みなさんこんにちは!間取り好き科学コミュニケーターの高橋明子です。

東京では入学式を前に桜が見頃を過ぎてしまいましたが、これから見頃の地域の皆さまには、ぜひ堪能していただきたいものです。

さて、1/23(土)に、「どう付き合う?どんどん変わるカラダとココロ~思春期の体調不良からHPVワクチンまで~」というイベントをオンラインで実施しました。

このイベントでは、埼玉医科大学の産婦人科医 髙橋幸子先生、国立成育医療研究センターの小児科医 永井章先生をお招きし、視聴者のみなさんからの疑問や不安に触れながら、思春期の心身の変化と健康について話しました。

前編では思春期に起こる変化と健康についての話を中心に、後編では思春期以降の健康の話を中心に、補足を加えつつ内容を振り返っていきたいと思います。

思春期にはどんな変化が?

思春期は、だいたい8~18歳の間を指します。この時期、ものすごーくざっくり言うと、脳から卵巣・精巣へ、さらにその先へ、という流れで、「妊娠する・させる」体への成長を促す命令が出ます。

体型が変化したり、脇や陰部に毛が生えたり、見た目にもいろいろな変化が起きますが、見えない部分でも生殖器が活発に活動を始めます。

また思春期は、私たちの体の活動をコントロールしている自律神経のバランスが崩れやすくなる時期。活動を制御するアクセルとブレーキのバランスが崩れることで、不調が起きることがあります。

月経って何?

女性の場合、月経は思春期における大きな体の変化のひとつです。

毎月1週間前後、出血が起きるし、その出血のケアは結構大変(もれていないか心配したり、いろいろな悩みが…)、個人差はありますが月経前、月経中に生活に支障が出るレベルで体調が悪化することも。

生活への影響がかなり大きいですが、いったい子宮の中では毎月何をしているのか?

高橋先生によると、月経は「受精卵のベッド、月イチ大掃除週間」。子宮は毎月その内側を厚くして、フレッシュな受精卵のベッドを用意していますが、受精卵が来なければ、壊して作りなおすのを繰り返しています。

毎月の出血、まさか大掃除とは…

この月経、月経痛(お腹のしめつけるような痛み)や頭痛、大量の出血、ふらつきなどの症状が強い人もいる一方で、我慢してしまう人も多いです。

なかなか人と比べられるものでもないですし、毎月誰にでも起こることだから、病気なわけでもないだろうし、と思ってしまうからかもしれません。

でもですね、月経の症状の中には子宮内膜症などの病気が隠れていることもあります。産婦人科にぜひ相談してみてください。低用量ピルの使用など、病気に合わせた治療を一緒に考えてくれます。また病気でなかったとしても、痛みも本人がつらいと思ったら、それは間違いなくつらい症状です。この場合も、ぜひ産婦人科で痛み止めを処方してもらえるので、ご相談ください。

高橋先生によると、痛み止めの使用は1週間程度と限られた期間なら、将来効きにくくなるかも、といった心配はしなくても大丈夫、とのこと。

もちろん初めての月経(初経)がなかなか来ない、初経以降に月経が来ない、といった場合も、ぜひ相談してください。

とにもかくにも、月経でつらいとき、困ったときには産婦人科へ!ですね。

産婦人科へ行くきっかけ

とはいえ、産婦人科に行く機会がないと、なかなか行きにくい…。

イベントの中で、産婦人科としては「月経が来たら産婦人科に来て欲しい」という話題も出ましたが、「月経がきましたよ!」と産婦人科に訪ねてこられても、先生困りませんか…?という質問をしてみました。

高橋先生のオススメは「月経移動のための受診」。試験や旅行など、このタイミングで月経が来ると特に嫌だな、というときありますよね。そんなときは薬を使って月経のタイミングをずらすことができます。ただ、いきなり「本番」に月経移動するのではなく、本番前に体験しておく方が安心かと思います。

