS
3. DEAD CITY
4. SONG FOR USA
5. SILENT DAY
6. CARRY ON PUNK
7. R&R DESIRE
8. TURNE RIDER
9. BOTH SIDE FLOWERS
10. マスクヒステリア
11. ファショニスタ
12. POWER AND GLORY
13. プリムローズ
14. リベラタウン
15. VIKINI
16. FALLIN FALLIN INTO YOUR HEART
17. ON THE RUN
18. 明日を狙え
En.
19. BROKEN GENERATIN
20. GO FOR IT
21. NEVER TRUST A WOMEN
22. TOKIO CANBODIA
23. STICK IT OUT
24. B-29
25. ラフィンロール
26. CRASH St.RULES
27. PARADISE
28. SWITCH STYLE
29. GET THE GLORY