【農林水産省】有機農業の面積を40倍に 環境負荷を抑える新戦略

農林水産省は、環境に配慮した農林水産業の推進に向け、「みどりの食料システム戦略」を策定した。2050年までに有機農業面積を現状の40倍に相当する100万㌶に増やすほか、化学農薬の使用量半減などの目標を明記。いずれの目標も達成のハードルが高く、裏付けとなる予算の確保に加え、生産者や消費者の協力も欠かせない。

 有機農業は化学農薬や化学肥料を使わない栽培方法だ。欧州各国で盛んに行われている半面、日本ではあまり広まっていない。19年3月末時点の有機農業の面積は2万3700㌶と、50年目標と大きな開きもある。

 有機農産物は欧米で人気が高く、輸出拡大につながる期待がある一方、通常よりも割高なため、国内でどれほど浸透するかは未知数。国内消費者に手に取ってもらうには、コスト削減を図り、生産者と大手スーパーなどが連携する体制の構築がカギとなりそうだ。同時に、「努力する農家を認証する取り組みが必要」(自民党農林族議員)との声も聞かれる。

 戦略は、化学農薬や化学肥料に依存した生産体制の脱却もうたい、持続可能な農業の確立を目指す。病害虫に強い品種の育成を進め、毒性の弱い農薬に切り替えることにより、化学農薬の使用量を現状の半分に抑える。化学肥料も3割減らすとの方針も打ち出した。

 菅義偉首相がこだわる脱炭素化の取り組みも進める。50年までに農林水産分野の二酸化炭素(CO2)排出量をゼロにすると明記。漁船の燃料に蓄電池を活用することや、ビニールハウス栽培で使う暖房器具にはバイオマスを利用することにより、脱化石燃料を目指す。

 欧米では、環境に配慮した農業を推進する動きが活発化。日本もこうした潮流に乗り遅れないためにも、新戦略を打ち出した。ただ、ゴールがおよそ30年後と長い。「絵に描いた餅」(与党議員)とならぬよう、農水省の実行力が問われている。

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