経費精算システムを導入して解決したい課題があるが、導入から運用開始までにどのような手間がかかるのか気になるという方も多くいます。本稿では、経費精算業務の抱える課題と経費精算システムの導入効果、システム導入から運用開始までの作業について解説します。

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経費精算システムとは

経費精算システムとは、経費精算業務(申請・チェック・承認)全体を効率化するためのシステムです。領収書を提出して申請する紙ベースの経費精算にはさまざまな課題があります。経費精算システムはそれらの課題を解決し、経理業務の効率化を実現します。

経費精算システムを導入する前の経理業務が抱える課題にはどのようなものがあるかについては、以降で具体的に整理しましょう。

経費精算システム導入前の課題

経費精算システムを導入する前の経理業務は、業務の効率化を妨げるさまざまな課題があります。具体的にはどのような課題なのか、順番に解説します。

1 手作業による仕分けや入力に手間がかかる

経費精算に紙の領収書提出を求めている場合、集めた領収書を手作業で仕分け、手入力で金額等を入力する手間がかかります。また、紙の領収書を保管するためのバインダーなどの文房具や保管場所の費用も無視できないコストです。

2 小口現金の管理が煩雑

経費精算を現金で行っている場合は、経理部門で用意しておく小口現金の管理が煩雑になる点も課題の1つです。会社の口座からの出金や残高確認、小口現金出納帳など、一連の細かな業務が積み重なり、経理部門のリソースを圧迫します。

3 従業員への支払業務の負担が大きい

会社によっては、経費精算が毎日必要になる場合もあります。従業員1人ずつ毎日経費精算を行う会社だと、経理部門の負担は大きいでしょう。

銀行の契約がFBデータでの振込ができるようになっていれば、振込業務の負担を軽減することも可能です。しかし、FBデータ作成を人手で行うと、人的ミスによる振込ミスが発生する可能性があります。振込ミスが発生すると、従業員とのやり取りや手戻り作業も増え、経理部門の負担を増やすこととなります。

4 申請から経費精算までのタイムラグが大きい

経費の申請業務は、申請から経費精算までどうしても時間がかかります。一般的に、経費申請の承認ワークフローは、経費発生部門と経理部門の2部門にわたる承認経路となります。

2部門の承認処理が終わってようやく経費精算が可能となるため、経費精算完了までのタイムラグは大きくなりがちです。上長が出張などで帰社できない日にかかってしまうと、承認処理が止まってしまいさらに時間がかかることもあります。

5 従業員数が増えると経費精算業務のコストも増大

従業員数の増加や事業の拡大が続くと経費精算業務にかかる人件費も増大します。人員を追加しても追いつかないほど経理部門の負担が過大になりそうなら、何らかの対策が必要です。

6 領収書やレシートの紛失など人的ミスがある

経費精算の領収書やレシートを紙のまま扱っていると、従業員自身や経理担当者が紛失してしまう可能性があります。領収書の再発行ができない場合、必要書類がないため経費精算ができなくなってしまいます。

また、金額などの手入力をしているとどうしても入力ミスは避けられません。ミスをした場合は手戻り作業も発生するので、そのぶん余計に業務負担が大きくなります。

7 経費申請者とのコミュニケーションストレス

経費申請者へ領収書提出を催促したり、申請情報の入力ミスを指摘して修正依頼をしたり、といったコミュニケーションストレスも無視できない課題です。スムーズに申請が進めばいいのですが、何度もやり取りが発生すると、メールを出すだけでも相当の手間がかかります。

経費精算業務の課題を解決する手段の1つが経費精算システムの導入です。では、経費精算システムを導入すると、具体的にどのような効果があるのでしょうか。

経費精算システムの導入効果7つ

経費精算システムを導入すると、さまざまな効果が期待できます。ここでは、主要な7つの導入効果を紹介します。

1 レシート撮影やICカード連携による申請者の負担軽減

レシート撮影やICカード連携によって、経費の情報を手入力しなくても、自動的に経費申請が可能となります。製品によってはレシート撮影と手入力が必要になる場合もありますが、紙の領収書やレシートをやり取りしなくて済む分、経費申請はとても楽になります。

