マネックス証券・清明祐子社長「お客様の資産を増やすためのお手伝いをする『サービス業』でありたい」

せいめい・ゆうこ
2001年京都大学経済学部卒業後、三和銀行(現・三菱UF J 銀行)に入行。2006年MKSパートナーズ(プライベート・エクイティ・ファンド)への参画を経て、2009年2月にマネックス・ハンブレクト(2017年にマネックス証券と統合)に入社し、2011年に同社社長に就任。2019年4月よりマネックス証券代表取締役社長(現任)、2020年1月マネックスグループ代表執行役COO(現任)。2021年1月よりマネックスグループCFOも兼任(現任)。

「日経平均3万円への道」
 2021年2月15日、日経平均株価は終値で3万84円と、30年半ぶりに3万円を回復しましたが当社では17年10月27日から「日経平均3万円への道」というタイトルを掲げ、見通しをアップデートしてきました。

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中でも、その方向性は変えずにコンテンツを更新し続け、3年越しで実現した形です。

 その後は米金利上昇や米ハイテク株が売られたことで若干調整も入っています。ただ、株価は上昇局面においても調整を繰り返しながら上昇するものですし、金利上昇も経済が正常化していく流れの一環だと見ています。さらにワクチンが普及すれば、また見えてくる世界が変わってくるでしょうし、コロナ禍をきっかけに進んだ日本社会全体のDX化も好材料です。

 コロナ前の「老後2000万円問題」の頃から徐々に資産形成ムードが高まってきていましたが、株価上昇の中で個人投資家の株式市場への参入が増え、特に当社を含むインターネット証券各社の口座開設も増加しました。

 足元でも、個人の方々の資産形成への意欲は強いものがあります。おそらく多くの方がコロナ禍で人生や働き方、お金への向き合い方を考えたタイミングだったのだと思います。

「難しい」と思われがちだった投資の世界ですが、個人投資家の方も以前より多くの情報を得ることができるようになり、オンラインの無料セミナーなども増えてきて、その敷居は下がりました。

 当社は今、円滑な取引を促進して手数料を得る「ブローカーモデル」から、「アセマネモデル」への事業構造転換を図っています。お客様の資産が増えるためのサービスを提供し、その中から対価をいただくという、本当の意味での「ウィンウィン」の関係を築きたいという思いがあります。

打ち合わせ風景
マネックス証券が運営する投資情報メディア「マネクリ」について打ち合わせ。社員とのコミュニケーションは大事にしており「私自身、肩書で呼ばれませんし、声をかけやすいと思ってもらえたらありがたいですね」と清明さん

「お客様が望むものを低コスト、タイムリーに」
 私たちはこれまで、取引ツールの開発、投資情報の発信、セミナーの開催に注力してきました。例えば、当社において増加する米国株のお客様に対し、スマホでの取引や、日本株分析で定評のあるツール「銘柄スカウター」の米国株バージョンも提供し、日本株と同じような環境での取引を可能にしました。

 私は、金融はサービス業でありたいと考えています。サービス業であるからには、お客様が望むものを低コスト、タイムリーに提供していかなければなりませんが、当社が今、これを実現できるのは、自社でシステムを内製化したおかげです。

 システム内製化は新生銀行グループとの包括提携にも生きています。両社のシステムをつなぎ、新生銀行の投資信託の口座と、新生証券の債券口座をマネックス証券に移管した後は、顧客口座の管理はマネックス証券、勧誘・販売・アフターフォロー等などのお客様との接点は新生銀行が受け持つ形となり、一体となってお客様のニーズに即した金融サービスを提供していきます。限られたリソースでお客様への付加価値提供を考えている銀行などに、このサービススキームを提供していきたいと考えています。

 今後は、さらなる投資教育の充実も図っていきますが、お客様が投資の知識を得て、資産を増やしたいと思われた際に「近くにマネックス証券がいるな」、「相談したら応えてくれる」と思っていただけるような身近な存在になりたいと思っています。そのために、私たちは常にお客様の声に耳を傾け続けていくのです。

松本大氏と清明祐子氏
マネックスグループ創業者でCEOの松本大さん(左)と。「マネックス証券というと松本のイメージが強いですが、『私達みんなのマネックス』を推進していきたい」と話す