ようやく貯めた100万円を安全に運用するためには、元本保証で少しでも高金利の商品に預けることが鉄則です。満期前に解約すると元本割れする可能性もあるので、その資金をいつまで預けておけるかが、商品選びのポイントになります。

◆100万円単位という、まとまったお金だからこそ高い金利も期待できる
家計を見直して、貯蓄をコツコツ始めて、やっと貯められた100万円。お金を増やしたいとは思うけれど、何に預けていいかわからず、そのまま普通預金に預けっぱなしになっているという人もいるかもしれません。

元本割れが怖いなどの理由で、預け替えができないのであれば、それはもったいない話です。なぜなら世の中には、まとまったお金を預けるなら、普通預金よりも金利が高くて、同じように安全性が高い商品があるからです。使う予定が先のお金なら、より有利な商品が利用できます。

◆100万円を複利運用した場合の結果

100万円を0.002%で10年間運用した場合、受取額はわずか100万200円ですが、0.2%なら102万181円、1.0%なら110万4622円まで増やすことができるのです。

◆預けられる金額×期間によって商品を使い分け
元本保証商品に預けるときは、せっかくなら一番高い金利の商品に預けたくなりますが、金利が高い商品は満期が長いケースが多く、満期前に解約すると元本割れをする可能性が高くなります。そのため、まずは貯まった100万円を、使う時期に応じて分けましょう。

使う時期を分けたら、次は金額によって利用できる商品を選択します。元本保証商品で金利が高めなのは、預入金額が10万~100万円程度の「個人向け社債」と「仕組み預金」です。ただし、これらの商品は満期前に解約すると元本割れのリスクがあるので、預けっぱなしが前提になります。
預けられる金額×期間によって商品を変える

商品や時間を分散させることが、確実に増やすための鉄則といえます。以上のことを踏まえたうえで、おすすめの元本保証商品を紹介します。

◆【1】ネット定期預金……手軽に高金利で運用できる
元本保証商品の代表選手が「ネット定期預金」です。大手銀行と比べて高い金利が期待できるのが魅力です。中途解約はいつでもできますが、中途解約利率が適用されます。

ある程度資金がないと預けられないネット定期もありますが、1円、1000円などの少額から利用できるものもあります。そのため、1つの商品に全額預けるのではなく、1年もの、3年ものなど満期の異なるネット定期に預け分けて、必要な時に必要な分の満期金を受け取るという方法も効果的です。

●ネット定期(1年定期)の金利例(2021年4月9日時点)
・愛媛銀行 四国八十八カ所支店「100万円限定だんだん定期預金」(100万円)……0.27%

・香川銀行 セルフうどん支店「超金利トッピング定期預金」(10万円以上100万円まで)……0.20%

・SBJ銀行「100万円上限定期預金」<ミリオくん>(1円以上100万円まで)……0.20%

・あおぞら銀行 BANK口座「BANK The 定期」(50万円以上300万円未満)……0.2%

◆【2】個人向け国債……下限金利でも定期預金より高金利
国が発行する債券で、保有中は定期的に利子がもらえ、満期には元本がそのまま戻ってくるというしくみです。個人向け国債には固定金利の「固定3年」「固定5年」と、金利が変動する「変動10年」の3種類があります。いずれも0.05%の下限金利保証があります。

発行から1年経てば1万円単位で中途換金できますが、直前2回分の税引き前利子×0.79685が差し引かれます。「変動10年」は、市場金利にあわせて半年ごとに適用金利が見直されるので、金利の上昇局面では有利に運用することができます。

●個人向け国債の金利例(2021年5月発行のもの)
・「固定3年」「固定5年」(1万円以上)……0.05%
・「変動10年」(1万円以上)……0.08%

◆【3】地方債……国債の利回り+アルファの金利を設定
地方自治体が発行する債券で、国債に次いで安全性が高い商品です。申込単位は1万円または10万円のものが多くなっています。国債の利回りを参考にプラスアルファの金利が設定されています。地方債には大きく、全国型市場公募地方債と住民参加型市場公募地方債(ミニ公募債)があり、全国型は、金融機関を通じて申し込めば、どこの地方債でも購入が可能です。

