【人気エコノミストの提言】徐々に下がってきている海外現地生産比率

内閣府経済社会総合研究所から3月30日に結果が公表された2020年度の「企業行動に関するアンケート調査」は、今年1月に実施されたものである。新型コロナウイルス感染が拡大する中で、企業の行動がどう変わってきたかを知ることができるため、興味深い。

 上場企業を対象に、今後3年間(21~23年度平均)および今後5年間(21~25年度平均)の日本の実質経済成長率見通しをたずねたところ、それぞれ1・2%、1・1%という結果になった。コロナ危機の長期化にもかかわらず、前年度の調査結果(いずれも0・8%)から上向いており、企業の中期的な期待成長率は下方シフトしていない。

 その一方、設備投資の意欲は停滞している。過去3年間(18~20年度)に設備投資を増やした企業の割合(全産業)は68・5 % で、前年度(77・3%)から大きく下がった。うち製造業は80・3%から69・9%への大幅低下である。今後3年間(21~23年度平均)に設備投資を増やす見通しの企業(全産業)は61・6%にとどまった。

 また、変異株を含む新型コロナウイルス流入を阻止すべく国境を閉じる動きが珍しくなくなる中で、各国の経済は「内向き」の様相を強めつつある。

 そうした公衆衛生面の施策に加えて、バイデン政権になってからむしろ激しさを増しつつある感も漂う米国と中国の対立を起点にして、国境を越えたサプライチェーンを立ち止まって見直す動きが広がりつつあり、日本企業の戦略にも影響を及ぼしつつある。

 上記の調査によると、日本の製造業(上場企業)で海外現地生産を行う企業の割合は、19年度実績が64・6%、20年度実績見込みが64・2%であり、25年度見通しは62・2%というさらに低い数字である。

 また、海外現地生産による生産高を国内生産と海外生産の合計で割った海外現地生産比率は、19年度実績(実数値平均)が21・4%、20年度実績見込みは20・5%に小幅低下。25年度見通しは21・2%とやや持ち直しているが、人口減・少子高齢化で国内市場の縮小が避けられず、日本企業が海外に活路を見出そうとしている中での数字としては、やや心もとないようにも思う。

 同じ調査には、輸出企業の採算円レート(ドル・円)が99・8円(実数値平均)という集計結果もある。前年度の調査では100・2円だったので、円高への耐久力がわずかに増した形である。

 足元の市場実勢は採算レートよりもかなり円安ドル高に位置しており、為替相場の面だけから言えば、輸出採算は好転し、企業業績は上方修正含みである。

 しかし、為替相場はしばしば非常にスピーディーに動く。円安のぬるま湯に安住せず、中長期の的確な戦略を打ち出していく姿勢は、輸出企業にも当然求められてくる。