「優良企業」と謳われたJT 初の減配で経営の「曲がり角」

高配当の優良企業と評価されてきた日本たばこ産業(JT)の経営が曲がり角に差し掛かっている。

 喫煙規制強化などを背景にした紙巻きタバコ市場の縮小と、加熱式タバコへの出遅れから国内事業が振るわない上、成長ドライバーだった海外事業も新型コロナウイルスの感染拡大の影響で販売量が減少。新興国通貨の下落も重なり、収益が大きく落ち込んでいるためだ。
 
 21年12月期連結決算(国際会計基準)は減収減益が見込まれ、年間配当予想が前期比24円減の130円と、1994年の上場以来、初の減配となる見通し。

 社長の寺畠正道氏は巻き返しに向けて「加熱式タバコに経営資源を集中する」と強調。紙巻きタバコ部門の効率化に向けて46歳以上の社員を対象にした希望退職募集を含む約3000人規模の人員削減策や、九州工場(福岡県筑紫野市)の閉鎖などリストラを進めている。

 さらに、22年をメドにタバコ事業の本社機能をスイス・ジュネーブにある海外子会社のJTインターナショナル(JTI)に移管す”荒療治”にも踏み切る。

「これまで国内外で別々に取り組んできた加熱式タバコの開発を一本化し、効率的かつ機動的な新製品を世界に供給する狙い」(JT幹部)というが、果たして奏功するか。
 
 85年に旧・日本専売公社が民営化されて誕生したJTの株式は今も国が3分の1超を握る。年間700億円―1000億円に上る配当金は財政投融資の原資でもあるだけに、国もJTの経営改善の行方を注視している。

 ただ、新型コロナウイルスによる重症化リスクも指摘される中、今後は紙巻きにしろ、加熱式にしろタバコ需要の世界的な減少傾向が強まる恐れもある。JTが持続的な成長力を回復するためには、新たな収益源と期待しながら十分に育成できてこなかった食品や医薬品事業をテコ入れし、「タバコ1本足打法」からの脱却を進めることも必要になりそうで、今後も厳しい状況が続く。