シャープは6月23日、島根大学医学部と共同で、シャープが独自に開発した可視光応答型光触媒材料による新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の減少効果を実証したと発表した。

同試験では、「シャープの光触媒材料を塗布したガラス基板」と「塗布していないガラス基板」のそれぞれに新型コロナウイルス液を滴下させた。暗幕で覆われたボックス内で白色LED光(照度1000lx)を照射し、1時間および2時間が経過した時点で、それぞれのウイルス感染価を測定。

その結果、光触媒材料を塗布したガラス基板では、塗布していないガラス基板と比較して、ウイルス感染価(感染性を持つウイルスの量)が1時間経過時点で98%以上、2時間経過時点で99.99%以上減少と、明確な効果を確認したとしている。

  • 試験装置イメージ

  • 新型コロナウイルス感染価の減少効果

光触媒とは、光が当たると高い酸化力を発揮し、接触する有害物質やニオイ成分を化学的に分解する物質のこと。2015年に開発されたシャープ独自の光触媒は、主成分に酸化タングステンを採用しており、これまで一般的に用いられてきた酸化チタンと比べ、より幅広い波長の光に応答している。

紫外線を含む太陽光だけでなく、蛍光灯やLEDなど屋内照明の可視光下でも高い酸化力を発揮するという。さらに、助触媒として配合した白金微粒子の働きにより、一層の性能向上を実現しているとのことだ。

島根大学医学部微生物学講座教授の吉山裕規氏は、「シャープの光触媒材料が、新型コロナウイルスに対して短時間で強力な抗ウイルス効果を発揮することが実証された。今回の結果から、実使用環境における抗ウイルス効果も期待できる。本効果は、光触媒作用によるタンパク質の構造破壊によりもたらされると考えられ、従来株のみならず変異株に対しても同様の効果を発揮すると思われる。光触媒は、作用し続けてもそれ自体は消耗せず、効果が持続することも強みであり、withコロナ、afterコロナ社会における応用が期待される」と、コメントを寄せている。