【株価はどう動く?】規制、増税に向かう米国、株価急落には要警戒

株価が下落する「材料待ち」に
 前回も解説しましたが、日経平均株価は3万円で頭打ちとなって、下落調整局面が続いています。ニューヨークダウも5月10日に3万5091㌦という高値を付けた後に下落、こちらも調整気味になっています。

 価格の波動で言うと、今回の大相場の出発点はリーマンショックを織り込んだ、2009年3月10日の日経平均の安値7054円、ニューヨークは3月9日の7000㌦割れです。

 大相場の目途は出発点から5倍ですが、ニューヨークダウの3万5000㌦は5倍以上となっています。その意味で、価格の波動から見ても警戒ゾーンに入っていたということが言えます。しかも、09年から10年以上上げています。

 もう少し短いサイクルで見ても、昨年のコロナショックの3月安値から1年以上上昇を続けてきました。波動から見て、米国の株価はいつ当面の天井を付け、調整に入ってもおかしくない局面で、株価が下落する「材料待ち」だということです。

 そして、実際にその材料が出てきています。第1にバイデン政権によるウォール街規制の動きです。米SEC(証券取引委員会)委員長に就いたゲーリー・ゲンスラー氏は、政権の中でも最も規制派とされています。

 その意味で、米国の金融市場は徐々に規制に傾いてきていると見ています。その影響で株価の上値も重い展開になっているのです。

 第2の材料は増税です。バイデン大統領は就任以前から、ビッグハイテク企業への増税を公言してきていますから、それを実行してくるでしょう。それに加えて、ウォール街の金融取引の規制に乗り出してきているということです。ジャネット・イエレン財務長官の影響も大きいのではないかと見ます。

 今年はマネーバブル相場の始まりの年だと説明してきましたが、すでに昨年3月のコロナショックからマネーバブルが始まっており、上昇第1波が訪れ、足元ではその調整局面が来ているのではないかと見ています。ですから、きっかけ次第では大きく下落する可能性もある状況にあります。

 マネーバブル相場の象徴的存在である暗号資産(仮想通貨)のビットコインやイーサリアムはわずか1、2週間で50%下落する事態にもなっています。17年にあった相場が第1波だとすると今回は第2波ですが、この調整局面が来ています。下げ過ぎの反動高でリバウンドはあると思いますが、戻ったところで売却しないと、さらにもう1段の下げが待っている可能性もあります。

 暗号資産にも嫌な材料が出てきています。米財務省は暗号資産の送金に関して、1万㌦以上の場合には報告義務を課すとしているのです。大口の投資家を封じる動きになっています。

 日米の株式市場はともに佳境に入ってきていますから、警戒が必要です。方向性がはっきりするまで、個人投資家はできる限りキャッシュアップして現金比率を高めることが大事です。

 前述のように米国ではウォール街への規制の動きが出てきている他、富裕層や大企業に対する増税を行おうとしています。これらは全て株価にとって売り材料になります。ここで例えば、FRB(米連邦準備制度理事会)が金融政策を引き締め方向に変更したら、株価は暴落します。

 毎年8月に行われる経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で、FRBのパウエル議長が金融政策の修正を打ち出すのではないか? という観測も出てきています。そうなら、株価の上昇は夏までではないかと見ます。

日本は「金融戦争」に負けるのか?
 日本国内の動きでいうと、7月に東京都議会議員選挙が行われます。小池百合子都知事率いる都民ファーストの会が躍進すると、支持率低下に苦しむ菅義偉政権の足元が、さらに不安定になります。菅政権の支持率低下は株価下落の予兆ですから警戒が必要です。

 2020年11月3日の米大統領選でバイデン氏が当選してから6カ月株価は上昇しましたが、これも日柄です。短期の日柄は2、3カ月、中期は数カ月から半年、長期は約1年と言われており、中期の波動から見ても5月、6月まで株高が続き、その後調整局面に入る、あるいはすでに調整局面入りしている可能性もあります。

 5月11日付の日本証券新聞「相場の醍醐味」というコラムで面白い見方が紹介されていました。それによると今の日本は1945年の終戦の時と似てきているというのです。何の戦争かというと「金融戦争」です。

 また、この筆者は、東京五輪がこのまま開催されることを、戦中の「インパール作戦」に例えて危惧しています。極論ではありますが、一つの見方だと思います。

 金融面で日本が敗戦に直面しているという見方には賛同します。その証拠に、日本の銀行、証券グループの株価は全く上がっていない一方で、米ゴールドマン・サックスの株価は上昇しています。

 今の大局観は、マネーバブル相場の上昇第1波の佳境に入っており、当面の高値を付けて調整局面に入る可能性が高まっていますから要警戒です。夏までに米国株が上昇し、それに連動して日本の株価も上昇するということになると、そのあたりで日米の株価が当面の天井をつけるという展開が予想されます。

 そうなると、マネーバブル相場の中で、これまで資金は米国のニューハイテク企業、暗号資産に向かってきました。これが引き続き暗号資産に向かうのか、それとも不動産など別の資産に向かうのか。この余剰マネーがどの資産に流れ込むのかが、熱い夏を迎えそうな投資家にとっては重要なポイントになります。

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