【国土交通省】改めて、スエズ運河への依存リスクが浮き彫りに

3月23日にスエズ運河で発生した座礁事故。大型コンテナ船が運河をふさぐ形となり、400隻以上の船が足止めされた。
6日後に離礁し、影響は解消に向かったが、事故はスエズ運河に依存する現状の海上物流のリスクを浮き彫りにした。

 赤羽一嘉国土交通相は輸送ルートの多様化について「改めて検討したい」との意向を示すが、選択肢となるシベリア鉄道も北極海航路も現状では課題が多い。

 事故は愛媛県今治市の正栄汽船が所有し、台湾の長栄海運が運航するコンテナ船が起こした。当初、復旧作業が難航したことから、事態の長期化をにらみ、1週間程度の遠回りとなる喜望峰経由のルートに切り替えた船舶もあった。世界の海上輸送の1割が利用するスエズ運河の重要性と、その依存リスクを改めて認識させる事故となった。

 国交省では、事故以前から海上輸送、航空輸送に次ぐ、日欧間の物流ルートとすべく、シベリア鉄道の活用を模索してきた。2018年度からは鉄道による貨物輸送のパイロット事業を実施。これまでの検証では、リードタイムは海上輸送に比べ約半分にできたものの、コストは1・5倍以上との結果が出ている。

 北極海航路の活用も検討中だ。温暖化の影響で海氷が減り、今後、北極海を航行しやすくなる可能性があることをにらみ、産学官連携協議会を立ち上げて議論を進めている。とはいえ、北極海を航行できるのは夏季に限られる。定期運航が多いコンテナ船が利用するにはハードルが高い。

 いずれも輸送手段、ルートの多様化の選択肢ではあるものの、スエズルートの代替手段としては荷が重い。赤羽氏自身も「現時点では輸送力や通年運航といった点で課題があるのが現実」と認めており、スエズ依存からの脱却は遠そうだ。