【柿尾氏に聞く】アマゾンや楽天に依存しない 本質的な通販事業者を育成する「柿尾通販塾」とは?

プランクトンR顧問の柿尾正之氏に聞く「『柿尾通販塾』開講の狙い」
ダイレクトマーケティングに関連した広告代理業を手掛けるプランクトンRは2020年2月、通販事業の本質を伝授するための「柿尾通販塾」を開講した。公益社団法人日本通信販売協会の元理事で、現在新日本製薬の社外取締役などを務める柿尾正之氏を中心とした講師陣によるセミナーを運営している。プランクトンRの顧問で塾の中心的メンバーである柿尾氏に、「柿尾塾」開講の狙いやビジョンを聞いた。

地方の事業者に通販事業を運営する情報を提供していきたい
――「柿尾通販塾」を正式に立ち上げた時期は?

去年だ。リアルによる立ち上げのセミナーを昨年2月に開催したので、もう1年以上たってるいる。そのときは無料で、皆さんに塾のことを告知するため、趣旨を説明する目的でセミナーを実施した。それが3月、4月となり、当初はリアルで塾を運営しようとしていたが、コロナ禍の影響が出てきたので、これは難しいということでオンラインに切り替えた。

――オンラインで開始した時期は?

昨年7月だ。そこからは月2回平均で定期的にセミナーを開催している。会員制ではなく、登録して申し込んでもらえれば、無料セミナーは聴講できる仕組みだ。全体の組み立てとしては、有料によるeラーンニングのようなメニューもあるし、塾の告知も兼ねて無料のオンラインセミナーも定期的に開催している。

――セミナーのテーマは?

通販事業に関する、さまざまなことをテーマとして設定している。顧客管理から商品企画、広告表示関連、OEMによる商品開発、物流、CRM、コールセンターなど、ほぼ通販関係を網羅している。

――無料セミナーにおいては既存の通販事業者向けというよりは、通販事業を強化していきたい事業者が対象となるのか?

今後、通販事業を強化していきたいというところがメインターゲットになる。プランクトンRの大久保悠祐代表もそうだが、特に小規模なところも含め地方の事業者、その方たちに対して情報提供できる場を提供できないかを考えていた。これは私の考えだが、アマゾンや楽天といったプラットフォームはすごく伸びているが、プラットフォームに出店・出品しているだけでは顧客リストを保有することができない。それは決して、アマゾンや楽天を否定するものではないが、その出店者・出品者は通販事業者として、将来性とか未来はあるのか疑問を感じている。プラットフォームへの出店はもちろん、瞬間的に売り上げは取れるかもしれないが、本来、通販事業者の基礎財産はお客さまであり、そういうことが地方の事業者は継続的・永続的に通販事業を続けていけるのかというと、そこは本当にそうなのかと疑問を感じていた。


九州の通販事業者によるモデルを参考にするべき
――「柿尾通販塾」はプランクトンRが運営しているが、塾を通じて将来、通販事業を拡大したいと考えている事業者に対し、プランクトンRのクライアントになってもらいたい狙いもあるのか?

もちろんだ。公共事業として行っているわけではない。ただ、通販事業者が育っていって循環していくわけで、通販事業者が元気になることによって、通販に関連する事業者を元気にしたいというスパイラルを作れればいいと思っている。特に地方の事業者は九州の通販事業者によるモデルを参考にするべきだ。現状、多くの事業者がコロナ禍で痛手を被ってきている。通販事業はまだいいと言われているが、事業者によっては格差が顕在化している。特に東北を含めた北のエリアは、通販事業による成功例が全国より少ないというのが実情だ。しかし、地方自治体にとって現在は、県外の税収を取らなければならない状況だと思う。特に東北を含めた地方は、過疎化による人口の減少で、地元の小売業が回っていかない。それに対して九州の通販事業者によるモデルは、東京や大阪といった大票田で売り上げを取っている。その事業モデルは、通販事業者として大事だと思う。

――北海道には北の達人コーポレーションのような成長企業があるが、東北で通販が伸びない要因については、どのように考えているのか?

やはり第一次産業の文化が中心になっているからだと思う。九州の通販事業者はオリジナル商品を作って全国区になっていった。健康食品、化粧品もそうだし、めんたいこもそうだ。しかし、東北以北の事業者は、漁で獲得した魚などを調理して販売している。これは観光産業としてはいいのかもしれないが、通販として情報を発信するときにはインパクトが弱いと思う。それは地方による文化の違いがあるとは思う。また、販売手法として九州の場合は長けていると思う。コールセンターの運営やオペレーターのスキルもそうだが九州は盛んだ。

もう一つは、地方が有利で頑張らないといけない時代だが、さまざまな意味でノウハウや情報の格差があるのは否定できない。コスト的に地方の有利さはあると思うが、情報交換とか情報共有の機会が少ないと感じている。さらに、通販は1人ではなかなかできないビジネスだ。それこそ、プランクトンRみたいな通販に知見のある支援会社がサポートしてくれる環境が必要だと思う。「柿尾通販塾」では、そうした情報を伝えていきたいと考えいている。


自分たちで通販の基礎を作り、顧客リストを蓄積していくべき
――地方の事業者に頑張ってもらいたいという意味では、コロナ禍においてウェブによるセミナーが一般化してきたことは良かったと思う。誰でも自由にセミナーに参加できる環境が整ってきたからだ。

その通りだ。従来はエリアによって参加できる事業者が限られていた。そういった地方の事業者の多くは依然、通販というとアマゾンや楽天に寄りかかっていると思う。なぜかというと、通販事業の基礎を自分たちで作って、顧客リストを蓄積しようという発想になっていないからだ。アマゾン、楽天のルールにとどまっていて、売り上げを上げていけばいいと思っている事業者が多いのではないかと感じている。

――そういった考え方を広げていきたいという「柿尾通販塾」の狙いは理解できるが、そのためには早々に塾生から成功事例を出さなければならない。

そこは大事だ。われわれとしても1年以上、塾を運営していく中で、早期に成功事例を出していきたいと期待している。それによって、他の事業者も触発されるし、既存の通販事業者においても、新たな学びの機会として認識される可能性があるからだ。そのためにもセミナーを継続しつつ、早期に成功事例の育成を実現していきたい。


「柿尾通販塾」
https://www.planktonr.co.jp/kakioj/