市場動向調査会社である米IDCによると、2020年の半導体市場は前年比10.8%増の4640億ドルに達したという。また、2021年の半導体市場については同12.5%増の5220億ドルに達すると予測している。

2021年の成長市場はPC/サーバと携帯電話

IDCによると、2020年におけるPCやサーバなどのコンピューティングシステム向け半導体市場は、半導体市場全体の伸びを上回り、前年比17.3%増の1600億ドルになったという。同社のコンピューティング半導体調査担当VPのShane Rau氏は、「PCプロセッサの需要は2021年も引き続き堅調である。そのため、IDCは、2021年のコンピューティングシステム向け半導体市場を同7.7%増の1730億ドルになると予測している」と述べている。

また、携帯電話向け半導体市場について、同社コネクティビティおよびスマートフォン半導体担当ディレクタのPhil Solis氏は、「2020年の携帯電話出荷台数は前年比10%以上減少したが、携帯電話向け半導体の売上高は同9.1%増となった。これは、高価格な5G向けが伸びたほか、1台あたりのメモリやセンサ、RFチップの搭載数の増加によるところが大きい」と述べているほか、「2021年は、5G対応スマートフォン(スマホ)が携帯電話出荷数の34%を占めるのに対し、5Gスマホ向け半導体は携帯電話用半導体市場の売上高のほぼ3分の2を占めるため、IDCは、2021年の同市場を同23.3%増の1470億ドルになると予測している」ともしている。

コンシューマも自動車も手堅く成長

2020年にゲーム機をはじめとして好調であったコンシューマ向け半導体市場の規模は同7.7%増の600億ドルとなったという。同社のコンシューマ用半導体担当マネージャーであるRudy Torrijos氏は、「Apple、AMD、およびIntelは、消費者が自宅のデジタルスペースをアップグレードするにつれて、並外れた成長を示した。また、2021年もMicrosoftとソニーの新しいビデオゲーム機、Appleのウェアラブルの販売が引き続き好調であることに加え、Amazon AlexaとGoogle Assistantのスマートホームネットワークの台頭により、市場規模は同8.9%増となるだろう」と述べている。

また、同社の車載半導体調査担当マネージャーのNina Turner氏は、「自動車の売上高は2020年後半に回復したが、一部の自動車用半導体の供給不足は2021年を通して続く。これは、火災や工場の稼働停止などによる影響が、特に米国と欧州における半導体エコシステムの中において顧客に届くまでの時間がかかるためである」と語るが、2021年の車載半導体市場については同13.6%増との予測を示している。

なお、同社の半導体プログラム担当バイスプレジデントであるMario Morales氏は、「2019年末から始まったスーパーサイクルがいまだ衰えることなく強含みで継続しているので、2021年も半導体産業は好況となるだろう。市場は、サプライチェーンの特定のセクターの供給不足に目を奪われてしまっているが、強調したいのは、すべての主要な最終製品とコンテンツの成長にとって半導体がいかに重要であるかということである」と指摘している。