村上春樹「個人的に昔からボサノヴァが大好き」第2回「村上JAM」で“ボサノヴァ愛”を語る
作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMの特別番組「村上RADIO」。第22回目放送となる今回は、2月14日(日)に開催された配信ライブイベント「TOKYO FM開局50周年記念 村上春樹produce「MURAKAMI JAM ~いけないボサノヴァ Blame it on the Bossa Nova~ supported by Salesforce」(以下、「村上JAM」)の模様を凝縮して、3月29 日(日)にオンエア。

TOKYO FM開局50周年記念 村上春樹produce「MURAKAMI JAM ~いけないボサノヴァ Blame it on the Bossa Nova~ supported by Salesforce」



音楽監督・大西順子さんが率いる「MURAKAMI JAMボサノヴァバンド」をはじめ、ジャズピアニストの山下洋輔さんと坂本美雨さんのパフォーマンス、村治佳織さんのクラシックギターをバックに村上さんが朗読を披露するなど、盛りだくさんの内容でお送りしました。
この記事では、第1部での村上さんからのコメントと、大西さんからの「MURAKAMI JAMボサノヴァバンド」メンバー紹介、ボサノヴァトークの模様を紹介します。

大西順子さん



こんばんは、村上春樹です。「MURAKAMI JAM~いけないボサノヴァ~レディオスペシャル」。

2月14日(日)に「MURAKAMI JAM~いけないボサノヴァ Blame it on the Bossa Nova~」を開催しました。「村上JAM」はこれで2回目、今回のテーマはボサノヴァでした。音楽監督は大西順子さん。スペシャルバンドを組んで演奏してくれました。ゲストアーティストとして、山下洋輔さん、小野リサさん、村治佳織さんが集まってくれました。僕の朗読と村治さんの演奏のコラボも披露しました。これね、なかなか楽しかったですよ。

僕はこういうライブ配信みたいなものに出るのは初めてなんですけど、緊張したかと言われると、そんなに緊張しなかったですね。素敵な音楽がかかっていたから。僕は音楽があるとそんなに緊張しないんです。

今夜はほぼ2時間、「MURAKAMI JAM~いけないボサノヴァ~レディオスペシャル」をお届けします。会場に来られなった方、オンライン配信を観られなかったという方も、今夜はラジオの前でゆっくり「村上JAM」を楽しんでください。

◆オープニング曲「Madison Time」ボサノヴァ・バージョン

村上:こんにちは、村上春樹です

美雨:こんにちは、坂本美雨です。「村上春樹produce MURAKMI JAM~いけないボサノヴァBlame it on the Bossa Nova~ supported by Salesforce」いよいよスタートです! さて、「村上RADIO」が始まって2年半になりますね。

村上:もう、そんなになるんですね。

美雨:はい、そしてこの「村上JAM」の開催は、2回目となります!

村上:1回目は、かなり手探り状態で一所懸命やっていたんですけど、2回目はなにかテーマを設けたほうがいいということで、ボサノヴァでいくことになりました。こういう緊張する時代ですけれど、少しでもリラックスして楽しんでいただければと思います。

美雨:「村上JAM」、今回はボサノヴァがテーマということで、オープニングソング「Madison Time」もボサノヴァ・バージョンでスタートしました。今回は1人でも多くの方に音楽を届けたいとの思いで、オンラインでの開催となっています。会場は定員を通常の半分にして、お集まりいただいています。感染対策を徹底して開催しています。みなさん、声援はどうぞ盛大な拍手でお願いいたします。

総合プロデュースは村上春樹さん、そして音楽監督はジャズピアニストの大西順子さんです。ゴージャスなミュージシャンのみなさんにも集まっていただきました。今日限りの編成“MURAKAMI JAMボサノヴァバンド”です。大西さんからバンドのみなさんをご紹介いただけますでしょうか。

大西:はい、今回集まってくれたすばらしいミュージシャンです。まずはこの方から。わたくしの相棒として本当に長い間演奏をしてくれていますけれども、素晴らしいベーシストです、井上陽介。

次に彼も最近、わたしのトリオやカルテットで活躍してくれています。若手の星と言われています、ドラムの吉良創太。

そしてわたしは、この方をわたしのバンドに引き入れることが長いこと夢だったんですけど、ようやく実現したと思ったらコロナでなかなか活動ができていないんですけど、今年も頑張って一緒にやっていきたいと思います、日本のパーカッション界を背負って立つ方です、大儀見元(おおぎみ・げん)。

