ヒャダイン、川谷絵音も称賛、作詞家・クロちゃんの天才性 「パンティーライン」に込められた真の意味

ここに来て「炎上芸人」「アイドル・アドバイザー」だけでなく、「作詞家」としての才能も評価されるようになった安田大サーカス・クロちゃん。『水曜日のダウンタウン』(TBS系)でもクロちゃんの作詞風景がオンエアされたものの、≪雨降ってマチュピチュ≫≪うそつく気持ちになんまいだー≫≪あいつの魂ピッキング≫といった独特すぎる歌詞を書き殴っていく様子は鬼才そのもの。「この人、本当は天才なんじゃないの?」とアンチすらも認めざるをえない言語センスを発揮している。

ENTAME nextではクロちゃんの作家性に迫るべく本人を直撃、その頭の中を覗いてみた。(3回連載の2回目)

【写真】本邦初公開、独創的な歌詞が並ぶクロちゃんの作詞ノートの中身

【前編】<“作詞家・クロちゃん”が中学時代に初めて書いたポエム『鬼』とは>はこちらから

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「僕はテクニックがある職業作家の先生方とは違い、自分が本当に感じていることしか歌詞にできないんですよ。選んでいる言葉も全部が本音。いつも気持ちを乗せて作詞していますから。YouTubeのコメント欄で僕の歌詞に好意的なコメントを残してくれている方もいますが、そういうのを見ると『想いが届いているんだな』とうれしくなりますね」

 言葉遣いこそ殊勝ではあるが、これを額面通り受け取るのは無理があるはずだ。たとえば『らぶ地球 feat.ファーストサマーウイカ』(豆柴の大群)の印象的な一節≪パンチラインの代わりにパンティーライン≫も「本当に感じていること」で「気持ちを乗せている」のだとしたら、それはそれで問題があるような……。

「あの曲はフィーチャリング企画で、作詞時点では誰がゲストで歌うかわからなかったんですよね。だから普段そういうことを言わなさそうなゲストに、あの部分を歌ってもらったらキャッチーに響くのではないかという企みもあった。結果的にはその枠がファーストサマーウィカになったから、若干、目論見が外れた感もありますが(苦笑)」

 では、同じく『らぶ地球 feat.ファーストサマーウイカ』の≪産業革命 産声ランラランラーン≫はどうか? 常人には理解しがたいほど論理が飛躍しているが、これにもしっかりとした意味があるらしい。

「産業革命のフレーズに関しては、コロナ禍で感じたことがベースになっています。コロナによって、社会の様々な分野で大きな変化が起きた。それは人類にとって、本当に産業革命以来の変化だと思うんですよ。コロナで社会が変わることを悲しい気持ちで見つめているのではなく、新しい時代の幕開けだと受け止めたほうがいい。これは文明開化なんだ。だから、僕らは『ランラランラーン』と楽しく生きようよ。あの歌詞では、そういうことを伝えたかったんです」

 クロちゃんの歌詞で驚かされるのは、作風のバラエティが非常に豊かだということ。自分の得意なパターンは持っているが、それをリスナーに押しつけるわけにはいかない。クールなサウンドなのに可愛らしい歌詞が乗っていたら、作品としての質は落ちる。そういったことを念頭に置きながら作詞活動に取り組んでいるという。

「『サマバリ』(豆柴の大群)の歌詞ができたときは、自分でもビックリしましたね。あの曲は“旅”をテーマにしようと思ったんです。だけど、いざノートにフレーズを書き始めてみると、楽しい旅行の雰囲気ではなく、キツい言葉がどんどん溢れてきたんです。≪テメェ≫とか≪ぶちこわしていく≫みたいな……。自分の予想と違う方向に楽曲の力が連れていってくれる感覚。こういうのが作詞の難しさであり、面白さなんですよ」

 大のアイドルマニアで知られるクロちゃんだけに、アイドルソングからの影響も計り知れない。これまで膨大な数の楽曲を耳にしてきたが、歌詞の面でもっとも感銘を受けたのはCheeky Paradeの『無限大少女∀』だと断言する。この曲はアイドル歌詞のあり方について考え直すきっかけにもなったそうだ。

「正直、最初に聴いたときはピンと来なかったんです。ところがリリイベとかで何度も耳にしているうちに、1ヵ月くらい経ってから急にハッと歌詞の素晴らしさに気づいた。もちろん歌詞自体は1ヵ月前と変わらないわけですけど、何度も歌っているうちに彼女たちが説得力を持って歌詞を表現できるようになったんでしょうね。つまりアイドルの歌詞というのは、演者の表現力によるところも大きいんです。『曲が成長する』って、よくあることですから。逆にいうと、作詞家はその部分も計算しながら作品を書く必要がある」

 さすがにアイドルのことを語らせると、的確に焦点を絞りながら分析するあたりが見事である。こうして考えると、クロちゃんの歌詞が高く評価されている現状は必然だったのかもしれない。

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