ビジネスの現場では企画書の提出やプレゼンの際に、「ブラッシュアップ」という言葉が良く使われます。しかし、ブラッシュアップは使われる場面によって解釈が微妙に異なる言葉です。

そこでこの記事では、「ブラッシュアップ」の意味や正しい使い方について紹介。ブラッシュアップと混合しがちな類語や関連語の意味と、それぞれの違いについても解説します。

  • ブラッシュアップとは

    ブラッシュアップの正しい意味や使い方を解説

ブラッシュアップとは

ブラッシュアップには、磨き上げるという意味があります。ここで表現しているのは、掃除で物を磨き上げるといった物理的な意味ではなく、「存在するものや完成したものの技術や能力をさらに磨きをかけて高めたり良くしたりする」という意味です。

ブラッシュアップは何もない状態から始める時には使いません。企画やアイデア会議で「ブラッシュアップのしてもらえる?」と言われたら、今のものをベースにして修正や変更し、さらにいいものを作り出すという作業内容を頼まれたことになります。今の状態からよりよい状態に磨き上げるイメージで使いましょう。

ブラッシュアップの英語表記

ブラッシュアップの英語表記は「brush up」です。「○○をブラッシュアップする」と表記したい時は、前置詞「on」を使って「brush up on ○○」となります。

元になっている英語「brush up」と「brushup」には動詞と名詞の意味があります。動詞の「brush up」は「身だしなみを整える、勉強をやり直す」、名詞の「brushup」は、「身繕い、再勉強」という意味です。英語だと「身なりを整える」という意味でよく使われます。

一方、日本語でのブラッシュアップは同じ表記ですが、「能力や技術をさらによくなるように磨きをかける」という意味で使われます。このように日本語と英語ではブラッシュアップの意味合いが異なるため、ビジネスシーンで使用する場合は気を付けましょう。

ブラッシュアップのメリット

ブラッシュアップをビジネスシーンで活用するメリットについて紹介します。

効率良く作業を進めることができる

案や企画をブラッシュアップすることで、何が足りないのかが明確になります。ブラッシュアップするには、問題の課題や修正すべき点を明確にする必要があります。補完すべきことがわかるので、作業を効率的に進められるようになるのです。

案や企画を具体的でいいものにしていくことができる

たくさんのアイデアがあり厳選できない場合や、いいアイデアが生まれずに行き詰まってしまった時に、発想や視点を変えることでより具体的でいいアイデアに行き着くことができます。アイデアや情報を整理すれば、アイデア同士を組み合わせて新しいアイデアが生まれるメリットもあります。

このようにブラッシュアップを重ねることで、よりいい案や企画に行き着けるようになるのです。

  • ブラッシュアップとは

    ブラッシュアップすることで得られるメリットとは

ブラッシュアップの使い方

近年ビジネスシーンでもブラッシュアップが使われるようになりました。企画やプロジェクトの会議やアイデア出しで耳にする方も多いでしょう。ブラッシュアップの使い方をシーン別に紹介します。

アイデア

会議などで出されたアイデアに対して、さらに具体化したり煮詰めたりする場合にブラッシュアップは使われます。企画会議やプレゼンの場面でも、よく使われています。

・よりニーズのあるデザインを考えてブラッシュアップする必要がある。

・次回の会議までに、今日出た案をまとめてブラッシュアップしておいてほしい。

企画書

ブラッシュアップは企画書や資料に対しても使われます。

・今回の企画書はさらにブラッシュアップする必要がある。

・資料にある課題に対して、さらにブラッシュアップしていかなければならない。

能力

個人の技術や能力に対してもブラッシュアップは使われます。この場合、英語本来のブラッシュアップの意味や使い方に近いです。

・英語力をさらにブラッシュアップしないと、転職は難しい。

・プレゼン力をブラッシュアップしたことにより、営業成績が上昇した。

  • ブラッシュアップの使い方

    ブラッシュアップはアイデアや企画書、能力などに対して使うことができます

ブラッシュアップの類語・関連語

ブラッシュアップと混合しがちな類語や関連語の意味、それぞれの違いについても解説します。

スキルアップ

スキルアップには、「技術や腕前を向上させる」という意味があります。この意味合いだけを聞くと、ブラッシュアップを同じように捉えることができますが、スキルアップは和製英語なので日本でしか通用しません。

スキルアップは新しいスキルや能力を手に入れるといった、幅広い意味をもつ言葉です。今自分がもっていない技術や能力を手に入れる時はスキルアップを使いましょう。

・新たな資格を取得して、スキルアップに励んだ。

洗練

洗練(せんれん)には、詩や文章をよりよいものにする、という意味があります。また、人柄や趣味をあかぬけた優美なものにする、という意味もあります。物を洗ったり練って仕上げたりするように、磨きをかけてよりあかぬけた印象にする場合に使う言葉です。

ブラッシュアップと違い、洗練は「洗練された○○」のように、言葉単体よりも、後に続く言葉を説明する場合によく使われます。

・色味を変更したことで、より洗練されたデザインになった。

推敲

推敲(すいこう)の意味、は文章の字句、表現を良くするために練り直したり書き直したりすることです。

推敲の推は訓読みで「おす」と読みます。何かを推薦する、物理的に何かに力を与えて前進させる、という意味があります。一方、敲の読みは「たたく」です。何かをとんとんと打つ、という意味があります。

ブラッシュアップは対象が存在するものや完成したものの技術や能力に対して使われますが、推敲は詩や文章に対してのみ使います。

・大賞を受賞した論文は推敲を重ね完成した。

  •  ブラッシュアップの類義語・関連語

    ブラッシュアップの類義語や関連語

よりよい仕事をするためにはブラッシュアップが必要!

ブラッシュアップは、会議やプレゼンの際に大まかな概要が決まった後、さらに具体的にアイデアを練っていくようなビジネスシーンではよく使われる言葉です。しかし、英語の意味と日本のビジネスシーンで使われる意味が異なるので気を付けましょう。

ブラッシュアップをすることで客観的な意見を取り入れ、より質のよいものを作り上げることができます。ビジネスを成功に導くために、ブラッシュアップの仕方やメリットを理解し、上手に活用しましょう。