ランボルギーニのクラシックカー部門責任者に聞く|ポロストリコ最新事情

ポロストリコの「ポロ」は「ハブ」という意味をもつ。全方位的なサービスを顧客に提供するために立ち上げられたクラシックカー専門部門である。ポロストリコを率いる人物に、旧知の仲であるジャーナリスト西川 淳が話を聞いた。(インタビューは2020年10月中旬に行われた)

【スーパーカーの代名詞、カウンタックは今年50周年】(写真6点)

ランボルギーニのクラシックモデル部門、「ポロストリコ」。指揮をとっているのはパオロ・ガブリエッリというナイスガイで、ビークル・ダイナミクスの元エンジニアでもあり、現在はサンタガータのグローバル・アフターセールスを統括するという要職に就いている。筆者はパオロがポロストリコを立ち上げた時、まだ専用のオフィスのなかった頃、からの知り合いだ。正式に部門が立ち上がって4年半。当初は当然ながら何もない状態だったけれども、専用のファクトリーが立ち上がり、カスタマーを迎え入れるオフィスも完成し、大きなクラシックモデルのアニバーサリーイベントを次々と開催できるまでになった。パオロの手腕であろう。新型コロナ禍で今年は結局、一度もパオロと会うことは叶わなかった。1999年から毎年(時には毎月のように)続けてきたサンタガータへの訪問自体できなかったのだから仕方ない。とはいえ、クラシックモデルのアニバーサリーイヤーはコロナに関係なくやってくる。最新のポロストリコ事情をパオロに直接、スカイプで聞いてみることにした。

Q ポロストリコの重要な仕事の一つがクラシックモデルのサーティフィケーション(認定)とレストレーションだと思います。これまでにそれぞれ何台、扱ってこられましたか?

A これまでに発行した認定証は160台分です。そのうち、79台にレストレーションを施しました。現在進行中のプロジェクトは22台です。

Q 日本人は昔からランボルギーニが大好きでした。日本からのオーダーは何台くらいありましたか?

A レストレーションを施した79台のうち日本のお客様からは22台もありました。ポロストリコにとってはナンバーワンのマーケットということになりますね。現在進行形のプロジェクトのうち半分以上の12台も日本からのオーダーです。もちろん、その中には海外にお住まいの日本人からのオーダーも含まれています。

Q 相変わらず日本人のランボルギーニ愛は凄まじい(笑)。ところで、レストレーション済みの79台の中には、ポロストリコからニュースとして世界に発信された何台もの有名なプロジェクトがありました。パオロさんご自身として、最も印象に残っているプロジェクトはどれですか?

A 実は現在進行中のとあるカウンタックのプロジェクトです。日本のお客様からのオーダーなのですが、7、8社のサプライヤーを巻き込んだ壮大なプロジェクトになっています。言ってみればプロトタイプのような個体だったものですから、シリーズモデルとは違うパーツも多く、ときにはゼロから作り直すこともしなければならない。ところが細かな情報はすぐには見つからないものです。その個体の歴史が丸々、我々が保管しているアーカイブの中に埋もれてしまっていたわけです。そこから情報を見つけ出すのにも非常に時間がかかってしまいました。幸いにもドローイングが、と言いましても今みたいに精密なものではないのですが、見つかりました。そのほかにも当時このプロジェクトに関わっていた人間、40人ほどいましたけれども、彼らの何人かに直接インタビューをして情報を集めてみたり、当時の雑誌の記事なども掘りおこして確認をしたりしています。正直、いつ終わるかわからないのですが、大好きなプロジェクトですね。

Q 非常に興味深いお話ですが、具体的にはどのような個体なのでしょう?

A クラッシュテストのより厳しかったアメリカで認証を得るために、ファクトリーで強度を高める細工を色々と施したLP400です。結局、アメリカの認証を得ることはできず、当時のランボルギーニ社の経済的な事情もあって、そのまま普通のLP400として売ろうということになったというわけです。歴史がまたひとつ、明らかになりそうですね。完成を楽しみにしています。

Q ところでカウンタックといえばそろそろ50周年ですね。ランボルギーニ社として、ミウラのときのように盛大に祝う予定はありますか?

A もちろんです。カウンタックはミウラと並ぶランボルギーニのアイコンですからね。ミウラの時のようなツアーを開催したいと思っています。まだ詳細は言えませんが、ユーザーの皆さんに集まっていただきサプライズも用意したいと思っています。カウンタックというアイコニックなモデルを長年愛し続けてくれたファンの皆さまに何か恩返しができればと思っているのです。

Q ところでカウンタックのアニバーサリーイヤーはプロトタイプの発表された1971年で間違いないでしょうか?市販されたのは確か74年からでした。

A はい、71年です。デザインプロトタイプのような個体だったとはいえ、世界が初めてカウンタックのラインを目の当たりにした71年のジュネーヴショーこそが、カウンタック誕生の瞬間でした。50周年は2021年ということになりますね。

Q 最後に今年(2020年)はウラッコの50周年でもありました。日本にも多くのウラッコユーザーがいます。彼らにも一言お願いします。

A ウラッコは非常に革新的で、今乗ってもすごくモダンなモデルです。今年、何か特別なことができればと思っていましたが、残念ながら叶いませんでした。来年、何かできればいいなとは思っていますが。そうそう、面白いプロジェクトとしては当時のアクセサリーやトロリーケースといった純正製品も再販できればと考えているところです。お楽しみに!

文:西川 淳 Words: Jun NISHIKAWA