「全国ネットショップグランプリ」最高賞は『よなよなの里』 本店サイトは初受賞、熱量伝わるコンテンツを評価

一般社団法人イーコマース事業協会(EBS)は4月10日、オンライン開催した「19周年記念イベント ネットショップカンファレンス2021」において「第13回 全国ネットショップグランプリ」の受賞店舗を発表。最高賞であるグランプリにヤッホーブルーイングが運営するクラフトビールの自社ECサイト「よなよなの里」を選出した。

ヤッホーブルーイングは「楽天市場」の「ショップ・オブ・ザ・イヤー(SOY)」などECモールの表彰企画では数多くの受賞歴があるものの、本店サイトと呼ばれる自社ECサイトでの受賞は初めてだという。もの作りや商品の世界観への熱量が伝わる豊富なコンテンツが高い評価を受けた。

「全国ネットショップグランプリ」は、ECサイトのデザインや使いやすさを審査し、優秀なショップを表彰するイベント。旧「エビス大賞」を含め、2009年から年に1回開催しており、今回が13回目となる。審査基準は「アイデアのユニークさ、目新しさ」「一般の顧客ユーザー(利用者)への情報提供の適切さ」「各デバイスでのデザイン性の高さ・操作性、動作確認」。

今回は188店舗の応募の中からの予備審査を経て、1次審査で審査委員会が15店舗を選出。2次審査でEBS会員(会員数208)による投票を行い、最終審査対象店舗を絞り込む。最終審査 では学識経験者、ECメディアを交えた審査委員会にて、グランプリ1店舗、準グランプリ2店舗、特別賞として「ネットショップ担当者フォーラム賞」「日本ネット経済新聞賞」を選出している。

グランプリ「よなよなの里」の評価や受賞コメント

グランプリに輝いた「よなよなの里」には、審査委員から以下の評価コメントが寄せられた。

■PC、スマホ共にうまく表示されるようにデザインされている。特にスマホのグラスが2つずつ表示され、さらに一定時間経過すると自動移動する仕組みは、移動タイミングも良く考えられている

■PCは文字情報とビジュアル情報を組合せ、スマホはビジュアル情報を主体としてデザイン。そしてスマホは、ワンクリックして詳細情報へそして、ワンスクロールで購入画面へ移行できるストレスレスのインタフェイスが秀悦

■ショッピングサイトから感じられる躍動感とエンターテイメント性が非常に高く、思わず買いたくなる演出が随所に盛り込まれている

■「ブランディング」と「マーケティング」が共存する最強のサイト。商品もブランドも知らなかったとしても、何かしらのキッカケで当該サイトを訪れさえすれば、店頭で見かけた際には必ず1本は手に取るハズ。それくらい「引き込み力」がある

「よなよなの里」https://yonasato.com/ec/

ヤッホーブルーイングの望月卓郎氏は、「当社は20年以上ECを運営しており、ECモールでは何度か賞をいただいたことあるが、本店サイトが賞をいただくのは初めてのことでスタッフ一同喜んでいる。10年間続けてきたお客さまとのイベントや、世の中のクラフトビールブーム、5年程前から注力しているバックヤードの効率化などが受賞につながったと思う。現在のECサイトへのリニューアルは、3年くらい前にさこっち(ユウキノイン 代表取締役 酒匂雄二氏)から『よなよなさんは溢れるほど面白いコンテンツがあるのに、なんでそれを(ECサイトに)使わないんですか?』と言われた言葉がきっかけだった。EC業界の仲間のおかげで受賞できた。おかげさまで3年前と比べ、今では当時の4、5倍くらいのお客さまがサイトに来ている。ECだけじゃない、ビール会社として世の中に伝えたいことが少しは伝えられるサイトになったかなと思っている。これで終わりではなく、今年7月にさらなるサイトリニューアルを予定している。今、すごい伸びているサブスクリプションのサービスを大幅にアップグレードする予定だ。その姿も皆さんにお見せしたい」と受賞コメントを述べた。

