ついにキタ!自転車の取り締まりに違反金制度で「大きな市場」が生まれる

きたーっ!!! 私はもう大興奮。警察庁の方々は苦笑いしているだろう。いまざっと調べてみたところ、私が自転車の「違反金」について『ドライバー』本誌で初めて書いたのは2009年7月だ。以来、どんだけ言ってきたか、自転車違反金、来るぞくるぞ、どでかい市場が生まれるぞと。あれから12年、長かったねぇ、ふさふさだった髪も、ほら、こんなに(涙)。以下は2021年4月16日付けの毎日新聞、の一部である。


自転車に少額違反金 取り締まりの新制度創設へ 14歳以上検討
 警察庁の有識者検討会は15日、自転車運転の取り締まりについて、新たな違反金制度の創設を求める中間報告書をまとめた。自転車運転が摘発されても起訴される割合が極めて低い現状を踏まえ、少額の違反金を支払わせる枠組みを作ることで、多くの違反者の責任を問うことを求めた。
  (中略)
 新制度では交通違反をした自転車の運転者に違反金の支払いを求める。刑事罰とはせず、前科はつかない。対象は14歳以上を目安に検討し、運転免許証やマイナンバーカード、学生証といった身分証明書などで本人確認する見込みだ。自転車には運転免許制度がないため、車やバイクのような点数制度は作らない。
  (後略)
https://mainichi.jp/articles/20210415/k00/00m/040/036000c


急に増えだした自転車の取り締まり

自転車の取り締まりは、昔はだいたい数10件から多くて200件程度だった。1996年なんか10件だった。全国で1年間にたった10件ですよ。ところが2004年あたりから「あれれ?」という感じで増え始めた。2008年には1000件を超え、2015年に1万件を超えた。2019年は2万件を超えた。「しぇーっ!」である。

自転車の違反には反則金(軽い行政罰)の制度が適用されない。要するに、ちゃちゃっと金を徴収できる便利な制度がないのだ。自転車のペナルティは罰金(刑事罰)となる。罰金を科すには、取り締まったあと検察官、裁判官が関与する。実際には略式で処理され、裁判は開かれないが、しかし手間がかかる。加えて、罰金は前科になる。クルマ・バイクは反則金で済み、自転車は罰金前科1犯、不公平だ。なので、いくら取り締まっても罰金を科されるケースは滅多にない。たまにあると「当県で初めて自転車の××違反が罰金に」なんてニュースになったりする。

自転車の違反で取り締まっても、ほぼぜんぶ、検察官により不起訴とされる。不起訴でも検察官は手間がかかる。ほぼ不起訴に決まっている自転車違反の取り締まり件数を、なんでそんなに激増させる? 答えはひとつだ。

「自転車の悪質違反が目立ち、厳しく取り締まっておるわけでございます。しかし現行の制度では、残念ながらほとんどを不起訴とせざるを得ません。きちんとペナルティを受けさせ、交通安全に資するため、新たに違反金の制度を…」

警察庁は必ずそう言い出すぞと私は言い続けてきたわけだ、2009年から。そうしてとうとう警察庁は言い出したのだ、興奮するじゃないですか、ねぇ。

私が考える新制度をちらっと述べさせてもらいたい。まずは、現在の防犯登録を超えた厳格な登録、管理制度をつくる。すべての自転車にQRコードまたはバーコードを取りつける。でもって、警察官または民間委託された「自転車監視員」が違反を現認したら、携帯端末でQRコード等を読み取り、違反の種類等を入力する。すると、自転車の持ち主の預貯金口座からさくっと自転車違反金が引き落とされる。子どもの違反については、自転車の持ち主として登録された親(保護者)から違反金を徴収する。子どもに対し安全運転指導を徹底できなかった親の責任を問うのである。どうです、素敵なアイデアでしょ。

2020年の自転車違反の取り締まり件数は全国で2万5465件だ。自転車違反金の制度ができたら、2万数千件が違反金を徴収される? 頑張って10万件ぐらい取り締まる? 甘ぁ~い、甘いですぞ!

2020年は「自転車に対する指導警告票交付数」というのが143万7748件ある。つまり、いわゆる警告だ。2012年なんか、腰を抜かさないでほしい、248万5497件もあったんだよっ! 2012年のクルマ・バイクに対する取り締まり件数を見ると、速度違反が222万1120件だ。速度の出し過ぎは事故につながりやすく、何より事故った場合の被害が大きくなる。取り締まりと警告とではかかる手間がだいぶ違うとはいえ、クルマ・バイクよりずっと軽い自転車の、取り締まるまでもない警告が約250万件。常軌を逸している。これはねぇ、自転車違反金の制度ができてがんがん取り締まるときに備え、予行演習という位置づけなのだろう。

【画像】自転車で交通違反すると渡される「指導」「警告」カード

クルマ・バイクの反則金制度は1968年に誕生した。それ以前、警察庁はいわゆる警告の統計をとっていた。1967年は警告が約610万件、取り締まり(検察送致)が約470万件だった。が、1968年から警告件数の統計は消えた。そして取り締まりが激増した。自転車違反についても、違反金の制度が誕生して金を徴収しやすくなれば、指導警告票交付数の統計は消え、まぁ年間200万件ぐらいは取り締まることになるんじゃないか。

新型コロナで自転車通勤が増えた。ウーバー・イーツなど自転車の出前が増えた。無謀運転、マナーの悪さが問題になっている。今がチャンスだ。「自転車違反を厳しく取り締まれ!」「ほとんどが不起訴? 許せん!」という世論を盛り上げるのは簡単でしょ。言いたいことはまだまだあるが、とりあえずここまで。じゃねっ。

〈文=今井亮一〉
交通ジャーナリスト。1980年代から交通違反・取り締まりを取材研究し続け、著書多数。2000年以降、情報公開条例・法を利用し大量の警察文書を入手し続けてきた。2003年から裁判傍聴にも熱中。2009年12月からメルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代(いちだい)」を発行。