企業の人事や労務、経理担当者の中には、膨大な量の給与明細をいつまで保管しておくか悩んでいる方も多いかもしれません。そこで、本記事では給与明細の保管の仕方や、電子化の導入を考えている方に向けて、給与明細の保管期間や保管の際の注意点、電子化することのメリットなどについて紹介します。

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給与明細の保管期間は?

給与明細における会社側の保管期間については、法律で定められていません。また、法律上は保管の義務もありません。しかし、給与明細は記載項目が賃金台帳と重なっていることから、実質的に賃金台帳に該当すると考えられます。法定三帳簿の1つでもある賃金台帳は最低5年間の保管が義務付けられているため、給与明細も賃金台帳と同じ扱いで最低5年間は保管しておくことが推奨されているのです。

もともとは従業員による賃金請求権の時効は発行から2年間でしたが、2020年に労働基準法が改正され5年間に延長されました。賃金請求権の証拠書類として利用できるよう給料未払い請求の時効を考慮するのであれば、法改正に合わせて5年間の保管が必要とされています。一方、雇用保険による基本手当などの請求時効を考慮する場合は、その期限が給与明細発行から2年間なので2年保管とするのもよいでしょう。

なぜ給与明細を保管しておくべきなのか

企業としては、給与明細を保管しておくことで「従業員に給与を支払った」という証明になります。そのため、従業員から未払い賃金請求が行われたときの証拠として役立てられるでしょう。 また、再発行を依頼された場合にも役立ちます。本来、企業には再発行依頼に対し応じなくてはいけない法的義務はありませんが、会社への信頼や利便性などを考えると、対応する方がよいでしょう。給与明細を保管しておけば、そのような場合にスムーズな対応が可能です。

従業員への給与明細保管の推奨

企業として給与明細を保管しておくことは必要ですが、従業員にも給与明細の保管を心がけてもらうことが大切です。厚生年金の加入期間の確認や、確定申告、ローンの申請などの際にも給与明細が必要になる場合があります。 従業員は会社から受け取った給与明細の取り扱いについて、法的な規定や保管義務などはないため、すぐに捨ててしまう人もいるかもしれません。しかし、確定申告やローンの申請などで必要になるため、再発行の手間をかけないためにも、しっかりと保管することを推奨しましょう。

給与明細を保管する際の注意点

ここからは給与明細を保管する際の注意点について、3つ紹介します。

検索しやすいファイリング

給与明細を探しやすく、また、見やすくするために検索しやすい状態でファイリングするとよいでしょう。個人や年度にわけて分かりやすくファイリングしなければ、探すだけで時間がかかってしまうため、必要なときにすぐ探し出せるよう常にまとめておくことが大切です。代表的なファイリング方法としては、バーチカルファイリングや簿冊式ファイリングなどが挙げられます。前者は分類した書類をまとめてフォルダに挟み込み、同様に作成したものをまとめて保管する方法で、後者はバインダーなどの表紙がついたファイルに書類をとじて、背表紙に見出しを記載しておく方法です。「〇年〇月分の確認が必要」といわれることも多いため、月単位での保管も便利でしょう。

適切な保管場所とスペースの確保

全従業員の給与明細を保管するためには、人数分のファイルやバインダーが必要になるだけでなく、それらをまとめて置いておくためのスペースが必要です。従業員数が100人だとすれば1年間で1200枚、それを5年間保管するとすれば6000枚になるといったように、従業員数が多ければ多いほど、膨大な量の給与明細を保管するスペースの確保が求められます。また、紙の給与明細は経年劣化などを起こさないようにするため、日当たりや湿度などにも注意が必要です。日が当たると変色したり脱色したりする可能性もあります。そのため、日が当たらない場所での保管が推奨されますが、一方で、暗くて湿気も溜まりやすいような場所でも紙が傷んでしまう恐れがあるため、風通しのよい場所に置くか、湿気対策をきちんと行うようにしましょう。

保管期間の設定と更新

保管期間を決めておかないと増え続ける給与明細の保管場所にも困ってしまうため、あらかじめ保管期間を設定しておくとよいでしょう。保管期間は書類によって定められている期間が異なるほか、給与明細については給料未払い請求の時効か、雇用保険による給付の請求時効を意識するかによって5年または2年の保管のどちらにするかが変わるため、事前に検討する必要があります。なお、保管期間を決めたら、期間を過ぎた書類については破棄などの更新作業も必要になり、作業には時間もコストもかかるでしょう。

給与明細を長期保管するなら電子化が便利?

給与明細の保管方法として、電子化という選択肢もあります。ここからは電子化についてのメリットを紹介します。

給与明細は電子化が可能

所得税では「給与の支払いを受ける従業員の承諾があれば支払明細書に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができるものの、請求があれば書面での交付に応じなければならない」と定められています。そのため、電子化すること自体は可能ですが、請求があった際には書面での交付に対応しなくてはいけないため、いつでも書面にできる状態にする必要があるでしょう。

紙で保管する際の問題を解決

給与明細の電子化を進めることでペーパーレス化につながり、紙やインク代などの経費や印刷をする手間などを削減できます。また、再発行が必要なときの検索も簡単で、すぐに発行もできます。紙の場合と異なり保管スペースが必要ないため、従業員数が多くても保管場所や保管環境にも困ることもないでしょう。ほかにも、長期保管をする際に起こり得るデータの改ざんや紛失といった諸問題からも解放されるでしょう。このように、給与明細を電子化することで、紙で給与明細を保管する際に生じるさまざまな問題が解決できる点が魅力といえます。

給与明細の管理だけでなく作成も簡単に

Web給与明細システムを導入すれば給与明細の管理だけでなく、給与計算そのものも簡単になります。システムで管理を行うことで、手動で計算を行った場合に起こり得る打ち間違いなどのヒューマンエラーを減らすことができるほか、税率が変わった場合も自動で対応できるメリットもあるのです。

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給与明細を電子化して保管するときの注意点

多くのメリットがある給与明細の電子化ですが、いくつか注意しなくてはいけない点もあります。ここからは、給与明細を電子化する場合の注意点について3つ紹介します。

従業員の同意が必要

平成19年1月1日の税制改正で、電子化することについては認められていますが、電子交付を行う際には、従業員の承諾や同意を得る必要があると規定されています。そのため、システムを導入して、書面での管理からデータでの管理に変える場合は、事前に社員の同意を得るようにしましょう。また、書面で交付してほしいという依頼があった場合は、印刷して渡す必要があります。

既存システムとの連携

導入するWeb給与明細システムによっては、取込みデータの加工など手間がかかる場合も考えられます。既存システムがある場合は、両者の連携ができるかどうかをしっかり確認しておかなくてはいけません。連携が上手くいかない場合は追加開発が必要になることもあり、スムーズな導入に結び付かなくなる恐れもあります。そのため、人事部門で導入の決定を進める場合でも、事前に情報システム部門をはじめとした関連部門と調整する必要があるでしょう。

セキュリティ対策

データで情報を管理することで、情報漏洩の危険があることは否めません。そのような問題が起こると会社への信用度の低下にもつながるでしょう。第三者への情報漏洩を防ぐためには、セキュリティソフトを取り入れたり、定期的にパスワードを変更したりするなど、外部からの脅威に備えて、最新のセキュリティ対策を講じることが重要です。

まとめ

Web給与明細システムを導入し、給与明細の電子化を行うことで、保管場所とスペースの確保の問題をはじめとした、紙で保管する際のあらゆる課題の解消につながります。従業員からの同意を得ることや、セキュリティ対策を行うなどの注意点もありますが、会社全体としての業務効率化にも役立てられるでしょう。

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