業種や仕事内容を表す用語としてブルーカラーというワードを聞いたことがあるでしょう。ホワイトカラーと比較されることが多いブルーカラーですが、具体的にどういった業種や仕事内容なのでしょうか。

この記事では「ブルーカラー」の意味や特徴、収入、またホワイトカラーとの違いや将来性などについて解説します。グリーンカラーやピンクカラーなど、その他の労働者を指す用語についてもまとめました。

  • ブルーカラーについて

    ブルーカラーについて解説します

ブルーカラーとは? 意味や仕事内容、給与などを解説

ブルーカラーとは、作業着を着て行う仕事を総称した言葉です。カラー(collar)とは、英語で襟(えり)のことです。現場で作業を行う人たちが着ている制服や作業着の襟に青色が多いことからブルーカラーと呼ばれるようになりました。仕事をする際に服が汚れてもいいよう青色を採用したという背景もあるようです。

ブルーカラーは物づくりに関わる仕事なので肉体労働の仕事が多いですが、技術者の人たちも含まれます。

主なブルーカラーの業種・職種は建築・土木業や運送業、製造業など

具体的な業種としては製造業や運輸業、建設業などが該当し、工場作業員や清掃員、建設現場作業員などがブルーカラーとして挙げられます。また、農業、林業、水産業もブルーカラーに含まれます。

ブルーカラーの給与

ブルーカラーの給与について、厚生労働省が出している「令和2年賃金構造基本統計調査の概要」を基に、製造業と建設業を中心に紹介します。

製造業では、20~24歳の男性の平均月収が20万3,200円、女性で18万6,000円となっています。賃金が高くなる50~54歳で男性が40万7,000円、女性が24万7,600円です。

また建設業では20~24歳の男性が22万1,700円、女性が21万7,000円、50~54歳の男性が42万4,000円、女性が27万9,700円となっています。

ホワイトカラーである保険や金融業と比較すると、ブルーカラーは全体的に賃金が上がりにくく、その傾向は特に女性で顕著にあらわれています。

ブルーカラーの魅力・メリット

ブルーカラーは給与水準が比較的低く、基本的に肉体労働でもあることからマイナスのイメージを持たれてしまいがちです。しかし、未経験からでも挑戦できるという魅力があります。

一部の技術種は別ですが、その他のブルーカラーと呼ばれる仕事はPCのスキルなどを必要としないケースが多いです。

また後ほど詳しく解説しますが、ブルーカラーの仕事は細かい作業や人間の微妙な感覚が必要になるため、機械的な作業や計算を得意とするロボットに取って代えられるリスクが、ホワイトカラーに比べると低いともいわれています。

ブルーカラーの3K

ブルーカラーのイメージを表す言葉に「3K」があります。

ブルーカラーは肉体労働が多く、体力的にきついと感じることや、機械類や重機を扱う仕事が多いので危険も伴います。そのような働く上でのマイナスイメージから、「汚い」「きつい」「危険」の頭文字を取って「3K」という言葉ができました。

ブルーカラーの全ての仕事に当てはまるという訳ではありませんが、この「3K」のイメージは今でも根強く残っています。

  • ブルーカラーについて

    ブルーカラーは実際に現場で労働する人のことを指します

ブルーカラーとホワイトカラーの違い

ブルーカラーとよく比較される言葉にホワイトカラーがあります。その違いを見ていきましょう。

ホワイトカラーとは

ホワイトカラーとは、スーツの下に着ているワイシャツの「白い襟」からきているとされており、会社員や医師など、一般的にスーツを着用して働く人が該当します。

給与水準の違い

ブルーカラーに比べホワイトカラーの給与水準は高い傾向にあります。理由としては、ホワイトカラーの中には高度な技術や専門知識が求められる、医師やエンジニアなどの職業も含まれていることが挙げられます。

ただし企業規模や勤続年数などによっても変わってくるため、一概には言えません。

求められる能力・向いている人の違い

ブルーカラーとホワイトカラーでは仕事において求められる能力も異なります。ブルーカラーは実作業など身体を動かす仕事が多く、それに耐えられるだけの体力が必要になります。また、危険を伴う仕事も多いので、日頃から周囲に注意を向けられる人でないといけません。

一方、ホワイトカラーに求められる能力は就く仕事によってもさまざまです。医師やエンジニアのように高いスキルと専門知識が求められる職種もあれば、営業職や企画職のように社交性やコミュニケーション能力が必要とされることもあります。

転職時の違い

ブルーカラーは専門職なので、現場における普遍的なスキルや知識、技術が身に付きやすい環境であるといえます。そのため、それらを他の会社でも生かせる場合が多く、同業界や同職種であれば、転職に有利なケースが多いでしょう。