ヤッホーブルーイング 望月卓郎氏

準グランプリに「パジャマ屋IZUMM」、「クロシェオンラインショップ」

準グランプリにはフレックスが運営するパジャマ販売の「パジャマ屋IZUMM」、クロシェが運営するファッションアイテム販売の「クロシェオンラインショップ」が選ばれた。

「パジャマ屋IZUMM」には、審査委員から以下の評価コメントが寄せられた。

■パジャマというニッチな商材をとことん掘り下げて素材の説明から届けるギフトシーンの演出までされている素晴らしいサイト

■ショップのコンセプトで「眠る・くつろぐ、ほっとする」が体現されている。相応しいトーン&マナーでデザインされており、ゆったり落ち着いて商品選びができる

■PCは横に一点時間(3秒)ごとにカテゴリー画面が移動。それぞれの画面が商品だけでなく、生活のワンシーンになっているところが、体験を想起させてうまく作り込まれている

■スマホの画面は、縦にスクロールできかつ横に二枚の写真を配置しながら二枚の組合せが、同じ商品の異なるシーン、あるいは男性と女性などユーザーの頭の中とリンクするデザインになっている

■商品説明はもちろんのこと、各種コンテンツを通じて商品の品質の良さが十分に伝わってくる。熨斗やギフトカードといった定番のサービスに加え、各種ラッピングサービスのクオリティーは「贈られた側の方の笑顔」が想像できる

「パジャマ屋IZUMM」https://www.pajamaya.com/

フレックスの高柳眞木子氏は、「1年半前からサイトをリニューアルしようと考え、アイルさんにお手伝いしてもらってここまでサイトを作り上げることができた。リニューアルを進めるうちに伝えたいことがありすぎて、どんどん欲が出てきていたが、アイルさんから原点に引き戻してもらって、本来私たちがやりたかった『使いやすさ』に立ち返ることができた。サイトリニューアルで目指したことをすべて評価していただたくことができてうれしい」と受賞コメントを述べた。

フレックス 高柳眞木子氏(写真左から4人目)

「クロシェオンラインショップ」には、審査委員から以下の評価コメントが寄せられた。

■シューズ、スカートと異なるアイテムであるが、それぞれの商品特性に応じてサイトデザインを区分している工夫を評価。リアルの店舗だと一緒にディスプレイも可能だが、ネット販売の場合は、それぞれの商品特性を引き出すために独自の見せ方を工夫した方がユーザーには使い勝手がよい。その分関連購買の機会を減らすことになるが、特定の商品からファンをつくる方針が貫かれている。共通点はカラーを切り口にした商品検索がし易いこと。インターフェイスにユニークさと使い易さの両面の工夫が施されている

■充実した商品説明に続く、スタッフによる試着コメントやコーディーネート紹介からは「好き」や「楽しさ」が伝わってくる。「オシャレっていいな」と改めて感じられた

■コーディネート紹介ページにて、マネキン買いできるのも良い。商品を使った一般ユーザーのスタイリングを見れる所が非常にいい

「クロシェオンラインショップ」
https://www.cloche.shop

クロシェの村岡乃里江氏は、「スタッフがクイックに改善を続けてくれた。カラー検索やスタッフコーディネートの修正も一生懸命取り組んでくれた。フューチャーショップさんやデザイン会社、コンサルタントのサポートのおかげ。会社一丸となってECに向かっていけているのかなと感じている」と受賞コメントを述べた。

クロシェ 村岡乃里江氏(写真右)

「特別賞」に「小島屋」「紀州有田みかんの早和果樹園」

「特別賞」である「ネットショップ担当者フォーラム賞」には小島屋が運営するナッツやドライフルーツ販売の「小島屋」、「日本ネット経済新聞賞」には早和果樹園が運営するミカン加工商品販売の「紀州有田みかんの早和果樹園」が選ばれた。