続いてこの方は、ジャズだけでなく日本のJ-POPの世界などでも引っ張りだこで、なかなか忙しい方なんですけど、最近ご縁があって何度かわたしのプロジェクトに参加してくれることもありまして。素晴らしいピアニストです、吉田サトシ。

フルートを持っているこの方は、本来テナー奏者なんですけど、いつも「フルートもうまいんだから、フルートを吹かせてくれ吹かせてくれ」と言ってくるんですけど、今日はよかったですね、たくさんフルートが吹けて。頑張ってがんがん吹いてくださいね。作曲の才能も素晴らしくて、日本の最終兵器と言われております、吉本章紘。

そしてこの方とは、わたしが25、26歳くらい、30年も前になりますかね。初めてお目にかかったとき、日本にこんな素晴らしい音を出すテナーの方がいらっしゃるんだと本当にびっくりしたのを覚えております。何年かに一度は必ずお会いするんですけど、最後にお会いしたのは10年前でしたっけ(笑)? 昨日リハーサルで久しぶりにご一緒しまして、相変わらずの素晴らしい音色、歌心にしびれました。今日はみなさんもしびれてください。テナーサックス、山口真文(やまぐち・まぶみ)。以上のメンバーです。

本来ボサノヴァバンドではなく、ごりごりのジャズバンドなんですけど、今日はがんばってボサノヴァをやっていきたいと思います、よろしくお願いします。

MURAKAMI JAMボサノヴァバンド



美雨:春樹さん、ボサノヴァをテーマにしようとおっしゃっていましたが、なぜボサノヴァだったのでしょう?

村上:個人的に昔からボサノヴァが大好きなんですよね。ミュージシャンの人でボサノヴァが嫌いだっていう人はあんまりいないんですよね。だからテーマとしてはいいんじゃないかなと思って、ボサノヴァでいこうと思ったんですけど。

美雨:春樹さんとボサノヴァの関係というのは?

村上:僕が最初にボサノヴァを聴いたのは1964年くらい。「イパネマの娘」が流行ったとき、僕は高校生だったんですよね。これはすごいと思って、それ以来しびれっぱなしになっています。

美雨:作品の中にも登場しますね。

村上:そうなんです。知らない間に出てきているし、スタン・ゲッツの伝記まで訳しちゃったしね。

美雨:2019年に出版されました。分厚い本に取り組まれていましたね。大西さんはジャズ界を率いてこられましたけど、ボサノヴァを今回聴いてどう思いましたか。

大西:そのときは、すでに小野リサちゃんが参加することが決まっていたので、“リサちゃんについていけばいい”と思っていたら、春樹さんに「ボサノヴァなんだけど、いつものように燃え狂ってくれ」とお願いされまして、かなり今回は悩みました。やはりボサノヴァはジャズミュージシャンのマテリアルのなかで不可欠なものになっているので、多少の解釈の違いはありながらも、わたしたちなりに頑張ってみようかと。

村上:でも、順子さんの演奏ずいぶん聴いているけど、ボサノヴァは一度もないですよね。

大西:そんなことはないですよ。完全にボサノヴァではないけれど、いわゆるイーブン・エイスというかたちのリズムで、結構いろんな曲が入ったCDを春樹さんにことあるごとにお届けしています。

村上:そうだっけ?

大西:あらためて聴いてください(笑)。

村上:だから順子さんに「ボサノヴァをやってください」と言うのは、虎に火の輪っかをくぐらせるみたいな、そんな気持ちで頼んだんですけど。

(TOKYO FMの番組「MURAKAMI JAM〜いけないボサノヴァ レディオスペシャル supported by Salesforce」3月29日(月)放送より)

*  

◆「村上RADIO」4月25日(日)から月1レギュラー化!
作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMの特別番組「村上RADIO」。2021年4月より、これまでの不定期放送から毎月最終日曜日放送のレギュラー番組にリニューアル。月1レギュラーの第1回となる4月25日(日)の放送は、「村上RADIO~花咲くメドレー特集~」と題して、新旧さまざまなアーティストが演奏する「3曲以上が連なるメドレー音源」を村上さんの解説付きでオンエア。どうぞお楽しみに!

<番組概要>
番組名:村上RADIO~花咲くメドレー特集~
放送日時:2021年4月25日(日)19:00~19:55(※放送日時が異なる局があります)
放送局:TOKYO FM/JFN全国38局フルネット
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/