一方ホワイトカラーは、身に付くのが会社独自のローカルルールの下でのスキルやノウハウばかり、という会社も多いです。また、総合職の場合はさまざまな部署を異動し、専門スキルが身に付きづらいというケースもあります。そういった場合は、転職が難しくなるときもあるでしょう。

  • ブルーカラーとホワイトカラー

    ブルーカラーとホワイトカラーの違い

ブルーカラーの将来性とAI化

近年インターネットやAI化が急速に発展し、人工知能の発達や2045年問題など、将来を不安視する声も上がっています。2045年問題とは、AIなどの技術が人間の知能を超え、その影響で起こり得るさまざまな問題の総称で、その頃にはほとんどの仕事がAIに取って代わるともいわれています。

では、AI化が進む現代で、ブルーカラーの将来はどうなると予想されているのでしょうか。

ブルーカラーの将来性

ブルーカラーは、単純作業や肉体労働を伴う仕事が多いです。そのためロボットやAIにすぐ取って代わられてしまうのではと思う人も多いですが、実はホワイトカラーの方が先にAIに切り替えられる可能性が高いとされています。なぜなら、情報処理や演算などといった仕事は、人間と比べるとAIの方がはるかに能力が高いからです。

一方ブルーカラーの仕事は微妙な感覚が求められる場面が多々あります。また、賃金が安いことから、AIの機器を導入よりも人を雇用する方がコスパが良いというケースもあるのです。

このような理由から、ホワイトカラーの方が、将来AIに脅かされる確率が高いと考えられています。

  • ブルーカラーの将来性とAI化

    ブルーカラーの将来性はあるのでしょうか

ブルーカラー以外で、〇〇カラーと呼ばれる労働者を指す用語

ブルーカラーやホワイトカラー以外にも、世の中には「〇〇カラー」と呼ばれる仕事がたくさんあります。ここではその中からメジャーなカラーを紹介します。

グレーカラー

「グレーカラー」はブルーカラーとホワイトカラーの中間に位置する職業の人たちのことを指します。具体的な例としては、外回りなどの訪問営業や店舗の販売職が挙げられます。ある製品をホワイトカラーの人が企画し、ブルーカラーの人が製造し、グレーカラーの人によって販売されるようなイメージです。

また、グレーカラーはブルーカラーとホワイトカラーの両方の性質を持っている人に対しても使われます。

グリーンカラー

「グリーンカラー」とは緑のイメージ通り、環境に携わる業務をする人たちを指します。林業はもちろん、太陽光や風力発電といった環境を考慮したエネルギー開発に関する仕事をしている人たちに対しても使われる言葉です。

シルバーカラー

「シルバーカラー」は、いわゆるシルバー世代と呼ばれる65歳以上の高齢者に対してサービスを提供する仕事に従事している人たちを指します。訪問介護や老人ホームなどで働く福祉関係者をはじめとした、高齢者に関わる仕事をしている人たちを総称してシルバーカラーとしています。

ピンクカラー

「ピンクカラー」とは、「ピンク=女性」のイメージが由来となり、特に以前までは比較的女性が就くことが多いとされていた仕事や職種をいいます。代表的なのは、保育士や看護士、助産師などです。もともとは欧米諸国で作られた言葉であり、技術を要しない専門職のイメージが強くありましたが、現在では技術の有無に関わらず働く女性全般を意味する言葉として使われています。

オレンジカラー

「オレンジカラー」とは趣味を仕事にしている人たちを指します。さまざまな分野があることから、ブルーカラーやホワイトカラーのように特定の職種や業種に限定されるものではありません。フリーランスなどもオレンジカラーに含まれます。

メタルカラー

メタルカラーには2種類の意味があります。

ひとつはノンフィクション作家の山根一眞氏が提唱したメタルカラーで、最先端かつ高度なスキルを持つ技術職のことを指します。もうひとつがソフトバンクグループの孫正義氏の発言におけるメタルカラーで、ブルーカラーの仕事を代行するAIが搭載されたロボットのことをいいます。

  • 〇〇カラーと呼ばれる仕事

    〇〇カラーと呼ばれる職業は多数存在します

ブルーカラーについて正しく知っておこう

ブルーカラーとはどういった業種の人のことをいうのかや、ブルーカラーの収入、またホワイトカラーとの違いを中心に紹介しました。

現代で働く私たちは、AI化やインターネットの普及によりめまぐるしく変化する世の中に対応する力が求められています。

この急速に変化する社会情勢に対応するためにも、それぞれのカラーについて知って尊重し、一人ひとりが置かれている立場で柔軟に対応できる力を身に付けましょう。