「月経移動」をきっかけに産婦人科を受診し、行きつけの産婦人科を作っておくと、次に病院へ行くときのハードルが下がるので、ぜひ試してみて下さい。

心身症のはなし

月経が関わるもの以外にも、思春期におこりやすい体調不良として心身症があります。

体にさまざまな症状が出る病気ですが、心理面、環境面での負荷などがその症状に影響しているものを指します。心理面、環境面での負荷とは、例えば人間関係でのストレス、過密なスケジュールなどですが、たしかに思春期の子どもたちにとっては、どちらも自分の意思ではコントロールしにくく、生活にも大きく影響する要素です。

 さて心身症の症状は慢性頭痛や過敏性腸症候群などさまざまですが、思春期に最もよく見られる代表的な病気、起立性調節障害(OD)をイベントでは取り上げました。

起立性調節障害って?

朝なかなか起きてこない子どもを保護者がたたき起こす状況、あるあるかもしれませんが、生活に支障が出るレベルで朝起きられないものも中にはあります。永井先生によると、実際にそれで困っているのをきっかけに受診するケースが多いそうです。

この病気が起こる仕組みですが、これまたものすごーくざっくり説明すると、自律神経の働きの不調のため、起立時に身体や脳への血流が低下するため、と考えられています。

(余談ですが、考えてみれば寝ているときでも立ち上がったときでも、だいたい同じように全身に血液が流れるようにコントロールできるってすごいことですよね…)

そして個別の症状を見てみて下さい。ものすごく幅広い…!たぶん自分の体の状態を正確に説明するのは大人でも難しいので、表現形としては「だるい」とかになってしまいそう…。

もし自分の子どもが「だるい」といってきたとき、起立性調節障害かどうか区別ができるのかな…と私は不安に感じるのですが、どうやって受診するべきかどうか判断したらよいのでしょうか?

永井先生によると、起立性調節障害の場合、受診の目安のガイドラインが公開されているそうです。オススメは岡山県教育委員会が公開しているガイドライン。体の症状の確認、睡眠日誌など、診断の際に重要な項目を記入できるようになっていて、受診するかどうかの判断だけでなく、実際に受診した際にもきっと役立ちます。

観察は本当に大事ですね。

起立性調節障害(OD)対応ガイドライン(岡山県教育委員会)

https://www.pref.okayama.jp/page/604493.html

イベントを通して感じたことですが、思春期にはこんな体の不調が起こるかもしれない、と知っていると、受診を考えたりできますが、もし知らないと、「みんな我慢していることだし」「本人のやる気の問題では」とか思ってしまいそうなことだらけ。

場合によっては自分を責めてしまい、抱えなくてもいいストレスを抱えてしまうこともあるかもしれません。

ぜひ思春期の皆さんや、そのまわりにいる大人の方たちには、不調を不調と気づいてもらい、必要に応じて受診を検討してもらえればと思います。

思春期の皆さんをサポートしてくれる、産婦人科医や小児科医のことを思い出してくださいね!

ブログの後編では、思春期以降の健康の話について振り返っています。

ぜひこちらもご覧ください。

https://blog.miraikan.jst.go.jp/articles/20210413post-411.html

また、番組動画はどなたでもご覧いただけます。詳しく内容を知りたい方は、こちらもどうぞ!

番組URLはこちら

https://live2.nicovideo.jp/watch/lv329948572



Author
執筆: 髙橋 明子(日本科学未来館 科学コミュニケーター)
【2021年まで在籍】子供のころから生き物が好きで研究に没頭し、色々な場所で色々な対象相手に研究をしていました。前職では宮崎県の幸島でニホンザルを追いかけていましたが、社会の中で研究はどうあるべきなのかを考えるため、未来館で勤務しています。今興味があるのは、科学の使い手である人間の認知や行動。物件の間取り図をながめるのが好きです。