また、交通系のICカード連携なら写真撮影も交通費の手入力も不要です。交通費の申請が自動化されると、従業員にとって負担が大幅に軽減されます。

2 社外からの申請や承認が可能

経費精算システムの多くは、スマホ対応をしており、社外からの申請や承認が可能です。出張で経費が発生するとその場ですぐに申請も可能になります。

出張後の出社日にまとめて経費を申請するのはかなりの手間です。しかし社外からすべて処理すれば、このような手間はかかりません。経費発生から申請までのタイムラグもなくなるため、領収書やレシートを紛失するリスクを低減できます。

3 申請から経費精算までの時間短縮

経費申請から経費精算までは、システム上ですべて行えます。申請者やその上司が出張中でも、承認処理はスマホからすぐに済ませることが可能です。従来なら何日もかかっていた経費精算完了までの業務も、数時間あれば完了できるため大幅な時間短縮になります。

4 経費精算業務の効率化と負担削減

経費精算システムでは、従業員から経費申請がある時点ですべての情報はシステム内に保存されます。そのため、紙の領収書のように経理部門で都度データ入力する必要はありません。紙の領収書では必要だった分別や整理、保管など一連の作業もなくなります。

申請者へのフォローも、一覧を確認して必要な人へまとめて連絡できるため、コミュニケーションストレスもかなり軽減されます。

1回の経費精算にかかる手間は、経費の申請内容を確認して承認処理をするのみです。経費の支払処理も、経費精算システムで自動化できます。そのため、従業員数の増大や事業拡大により経費精算処理が増加しても、経理部門の負担はそれほど重くならずに済みます。

5 定期区間の運賃を控除した交通費が簡単に申請できる

交通費の経費精算を行う場合、定期区間の運賃は控除して計算しなければなりません。経費精算システムの中には定期区間の運賃を自動計算する機能を持つ製品もあります。また、交通系ICカードのデータと連携できる製品の場合は、実際の運賃をそのままデータ連携できるため申請者は簡単に申請できます。

6 領収書の紛失防止

紙の領収書やレシートは、どうしても紛失のリスクがあります。経費精算システムで領収書やレシートの写真撮影を行い、紙での運用をなくしてしまえば、領収書の紛失防止にもなります。

領収書やレシートなどの電子データでの保存には、電子帳簿保存法に基づいた運用が必要です。事前準備には手間がかかりますが、経費精算業務の業務効率化に大きく貢献します。

7 内部統制の強化

経費精算システムには、ワークフロー機能があります。一定額以上の経費は事前稟議が必要な場合などにもワークフローを活用することで、承認者は誰で、実際に出張に行ったかどうかなども管理可能です。

以上、経費精算システムの導入効果について解説しました。次は、経費精算システムの導入について検討する場合、実際に経費精算システムの導入前から運用開始までにどういった準備や対応が必要かも確認しましょう。

経費精算システム導入前から運用開始までの10ステップ

経費精算システム導入前から運用開始までには、自社で検討・準備するべきことも多々あります。そこで、経費精算システム導入前から運用開始までの流れを10ステップにまとめました。具体的にどのような作業が必要になるのかをチェックしてください。

1 会社が抱える経費精算の課題を整理

経費精算システムの導入を検討する前に、会社が抱える経費精算の課題を整理することから始めてください。解決するべき課題によって、重視する機能が異なり、最適な製品も異なってくるためです。

経費精算業務の負担が重いため経理部門の負担軽減が必要な企業もあるでしょう。交通費の申請を自動化したい企業もあります。紙での領収書運用をやめて電子データでの経費精算に移行したいのでしょうか。課題が複数ある場合は、優先順位もきめてください。

2 利用する機能を明確化して経費精算システムの候補を数製品選ぶ

経費精算の課題の整理が終わると、経費精算システムの中で利用する機能が自然と明確になります。利用する機能を列挙した上で、経費精算システムの各製品情報を確認して、候補となる製品を複数選びましょう。

