【金融庁】証券会社に「株価最優先」求める報告書が波紋

金融庁が証券会社に対して、個人投資家の株式売買仲介で株価を最優先するように求めた報告書が波紋を広げている。

 同じ銘柄でもいくらで売買できるかは、東京証券取引所か、私設取引所(PTS)かという取引所ごとや、時点ごとでバラつきがある。一般的に株式をより安く買え、より高く売れることが投資家にとって有利な取引であるのは間違いない。

 だが、証券業界関係者は「実際は、売買できるまでの時間や、必要な株数を揃えられるかどうかの確実性を投資家が重視する場合もある。株価最優先が必ずしもベストオファーとは限らない」(中堅証券首脳)と強調し、困惑の表情を隠さない。

 金融庁は報告書を踏まえ、証券会社が東証やPTSなど複数の取引施設での株価を比較して最も有利なところに顧客の注文を回す「SOR(スマート・オーダー・ルーティング)」のルール化を目指す方針だが、日本では米国のように、全ての取引所の最も有利な買い気配と売り気配が一目で分かるようなシステムが整備されていない事情もある。このため、金融界からは「報告書は絵に描いた餅になるのではないか」という声が早くも出ており、金融庁の思惑通り進むかは見通せない状況だ。

 金融庁が業界の異論を強引に抑えてまで「株価最優先」にこだわった背景には、二つの理由がある。一つは森信親長官時代以来掲げてきた「顧客本位の業務運営」の徹底を目に見える形にすることだ。もう一つは昨秋のシステム障害でも弊害が出た、東証への取引一極集中の是正。

 金融庁は今後、証券業界とも連携し、日本版SORに必要な環境整備も図っていく方針というが、実現には業界の意見にも耳を傾ける姿勢がまず求められそうだ。

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