俳優の斎藤工が、秋元康氏企画・原作のテレビ朝日系ドラマ『漂着者』(7月スタート、毎週金曜23:15~※一部地域除く)に主演することが11日、明らかになった。

斎藤工=テレビ朝日提供

斎藤が演じるのは、とある地方の海岸に漂着した謎の男・ヘミングウェイ。女子高生たちが軽い気持ちでSNSに動画を投稿すると「#イケメン全裸漂着者」というワードがトレンド入りするほどバズり、男は一躍時の人に。記憶喪失の彼が、世間を騒がせている事件を解決に導く予言めいた力を発揮することで、“教祖”のように人々を狂信させ、崇められる存在になっていく。

『あなたの番です』、斎藤も出演した『共演NG』など話題作を世に送り出し続ける稀代のヒットメーカー・秋元氏が企画・原作の同ドラマ。まつり上げられるのも一瞬、叩き落されるのも一瞬というSNS時代の光と闇を描く。

映画『シン・ウルトラマン』、『孤狼の血 LEVEL2』の公開を控え、多数の作品で唯一無二の存在感を発揮するほか、映画監督としても活躍する斎藤。テレビ朝日の連続ドラマは初主演となる。

ヘミングウェイの周囲では、少女の失踪や猟奇的な殺人など連続して不可解な事件が起きる。世間は、事件を見通しているかのような神がかった力を持つヘミングウェイを崇拝し、期待し、時に失望。ヘミングウェイ自身は終始一貫してフラットだが、人々は勝手に彼の言葉尻を捉え、一方的に一喜一憂して狂乱していく。

ヘミングウェイは予言者なのか、実は事件に関わる人物なのか。スクープを狙う女性新聞記者や疑いの目を向ける刑事らが素性を探る中、さらに不可解な事件が次々と発生。彼の正体が分かったとき、視聴者はきっと驚がくする――。

■斎藤工 コメント

――出演が決まったときの心境は。

実はかなり前にこのお話をいただいていたんですが、まず、「なぜ僕なんだろう……」と思いました。でもその後、今、このタイミングで作品自体も“漂着する”ことになり、すべての点が線になって繋がったような不思議な体験をしています。

『共演NG』の時にも、「秋元さんはどこまで先が見えている方なんだろう」と感じていたんですが、エンターテインメントを通じてみんなが思っていたことを表現してくださいますよね。サブスクリプションが主体となってきている時代に、民放のドラマはどうあるべきか、を示唆する作品だったなと思います。

この『漂着者』は、演じる僕自身が確固たる答えをもつというよりは、演じながら秋元さんのビジョンにたどり着いて行く、そんな作品になっていくんだと思います。

――台本を読んだ感想は。

僕は映画が好きなので、年齢の割にはいろいろな作品を見てきた方だと思うんですが、このドラマは何とも似つかない、かといってすごく奇をてらっているわけでもない。そして、新しいけれど懐かしい……という、すごく不思議な気持ちになりました。

今のこのご時世において、僕らは何かを断言してくれる人を求めているんじゃないかなと思います。そういう僕らが必要としている存在の象徴、一つの概念として、ヘミングウェイの姿を描いているドラマなんじゃないかなと思いました。

――正体不明のヘミングウェイを演じるにあたり、準備していることや参考にしている人は。

実際に僕の周りにも記憶の一部を失っている方がいらっしゃるんです。その方を見ていて、僕自身、何かを失った時に、別の能力が倍増してリカバリーするという、人間がもともと持ち合わせている英知を超えた能力というのは、実際にあると思っています。厳密にいうと、この方がモデルというわけではないんですが、これまで見てきた作品の主人公も含めていろいろなものを参考にさせていただきました。

ヘミングウェイは地上に降り立った人なのか、もしくは天界の人なのか……。地面から数センチ浮いているような価値観をもっているんだと思います。僕が思っている概念と、秋元さんが僕を選んでくださった事実に身を投じて、ヘミングウェイになっていけたらいいなと思います。

――もし、ヘミングウェイのような人物が現れたら。

僕らは今、人前に立って発言する職業の人たちの言葉の意味、本質みたいなものを吟味していると思うんです。人前に立つ公の人を、より厳しく見ている時期で、言葉の奥にある本質に目を凝らし、耳を澄ませている。一国民として僕自身も正直、純度が保たれた言葉がなかなか見当たらないな……と少し感じています。そういう意味でも、ヘミングウェイはそういう純度を保った言葉を残す、僕らが求めている人物なのかなと思います。

――視聴者へのメッセージを。

このドラマは足掛け3年で実現することになったんですが、いま振り返ってみると「この時間は必要なものだったんだな」と思います。2021年、皆さんに必要とされるドラマになっていく、そんな必然性を感じています。秋元さんが見ていらっしゃる“今”と“未来”を提示し、さらに僕自身が“見たいもの”を作っていきたいと思います。

■秋元康氏(企画・原作)コメント

毎日のように、テレビや新聞や雑誌で取り上げられている話題の人物が、もしも身許を偽ったとしても、今のネット時代、すぐに「あいつは、〇〇だ」と特定されるでしょう。では、もしも、どれだけマスコミが調べても、どこの誰なのか全くわからない正体不明の人物が現れたとしたら? しかも、その人物が「過去のことを全く思い出せない」と言い張る記憶喪失のイケメンだとしたら? そして、それが意味ありげに微笑む斎藤工だとしたら? 彼はどこからやって来たのでしょうか。何のために? そんなストーリーの続きを観たくなる“クリフハンガー”満載のドラマを企画しました。