【国土交通省】医療は陸上の方が効果的 「病院船」の保有は見送り

災害時に海上で医療活動を行う拠点となる「病院船」に関して、政府は3月末、昨年度に実施した調査結果を公表し、保有を当面見送る方針を示した。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、与野党から導入を求める声が上がっていたが、調査結果は、感染症に対する医療は陸上で行った方が効果的だと指摘。「新たな船舶を建造する必要性は乏しい」と結論付けた。

 病院船を巡っては、多くの医療機関が倒壊した東日本大震災の直後にも調査を実施し、13年に報告書を取りまとめていた。

 報告書は、▽建造費が1隻当たり最大350億円、維持費が年間最大25億円と高額▽医療スタッフの確保が困難▽災害直後には寄港できない──などを課題として列挙。政府は導入を見送った。

 だが、新型コロナの感染拡大を受け、病院船の導入を目指す超党派の「病院船・災害時多目的支援船建造推進議員連盟」(衛藤征士郎会長)が昨年発足。これを受け、内閣府は再調査するための経費を20年度第1次補正予算に計上した。「大震災の後の調査よりも本気度を示すため」(内閣府関係者)に、国土交通、厚生労働、防衛各省が連携して調査が進められた。

 ただ、病院船の建造は、造船業界も一定の関心を示していたが、ある国交省幹部は「(額が)大きいから、業界も難しいことは分かっているようだ」と指摘。「それよりも政治家が前のめりになっている」と話す。

 先の内閣府関係者は「造っても活用できなければ意味がない。建造しない方針が示されたことで、導入の議論が下火になってくれれば」とこぼしていた。