トヨタがEV投入にアクセル 中国では中間価格で勝負

トヨタ自動車が電気自動車(EV)の投入にアクセルを踏み出した。同社は25年までに世界でEVを15車種投入する。20年末時点で6車種だったが、一気に倍以上の車種を展開していく考えだ。

「EVに対する社会受容性とメーカーの技術開発との接点が、ある特定の地域とユーザーにおいては高まりつつある」──。執行役員の前田昌彦氏はこう語る。同社は電動化戦略では「それぞれの地域でのエネルギーの事情によって一番適したものを使っていただく」(幹部)というスタンスをとってきた。得意とするハイブリッド車(HV)に加え、プラグインハイブリッド車(PHV)、EV、燃料電池車(FCV)を含めた全方位という戦略だ。

 そこでトヨタは中国や欧州、米国など、EV需要が高く再生可能エネルギーが普及する地域を主戦場として位置付ける。その中でも今回の戦略の発表が「上海国際自動車ショー」の席上であるだけに、当面は中国での販売台数拡大がポイントだ。

 中国はEVなどを含めた「新エネルギー車」の販売台数は約135万台と世界最大。だがその中身を見ると、二極化が始まっている。高級EVでは400万円台の米テスラや中国のNIO(蔚来汽車)、逆に格安帯のEVでは上海汽車系の「宏光ミニ」などが出てきている。特に後者は約50万円で購入することができ、地方の農村部の購入者を獲得している。

 その中でトヨタのEVは両者の中間に当たる300万円台。EV生産の初期投資は数百億円とも言われており、その中でも電池のコストが大半を占め、「インパクトが大きい」(前田氏)。EVで利益を出せる体質にできるかどうかが課題となる。

 それに対してトヨタは「仲間づくり」をキーワードに掲げ、部品共通化によるリスク分散を狙う。具体的にはSUBARUと共同開発したEV専用プラットフォーム(車台)「e―TNGA」をベースとした新EVブランド「トヨタbZ(ビーズィー)」を立ち上げると共に、車両ではダイハツ工業やスズキと小型車を共同開発するほか、中国・比亜迪(BYD)とも提携する。

 日系自動車メーカーはもちろんのこと、電動化では欧州メーカーが先行する。電動化は国の政策によって大きく左右する。その流れに乗って販売台数を伸ばせるか。トヨタの勝負所となる。