償還期間は10年と長期にわたる商品が一般的です。中途売却すると売却価格は時価になり、元本割れの可能性が高くなります。満期まで持ち切ることを前提に購入しましょう。

なお、地方債の発行予定は、「一般財団法人 地方債協会」や、各自治体のホームページで確認しましょう。

●地方債の例(2021年4月発行のもの)
・埼玉県令和3年度第1回公募公債(10万円以上)/償還期限10年……0.204%

・千葉市令和3年度第1回公募公債(1万円以上)/償還期限10年……0.204%

・静岡県令和3年度第1回公募公債(1万円以上)/償還期限10年……0.199%

・神奈川県第251回公募公債(1万円以上)/償還期限10年……0.199%

◆【4】個人向け社債……高金利のお宝社債もあるが、発行自体は少なめ
企業が資金調達のために発行する債券です。原則年に2回利息分が支払われて、償還されると元本が戻ってきます。元本保証商品の中でも、相対的に高い金利が魅力です。

中途売却すると時価となり、元本割れすることもあるので、満期まで預けるのが鉄則です。なお、発行する企業が破たんすると元本が戻ってこない可能性もあるので、格付けが高く、満期まで期間が長くない個人向け社債を選択するといいでしょう。

ただし現在は、発行自体が少なく、発行してもすぐ完売してしまうほどの人気を博しています。扱うのは証券会社が中心なので、証券会社の口座を開設しておき、ホームページや店頭で情報を得るのが得策です。

また、ちょっと変わった商品として気温連動型「個人向けマネックス債 夏祭り」があります。これは、観測地点(大阪府大阪)における観測期間の最高気温が35度以上となった日数に応じて、金利がアップするというもの。償還まで1年というのも魅力のひとつです。昨年は7月に販売されていたので、今年も要チェックです。

●個人向け社債の例
<2020年発行のもの>
・第40回SBI債(10万円単位)/発行2020年4月/償還期限2年/格付けBBB+……0.60%

・個人向けマネックス債(1万円単位)/発行2020年4月/償還期限1.5年/格付けBBB……0.60%

・個人向けマネックス債 夏祭り(1万円単位)/発行2020年7月/償還期限1年/格付けBBB……0.03~年0.96%(0.03%+0.03%×35度以上日数で計算)※利払いは年1回

<2021年発行のもの>
・イオンモール株式会社第27回無担保社債「ハピネスモール債」(100万円単位)/発行2021年3月/償還期限5年/格付けA-……0.39%

・クレディセゾン第85回無担保社債(10万円単位)/発行2021年3月/償還期限6年/格付けA+……0.24%

◆【5】仕組み預金……比較的高金利。銀行の判断で満期が変わるので注意
金利動向などに応じて銀行が満期を決める商品です。最長の満期はあらかじめ設定されていますが、途中で償還される可能性があるかわりに、一般の定期預金よりも高めの金利となっています。金利が段階的に上がる「ステップアップ型」と、預け入れた金利がずっと続く「フラット型」があります。

中途解約は原則できず、できても中途解約手数料などがかかり、元本割れをする可能性が高くなります。預入期間中に金利が上昇した場合、その資金をほかの商品に預けて、有利な金利を稼ぐ機会を失う可能性も。最長の満期までじっくり預けておける、余裕資金の預け先として、利用しましょう。

●仕組み預金の金利例(2021年4月9日時点)
・ソニー銀行「円定期plus+(ステップアップ型)」(10万円以上)/満期最長10年……0.05~1.00%

・住信SBIネット銀行「円仕組預金プレーオフ(ステップアップ型)」(10万円以上)/満期最長10年……0.05~0.60%

100万円を元本保証で運用するには、預けられる金額と期間を考慮しつつ、商品を使い分ける必要があります。預け入れ金額が大きくなるほど、有利な金利の商品が利用できますが、中途解約してしまうと、せっかくの金利を無駄にしてしまうことになりかねません。使う用途に応じて預け分けることを原則に、一日でも早く運用を始めましょう。

文=滝田 知歩(マネーガイド)