製品選定時点で、気になる情報があれば問い合わせます。料金の見積もりも比較検討には必要なため、製品を販売している会社に対し、個別見積もりを依頼しましょう。

3 社内ルールと比較してマッチする製品を絞り込む

数製品に絞り込んだところで、経費精算の社内ルールを確認して、よりフィットする製品かどうかも確認しましょう。社内ルールが特殊で合わない部分がある場合などは、社内ルールの変更やカスタマイズの必要性を吟味します。

特に、経費精算時の承認ワークフローについては、現状の承認ルート設定が可能かどうかを忘れず確認してください。

社内ルールの変更が必要な場合は、経費精算システム導入前に社内ルールの変更を行い周知徹底することも重要です。ルール変更と経費精算システム導入を同時に行うと、従業員が混乱する可能性もあります。

4 候補数製品に対し無料版・トライアル版などで操作性など確認

導入候補の製品に対しては、できる限り無料プランやトライアル版を利用したテストを行いましょう。実際に利用する経理部門や経費精算の多い部門の従業員に使ってもらうことが重要です。いくらいいシステムでも、現場部門が使いにくいと感じると業務効率がかえって下がるリスクがあります。

5 導入する経費精算システム決定

ここまでの手順で、導入する経費精算システムを決定します。このタイミングで、利用したいソリューションサービスも選択しましょう。

サービスのメニューは、導入支援サービス、従業員へ使い方を説明するサービス、導入後のサポートサービスなどがあります。製品によっては導入支援を無料で受けられる場合もあるので、各製品のサービスメニューはしっかり調査しておいてください。

システムの導入をスムーズにするために、必要なサービスメニューを積極的に活用しましょう。

6 導入に伴い必要な場合は以下の作業を実施

経費精算システムを導入する際は、状況などに応じて以下の作業を実施します。導入支援サービスを利用するとこれらの作業負担は少なくなるので、必要に応じて活用してください。

1 カスタマイズ開発

自社の経費精算ルールをすべてシステム化したい場合などに必要となる作業です。どのようなカスタマイズが必要かをまとめ、製品の販売会社にカスタマイズを依頼します。

2 システムの設定

経費精算システムに必要な基本設定を行います。設定内容は、社員・組織・役職などの基本情報や、経理関係の情報(勘定科目や仕訳など)、FBデータに関する情報などです。

3 承認フローの定義

承認フローの定義もこのタイミングで行います。大企業の場合は、テキストデータを読み込ませて一括定義できる機能があると便利です。基本情報として設定した組織情報・役職情報を利用して、承認の流れを定義します。

7 運用テスト

すべての設定を完了すると、経費精算システムの運用テストを開始します。経費精算の社内ルールにそった動きになっているかは特に重要な確認項目です。また、ここまで設定してきた基本情報や承認フローの情報に間違いはないか、カスタマイズした部分は仕様通りに動くかなども確認します。

8 経費精算システムの利用マニュアル作成

経費精算システムの運用テストを行っている間に、従業員用の利用マニュアルも作成します。システム導入前後に従業員研修を行う際の資料となるため、スケジューリングをして研修に間に合わせましょう。

9 経費精算システムの導入前後に従業員研修実施

経費精算システムの導入前後には、従業員に対してシステムの利用方法の研修を実施します。経費申請については全従業員、承認処理については役職者など、必要に応じて適切な範囲へ教育を進めてください。

10 運用開始

ここまでの準備が終われば、晴れて経費精算システムの運用開始となります。システム稼働直後はさまざまなトラブルが発生することも予想されるため、導入後しばらく手厚くサポートが受けられるソリューションメニューの活用も検討しましょう。

経費精算システムを導入して業務効率化を目指そう

経費精算システムを導入することで、経費精算業務全体を効率化できます。システム導入を進めるには、さまざまな準備が必要です。システム導入前後は特に多くの作業が必要となるため、必要に応じてメーカー側で用意されているサポートメニューを活用して、スムーズな導入を目指しましょう。

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