ニーズは、ビジネスシーンはもちろん日常会話の中でもよく使われる言葉です。しかし、あまりにも当たり前に使われている言葉であるため、深く意味を考える機会がないかもしれません。

この記事では、ニーズの意味や使い方について解説します。また類語や対義語、ウォンツとの違いなどもあわせて紹介するので覚えておきましょう。

  • ニーズとは

    ニーズの意味や使い方を解説します

ニーズとは

ニーズとは、英語のneedからきており「要求」「求めているもの」といった意味です。ビジネスにおけるニーズは「相手が求めている理想的な姿や状態」を指します。

多くのビジネスはニーズをベースとして展開しており、人の不満や欠乏から生まれるニーズを満たすため、何かを提供したり不安とのギャップを解消したりすることが求められます。

例えば、雨降りの日にそのまま外に出れば濡れてしまいます。これが現状の不満であるとすれば、「雨の日に濡れずに外出できる」ことが理想の状態でありニーズとなります。このニーズを正確に受け止めて、「雨に濡れないための道具である傘を提供する」「タクシーを手配する」などといった方法で不満を解消するによってビジネスが成立するのです。

このように、ニーズの意味を正しく理解するためには、顧客の不満と理想の状態のギャップについて考えることが重要となってきます。

ニーズとウォンツの違い

ニーズと混同されやすい言葉「ウォンツ」との違いについて考えましょう。ウォンツは英語で「欲する」「望む」などを意味するwantからきています。

ビジネスの世界ではニーズとウォンツは違った意味を持ちます。「ニーズ=目的」、「ウォンツ=手段」と考えると分かりやすいでしょう。

例えば、顧客から「傘が欲しい」という声があげられたとします。そこで、なぜ顧客が傘を求めているのかを考えます。通常、傘は雨に濡れずに外出するためのものです。つまり、目的は「雨に濡れずに外出すること」であり、これがニーズにあたります。そして顧客が「傘を手に入れること」は手段であり、ウォンツとなります。

このように、英語では似たような意味をもつウォンツとニーズですが、ビジネスでは異なるニュアンスをもつので注意しましょう。

ビジネスにおいてニーズを把握する意味

ビジネスの成立にはウォンツを知り、顧客が必要としている商品やサービスを把握、提供することが大切だと思われがちですが、より多角的なビジネスを展開するためにはニーズを把握することが必要です。

ニーズはウォンツからある程度推測できます。例えば「ゲーム機が欲しい」というウォンツがあったとします。そこから推測されるニーズは「ゲームがしたい」「暇つぶしがしたい」などです。しかし、このニーズを満たす方法は「ゲーム機を手に入れる」ことだけではありません。「ゲームがプレイできるスマホやタブレットを手に入れる」「気軽に利用できるアミューズメント施設を見つける」といった方法でもニーズを満たせるのです。

このように、ウォンツから本質的なニーズを把握することによって、顧客に対してさまざまなアプローチが可能となります。

もちろん、ウォンツを把握するだけでも顧客に売るべき商品を提供できます。しかし、ニーズをもとにして新たなウォンツを発掘することで、ビジネスをさらに展開できるのです。

  • ニーズとは

    ニーズとウォンツの違いを理解しましょう

ニーズの類語

ニーズの類語は「需要」です。ニーズの日本語訳としても一般的なので、そのまま置き換えることができます。そのほかにも、「必要性」「時代(世間・世の中)の要請」などがあります。

前述のとおり、「ウォンツ」はニーズと近い意味を持ち、関連性は深いものの、そのまま置き換えができる言葉ではないので注意しましょう。特に、ビジネスやマーケティング分野においては使い分けられることが多いです。

ニーズの対義語

ニーズの対義語として、「シーズ」があります。これは英語で種や子孫を意味するseedの複数形がカタカナ語として定着したものです。

ビジネスにおいてシーズは、企業などが新しく提供する商品やサービスのことを指します。消費者主体のニーズに対して、シーズは企業主体で作られ提供するため、対で使われる言葉となります。

・消費者の求めているものを追求する「ニーズ志向」と自社の商品の優位性をアピールする「シーズ志向」。

  • ニーズの類語と反対語

    ニーズの類語と対義語を覚えておきましょう

ニーズの使い方と例文

ニーズの正しい使い方について例文で紹介します。

・顧客のニーズを把握することが重要です。

・この商品は消費者のニーズにマッチしています。

このように、ニーズを会話などの中で使用する場合、「欲求」「求めていること」といった意味で取り入れます。

続いて、ビジネスシーンにおけるニーズの誤った使い方を紹介します。

・「傘が欲しい」という顧客のニーズに応える。

この例文は一見間違った使い方ではないように思えるかもしれません。しかし、ニーズとは現状と理想のギャップによって生まれる不満であり、解決手段ではありません。

この場合、「傘を手に入れる」ことは手段にあたりますので、ビジネス用語としてはニーズよりウォンツが適切です。

  • ニーズの使い方

    ニーズを使った例文

ニーズという言葉を使いこなそう

ニーズは英語のneedからきており「要求」「求めているもの」といった意味です。ニーズと混同されやすい言葉にウォンツがありますが、ビジネスの世界では「ニーズ=目的」「ウォンツ=手段」といった異なるニュアンスで使われます。

よく使われる言葉だからこそ、ニーズというの言葉の意味を正しく理解し、誤った使い方をしないようにしましょう。