混乱続く東芝、報告書を受け取締役2名の選任取り下げ

どこまでが産業政策の範囲か?  

「ガバナンス(企業統治)上の課題があったと感じている。再び困難に直面している東芝に必要なのは取締役会の再構築」と語るのは、東芝取締役会議長の永山治氏(中外製薬名誉会長)。

 4月に前社長の車谷暢昭氏が辞任し、綱川智氏が社長に就任した東芝。昨年7月の株主総会を巡り、「経済産業省と一体となって、(海外ファンドの)株主提案権の行使を妨げようと画策した」と指弾する外部弁護士による調査報告書が公表され、経営の混乱がまたも続いている。

 「官民結託による企業統治の壟断」(アナリスト)を指摘された衝撃は大きく、今年6月25日に開催予定の株主総会を目前に米議決権行使助言会社や大株主の海外ファンド、さらには外国人の社外取締役らから、会社側が提案する役員選任案に反対する声が噴出。東芝は報告書の内容を事実上認めた上で、取締役候補者2氏を取り下げる異例の対応に追い込まれた。

 経産省側も対応に苦慮している。梶山弘志経済産業相は当時の経産官僚の行動は「(国の安全保障の観点から必要な場合に投資を制限できる)改正外為法の運用の枠内」との考えを示したが、法を逸脱した不当な介入がなかったのか、説明責任を厳しく問われている。

 経営破綻の瀬戸際に追い込まれた東芝の再建は「原発やエネルギー、半導体など国策に重要なビジネスを手掛ける」(官邸筋)との理由から、事実上、経産省との二人三脚で進められてきた。だが、今回その「不透明な関係」が暴露されたことで、経営の混乱に拍車が掛かるのは避けられない情勢だ。

 福島第1原発の廃炉作業やエネルギー政策、半導体や量子暗号技術など、国の安全保障にかかわる事業を数多く手掛ける東芝だけに「癒着は駄目だが、官民一体となっての産業政策は必要。ただ、透明性は必要」(経済人)という声も出ている。

 東芝の経営混乱を避けるため、経産省は本来なら介入に乗り出したいところだが、「世論から官民癒着を厳しく批判される中、身動きが取れない」(商務情報政策局幹部)のが実情。25日の総会当日まで、東芝の経営はまだまだ混乱が続きそうだ。

ファンドに頼り、ファンドに振り回される東芝