ウイングアーク1st・田中潤社長「帳票、データによる可視化サービスをクラウドで提供し、 企業のDXに貢献していく」

たなか・じゅん
1976年11月千葉県生まれ。99年エリスネット入社。システム開発エンジニアとして企業の業務システム、ウェブアプリケーション、ECサービスの開発に携わった後、2004年ウイングアーク1st入社。11年執行役員CTO、12年取締役、17年取締役副社長COO、18年代表取締役社長、20年代表取締役社長兼CEOに就任。
クラウドに注力するため非上場化を決断
 当社は企業向けに請求書や伝票の作業を効率化する帳票ソフトウェアと、データを可視化するソフトウェアを提供している会社です。帳票ソフトでは国内シェアNo・1となっています。

 2021年3月16日に東証1部に上場しました。13年にMBO(経営陣による買収)で非上場化してから8年ぶりの上場になります。

内野氏と田中氏

上場当日に、創業者で会長の内野弘幸さん(右)とオフィスのエントランスで2ショット。お祝いの花も数多く届いた

 今の環境を見るとソフトウェア以上にクラウドサービスの重要度が増していますが、以前に上場している時から、その状況が強まるであろうことは感じていました。

 しかし、以前の我々はソフトウェア開発に強い会社で、技術的にはクラウドに取り組むことはできても、運用のプラットフォームづくりなど、これまでと違う事業モデルを築くとともに、そのための投資をする必要がありました。

 ここで思い切ってクラウドにシフトしなければ、次の成長ステージに移れないと考えて非上場化し、クラウドに向けたチャレンジ体制を整えることを決めたのです。クラウド体制の構築は海外市場を開拓するためにも必要な武器でした。

 投資をしながら業績を落とさずに体制構築ができたのですが、次に必要になってきたのが、クラウドでデータをお預かりする上でのお客様からの「信頼」です。16年から本格的に再上場の準備を始め、19年、20年と上場承認を得ましたが、いずれも上場直前に株式市場が大荒れだったこともあって取りやめざるを得なくなりました。

 そうしてコロナ禍に入ったわけですが、この逆境を追い風にできれば、お客様からの信頼が得られるのではないかと考えを切り替えました。

 取り組んだのが社内の改革です。緊急事態宣言が出る前の3月初旬にリモートワークを主体とし、オフィス全体の3分の2にあたる面積である約1000坪を解約しました。残りの3分の1はフリーアドレスの作業スペース、オンラインイベントのスペース、商談スペース、管理部門の執務スペースとしました。

 それでも一部の社員は「出社しないと仕事ができない」というので、その原因を徹底的に突き詰めて、ペーパーレス、脱ハンコなどを進めたことで、ほぼフルリモートで業務が回る体制を構築することができたのです。コロナ禍でデジタル化推進の流れがさらに強まり、これも事業推進の追い風になると考え、再上場に踏み切ったというのがこれまでの経緯です。

データと世の中を変える
 当社は帳票・文書管理の分野でいうと、累積で約2万6000社にソフトウェア・サービスを提供していますが、日本にはまだまだ企業が数多くありますから、掘り起こすべき市場はあります。

 我々が目指しているのは、1社でメガカンパニーになることではありません。1社でできることは限られますが、今は「データで世の中を変える」という我々の志に賛同して下さる方々と共にビジネスをつくっていくことが大事な時代です。

 皆で力を合わせて日本をよくしていかないと、世界と戦うことはできません。その意味で将来において、我々が何か行動を起こすと、みんなが共感をして集まってくれるような、「物事の中心になる会社」でありたいと考えています。

新入社員研修

新入社員研修に登壇する田中さん。結果を出すことの重要性について、熱く語りかけた