日本電産がセルビアに新工場 10年で2千億円投資

「欧州は日本に先駆けて環境規制に取り組んでおり、先頭を走っていると思う。グループの拠点をセルビアに集約することで、調達コストのスケールメリットが生まれるし、地元から大切にしてもらえると思う」。こう語るのは日本電産社長の関潤氏。

 日本電産がセルビア共和国に車載用モーターやインバーターの新工場を設立する。近年、欧州では環境規制の強化や各国での乗用車のCO₂(二酸化炭素)排出量の規制厳格化を受けて、車載用モーターや関連製品の需要が拡大している。同社はこれまでベトナムやタイ、メキシコである程度、生産拠点の集約化を進めてきたが、今後10年で2千億円を投資。複数のグループ会社が段階的にセルビアに進出し、東欧の中核拠点をセルビアに集約するという。

 設立するのは首都ベオグラードから北西約90㌔㍍に位置するノヴィ・サド市。建設着工は9月、竣工は22年中旬を予定。ノヴィ・サド大学と戦略提携し、産学連携を通じた技術交流に取り組むとしている。現在、世界中で脱炭素の機運が高まり、同社の注力事業であるEV(電気自動車)用駆動モーターへの引き合いが増加しているからだ。

 これまでパソコンに使用されるハードディスク駆動装置(HDD)用モーターなどを中心に精密小型モーターで成長してきた同社だが、近年は自動車向けに軸足を移すことで、30年度の売上高10兆円(21年3月期は1兆5500億円の見通し)を目標に掲げている。

「われわれは拡大にあたってセルビアという地を選んだ。EV化は中国よりも欧州の方が進んでいる。売上高10兆円を達成しようとすると、これくらいの投資は必要」と語る関氏。

 電動化に向けて動き出した世界の自動車業界。日本勢が後れをとっていると言われる中で、中核部品メーカー・日本電産の攻勢が続いている。