【厚生労働省】「キムリア」値下げ 高額薬が保険財政を圧迫

厚生労働省は4月、白血病などの治療薬「キムリア」の公定価格(薬価)を引き下げる案を中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関、中医協)に諮り、了承された。

 現行価格から約146万円下げ、1患者当たり3264万7761円とする。7月から適用する予定。しかし値下げ後も高額で、患者の自己負担には上限があるため、大部分は保険料や公費で賄われる。画期的な治療薬は患者にとって福音だが、医療保険財政を圧迫しかねない状況だ。

 キムリアはスイスの製薬大手ノバルティスファーマが開発。19年5月、当時の国内最高額となる3349万3407円で保険適用された。現在の価格は消費税増税のため3411万3655円。自己負担が3割の人がキムリアを使えば支払額は約1千万円。ただ、患者負担に上限を設ける「高額療養費制度」を使うと、年収500万円の人の支払額は約40万円で、残りは保険料や公費の負担となる。小規模健保にとっては運営を左右しかねない額だ。

 中医協委員を務める健康保険組合連合会の幸野庄司理事は「患者の命を救う医薬品の薬価が適正化されることは歓迎するが、現行の薬価制度だけでは国民皆保険制度を維持するには限界がある。医薬品の保険給付範囲の在り方を根本的に見直す必要がある」と指摘した。

 財政負担を減らすため、政府は薬価見直しを強化している。がん治療薬「オプジーボ」は値下げが繰り返され、100ミリグラム72万円から17万円になった(投与量は患者によって異なる)。高額薬の費用対効果を調べて価格を調整する仕組みも19年度に本格導入され、キムリアはこの仕組みで初めて値下げされた。

 薬価の国内最高額は「脊髄性筋萎縮症(SMA)」の治療薬「ゾルゲンスマ」で、1患者当たり1億6707万円。キムリアは引き下げ後も2番目に高い。3番目は脊髄損傷の治療薬「ステミラック」で1523万円となっている。