「ウィズコロナ時代には、マネーリテラシー以上に情報リテラシーを高めることが自分の身を守るカギになる」とFPの畠中雅子さんはいいます。コロナの影響で特例として追加された「雇用保険」の活用術について伺いました。

「ウィズコロナ時代には、マネーリテラシー以上に情報リテラシーを高めることが自分の身を守るカギになる」とFPの畠中雅子さんはいいます。雇用保険からは失業手当が給付されますが、コロナの影響により対象となる人の範囲が拡大しています。

◆2020年5月以降、自己都合で離職した人も特定受給資格者の対象に
畠中雅子さん:今、コロナが不安で仕事を辞めたいという人や、コロナが原因で病気になって退職したという人もいると思います。そうした人たちが知っておくと役立つのが、コロナの影響でできた雇用保険の特例です。

例えば、コロナの感染が不安で会社を辞めたい場合。2020年5月以降、新型コロナウイルスの感染予防のために自己都合で離職した人も特定受給資格者(倒産・解雇等の理由により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた人)になりました。

当てはまるケースとしては、勤務先でコロナ感染者が発生した、自分や同居家族が基礎疾患を持っている、自分や同居家族が妊娠中、自分もしくは同居家族に60歳以上の高齢者がいる場合。

こうしたケースに該当する人は特定受給資格者になり、通常の失業保険(雇用保険の基本手当)の受給資格者に比べて、60日間雇用保険を受給できないといった給付制限がなくなります。また、45歳以上60歳未満で所定給付日数330日の人は、失業手当の給付日数が60日延長されます(35歳以上45歳未満で所定給付日数270日の人は30日)。

――コロナの感染が不安で仕事をいったん辞めたいという声はよく聞きます。そうしたケースでも特例が認められるのは助かりますね。

◆知っておくと役立つ雇用保険の活用術
畠中さん:コロナ関連の雇用保険の活用術として、もうひとつ知っておくと役立つのが、受給資格期間の延長です。通常、雇用保険は退職してから原則1年以内にもらわなくてはいけませんが、病気や妊娠・出産、親の介護など、すぐに職探しができないような特定の理由に該当するときは最長4年まで延長申請ができるんですね。

コロナも病気とみなされるはずですから、新型コロナウイルスにかかったり、コロナで鬱になった場合には、延長申請の対象になり得ます。

今は転職市場が厳しい状況ですから、慌てて求職活動をしても、なかなか思うような転職先が見つからない可能性もあります。それならいっそ、延長申請をして、自分が有利に転職できそうなタイミングまで待ったり、資格取得をするといった選択肢もあります。資格取得を目指す場合は、教育訓練給付金制度を調べてみるのもおすすめです。

働いていない間は、貯蓄でしのぐことになりますが、家計の支出を見直して家計をスリム化するなど、自分の状況やライフプランに合わせて考えてみるのもいいかもしれません。ただし、心の病気だと診断されると、医療保険に入りにくくなるため、保険の見直しがしづらくなるという点は考慮しておきましょう。

――その間、次のステップに行くために、資格を取得するなど、新たなスキルを身につける方法もありますね。

畠中さん:コロナ後のキャリアプランを考え、再就職のためのスキルアップ期間にするのもひとつの方法です。受給期間を延長申請すると、教育訓練給付金の適用期間も延長されるんです。

教育訓練給付金制度を使って資格取得するのもいいですし、職業訓練校なら学費が無料(テキスト代等は自己負担)な上、お金をもらいながらスキルや資格を身につけることができます。しかも、ひとり親の場合だと、さらに給付金がもらえます。

こうした制度を知り、うまく活用することがウィズコロナ時代には自分の身を守ることにつながると思いますし、次のステップへと進みやすくなるのでは思います。

●参考資料
新型コロナウィルス感染症対策に伴う雇用保険求職者給付の特例のお知らせ(特定受給資格者)(東京労働局)
新型コロナウイルス感染症に伴う雇用保険求職者給付の特例のお知らせ(離職理由・受給期間延長)

教えてくれたのは……畠中雅子さん

大学時代にフリーライター活動をはじめ、マネーライターを経て1992年にファイナンシャルプランナーになる。新聞・雑誌・ウェブなどに多数の連載を持つほか、セミナー講師、講演、相談業務などを行う。教育資金アドバイスを行う「子どもにかけるお金を考える会」、高齢者施設への住み替え資金アドバイスを行う「高齢期のお金を考える会」、ひきこもりのお子さんの親亡き後の生活設計を考える「働けない子どものお金を考える会」を主宰している。著書・監修書は70冊を超える。

取材・文:西尾英子

文=あるじゃん 編集部