マツダ929(ルーチェ)の今だから分かる新しい魅力|海外での評価は?

「コスモ・スポーツ」から「RX-8」まで、マツダのクーペの多くにはロータリーエンジン(RE)が搭載されていた。だが、その例外のクーペもいくつか存在する。ここで紹介する929は、REを搭載したRX-4が販売できなかった当時、上級モデルとして造られたモデルである。

昨年、アウグスブルクのマツダミュージアムを訪れた際、このドイツ市場向けの素晴らしいモデルに試乗することができた。ドイツはマツダにとって大きな市場のひとつであったため、フラッグシップクーペの品揃えは重要であった。パワーユニットは82bhpの4気筒で、性能よりもトルクと操縦性を重視したチューニングが施されており、エネルギッシュなRX-4とはまったく異なるものであった。

【REを搭載しないクラシックマツダ、929】(写真4点)

1970年代の日本車の多くがそうであったように、929 クーペにもイタリアンとアメリカンの両方のテイストを取り入れたデザインが施されている。2世代のコスモや、ベルトーネ時代のジウジアーロが描いたルーチェほど豪華ではないにしろ、この時代にふさわしいブロンズとブラウンのカラーコンビネーションは魅力的である。トランクラッチやCピラーのバッジなどに目を向けると、この車のディテールへのこだわりが伝わってくる。

車内に乗り込むと、多用されたブラウンのベロア生地が真っ先に目に入ってくる。ブラウン&ゴールドのダッシュボードには、美しいダイヤル類が配置され、キャビン全体に美しいディテールが施されている。エンジンをかけると、魅力的な吸気音と上品なエグゾーストノートが聞こえてくる。パワーは控えめで、5000rpm以下でも十分に楽しむことができる。マツダは0-100km/hが8.5秒、最高速度は約160kmと発表しているが、実際にはそれよりも速く感じられる。

走りのフィーリングは、従来のマツダと変わらないように思える。929のカタログを見てみると、ロータリーでない以外は、比較的標準的な装備ばかりであることがわかる。 フロントにはマクファーソン・ストラットとコイルスプリング、リアは半楕円リーフスプリングでリジッドアクスルを吊っている。軽いながらダイレクトなパワーアシスト・ステアリングと、適切な4段マニュアル・ギアボックスを備えているため、走りに夢中になるというよりは満足感が得られる。しかし、比較的しっかりしたサスペンションのおかげで、高速で滑らかなドイツの道路でも自信を持って走ることができる。

正直なところ、この車からは、REのスムーズで独特な出力特性によってもたらされる特別なドライビング感覚を得ることはできない。しかし、REでないことにより、他の車にない魅力も見えてくる。楽しさと性能の高さはもちろん、搭載されているレシプロエンジンのおかげで、より扱いやすい車に仕上がっており、他の車より手入れがしやすいのである。

まとめ:オクタン日本版編集部 文:Matthew Hayward