「小島屋」を選出したインプレス「ネットショップ担当者フォーラム」編集部の瀧川正実編集長は、「特に評価したいポイントは、業界全体の流れでもあるスマホ経由の注文増に対応したスマホ最適化。画面下のタブバーにメニューやログイン、初めて利用する方向けの案内などの誘導を設けており、画面上部にカゴやトップページの誘導など、LINEやFacebookといった多くのユーザーが日常的に使うスマホサービスのUIに近い設計になっている。なれ親しんだスマホ操作で、小島屋のECサイトを利用できるので、訪問者はストレスなく操作できるのではないか。昨年、小島屋さんではECサイトをリニューアルし、コンテンツの役割を明確化されているように感じている。レシピコンテンツを増やし、食べ方の提案、そして検索からの流入を増やし、そこからECサイトへの誘導を行っている。誘導先となっているページではきちんとした説明、そしてカテゴリページへの誘導を行い、カテゴリページで商品を買い物カゴに入れることができるようにカートボタンを置いている。わざわざ商品詳細ページまで飛ばずにカテゴリページから購入できる導線を作るのは、コンテンツから訪問した高いユーザーの消費意欲を下げることなく購入につなげる素晴らしい導線作りだ」と評価コメントを述べた。

「小島屋」https://www.kojima-ya.com/

小島屋の小島靖久氏は、「スマホの部分はコンサルタントなどと一緒に作り上げてきたもの。画面遷移などの構築も自分一人ではとてもできていないことだった。とても楽しく、うれしい受賞だった。今度はPCでも褒められるようにより一層がんばりたいと思う」と受賞コメントを述べた。

小島屋 小島靖久氏

「日本ネット経済新聞賞」に「紀州有田みかんの早和果樹園」を選出した日本流通産業新聞社「日本ネット経済新聞」編集デスクの手塚康輔氏は、「早和果樹園のネットショップは、6次産業化を気持ちよく体現しているショップだと感じた。全国で課題の多い6次産業化だが、その好例と言えるショップだと思う。サイトデザインを見てみると、トップページでは商品カテゴリーや、ランキング、果樹園の紹介、ギフトや頒布会の案内など、コンテンツは過不足なく配置されており、スッキリと見せることで必要な情報を見つけやすいサイトだと感じました。シンプルな構成は、ショップの売りである『ミカン』そのものへの自信にも感じられる。強いて改善点を挙げるのであれば、引きのあるコンテンツの発信をより強化されると、今以上に『つい買ってしまう』サイトになると思う。朝食向け商品の詰め合わせである「朝のみかんセット」や、みかんが丸ごと1個入った「濃厚みかんジュレ」などのような商品力を生かしつつ、ユーザーに『なにこれ?!』と思わせるようなコンテンツがあると、コンバージョンをより高めることができると思う」と評価コメントを述べた。

「紀州有田みかんの早和果樹園」https://sowakajuen.com/

早和果樹園の秋竹俊伸氏は、「これからも興味持ってもらえるようなサイト作り励みたい。私は農業者からスタートし、ミカン一本でやってきた。ネットの賞をいただけるとは思いもよらず、大変光栄なこと。現在、サイト運営から私は一歩引き、若いスタッフが社内で手作りしている。コンサルタントなどにも助けられてページ作りに取り組んでいる。スタッフにおめでとうと言いたい。今度も和歌山の『有田みかん』をしっかりとPRしていきたい」と受賞コメントを述べた。

早和果樹園 秋竹俊伸氏

審査委員長を務めるEBSの岡村篤理事長は、「今回の応募ショップは本店サイトが大半でモール型サイトのエントリーが少なかった。背景には多店舗展開が主流になってきたことで、本店サイトの構築・運営がしやすくなったこと、ブログやSNSなどオウンドメディアからの集客が容易になってきたことがあると思われる。自由に店舗の個性を発揮している応募ショップが多かった。その中から独自性があり、顧客との関係性がより身近に感じさせるサイトが入賞した。細やかなストーリーが伝わり、利用後も物的価値以上の感動を得られるのではと思わせる店舗が多く、その表現の豊かさに感動した」と総評を述べた。

EBSでは5月8日に定例会を開催し、今回グランプリを受賞したヤッホーブルーイング「よなよなの里」の望月卓郎氏による講演を実施する。他にも物流コンサルタントとして著名なトークロア 伊藤良社長によるセミナーも開催する。

一般社団法人イーコマース事業協会(EBS)

https://www.ebs-net.or.jp/

「5月定例会」

https://www.ebs-net.or.jp/regular_meeting/latest_info/