「昆虫食」が近年注目を浴びてきている。メディアに取り上げられる頻度も高まってきているようだ。

昆虫食とは、文字通り、昆虫を食料とすること。昆虫を食する国と地域が世界には複数あり、以前から日本でも昆虫を食べる文化がある。たとえばイナゴ。イナゴの佃煮は筆者も幼い頃故郷で食べた記憶がある。ほかにも蜂、蚕など50種類以上の昆虫が食べられていたという記録もあるようだ。

そして最近は、昆虫食としてコオロギをよく耳にする。なぜ、コオロギが話題にあがるのか、どのような商品があるのか、今回はそんな話題について紹介してみたいと思う。

コオロギが昆虫食として注目されている理由とは?

昆虫食としてコオロギがよく話題にあがる理由は、4つほど挙げることができる。

1つ目は、高いタンパク質含有率。100gあたりに60gものタンパク質がコオロギには含まれているという。ちなみに鶏で23.3g、豚22.1g、牛21.2gのタンパク質量とあっという的にコオロギのタンパク質量が多いことがわかるだろう。 しかも亜鉛、鉄分、カルシウム、マグネシウム、ビタミン、オメガ3と人間に必要な栄養素も数多く含んでいる。そしてキチン質という食物繊維も含まれていて、腸内環境の正常化にも期待できる。

2つ目は、温室効果ガス排出量。体重あたりの温室効果ガスの排出量という指標で説明されている文献が多く、コオロギが排出する温室効果ガスはたった100g。豚は1,100g、牛は2,800gとなっている。

3つ目は、飼育に必要な水の量。コオロギはたった4リットル。鶏は2,300リットル、豚は3,500リットル、牛は2,2000リットルの水が必要となる。

4つ目は、飼育に必要なエサの量。1kgのタンパク質を生産するために必要なエサの量という指標が一般的なようだ。コオロギは1.7kg、鶏は2.5kg、豚は5kg、牛は10kgと圧倒的に少量で済む。

これらの理由は、コオロギ以外の昆虫全般に定量値ではなく定性的な説明としてはあてはまると思うが、コオロギはエサや水が少量で済み、しかも省スペースで飼育可能。さらに雑食なのでエサ代も低価格。成虫になるまでに35日程度と早く、ほかの昆虫に比べて早いなどメリットが多いのだ。

昆虫食の背景として世界の人口増加予測がある。以前は、2050年には世界の人口は100億人に達し、すでに2030年頃にはタンパク質の供給量が不足すると予想されていた。現在は、2050年には88億人に達すると下方修正されている研究結果もあるが、いずれにせよ、将来には食料面、環境面などの課題を解決できる可能性があるため、昆虫食の活用が脚光を浴びているのだ。

  • コオロギ昆虫食が注目される理由

    コオロギ昆虫食が注目される理由(出典:GRYLLUS)

コオロギ昆虫食はここまできた!せんべい、クッキー、パン、コーヒーも!

コオロギ昆虫食の商品をご存知な方も意外と多いかもしれない。たとえば、無印食品のコオロギせんべいは有名だろう。徳島大学の研究をベースに量産された食用コオロギを使用しているという。また、他社からはコオロギパン、コオロギプロテイン、コオロギスナック、コオロギクッキーなどさまざまな商品が販売されている。

2021年6月2日、ODD FUTUREから、CRICKET COFFEE(クリケットコーヒー)の販売を開始したというプレスリリースが出た。クリケットとは、コオロギの英語表記。ODD FUTUREのコオロギパウダーとバランスの良い酸味と苦みが特徴のブラジル産スペシャルティコーヒーをブレンドしたという。先に説明したように栄養価が高い。

  • ODD FUTUREのCRICKET COFFEE

    ODD FUTUREのCRICKET COFFEE(クリケットコーヒー)(出典:ODD FUTURE)

また、話題性があるものも紹介したい。昆虫食自動販売機だ。ティ・アイ・エスとアールオーエヌという企業が上野アメ横に少し前に設置した。コオロギ、タガメ、ゲンゴロウ、タランチュラなど、姿かたちがそのままのものからコオロギプロテインバーなど幅広いラインナップを取り揃えているという。日本では上野のほかにも、昆虫食自動販売機が設置されている場所がいくつかあるようだ。

  • 昆虫食自動販売機

    上野アメ横に設置された昆虫食自動販売機(出典:ティ・アイ・エス、アールオーエヌ)

実は、世界には昆虫食に取り組んでいる企業は想像以上に多い。その中でも、日本の企業数はトップクラスだ。そしてテクノロジーでも高いレベルと感じる。

例えば、BugMoがある。彼らは、ロボティクス、AI、ITを駆使したコオロギの自動養殖システムを構築することで給水、給餌から収穫まで養殖工程を自動化、安定価格・安定品質を実現するという。「こおろぎだし」も販売している。

ほかにもTAKEOは、コオロギを中心に食用昆虫の養殖技術の開発やその応用研究も手がけている。「むし畑」という畑で育てた牧草でトノサマバッタを養殖する取り組みもしており、効率的で、自動化された、大規模な工業的な昆虫生産もいいけれど、農業的な昆虫生産に敢えてチャレンジしている。

そしてGRYLLUSは、バイオサイエンス技術で、コオロギとテクノロジーを組み合わせることでさまざまな社会課題にアプローチしている企業だ。彼らも、コオロギの自動飼育システムを手がけている。そして、ゲノム編集技術による系統育種も興味深い。ゲノム編集技術でより食用に適した系統、大量生産に適した系統などの系統育種に尽力している。

いかがだっただろうか。コオロギ昆虫食に興味を持って頂けた方も多いのではないだろうか。

姿かたちそのままで食するのは、つらい方も多いだろう。しかし、粉末をつかった加工品であれば、それほど気にならないかもしれない。

また、味は「小エビ」に似ていると言われている。そして「コオロギ」という名称ではなく英語表記の「クリケット」という名称をつかった商品であれば心理的に気にならないかもしれない。

今後、コウロギの養殖技術、系統育種の技術などが進み、地球に優しい栄養価の高い、そして食べやすい美味しいものへと進化する可能性があるだろう。