【<特集>ペット防災用品】 ペットの防災意識向上がECに影響

10年前に発生した東日本大震災は、ペットの防災意識を高めるきっかけになった。震災以降、ペット用品の防災グッズが次々とEC市場にも投入され、ペット向け防災の特設ページをメーカーや販売店が設けるようにもなった。(一社)ペットフード協会の2020年度調査によると、犬や猫のペット用品関連の購入先として全体の約20%がネットを利用している。EC化率は今後も高まると予想される。注目されるペット向け防災用品を取り上げる。

【ペット用非常食】持ち運びと保存が簡単 食事制限中のペットにも
災害が発生した際には、手軽に持ち運びできるペット用の非常食の需要が伸長する。病気の治療や食事制限をしているペットでも食べることができるといった点も重要になりそうだ。

ペットフードやペット向けのサプリメントの製造を手掛けるQIX(キックス)が販売する「わんぱんゴールド」は、ペットの防災・非常食。ソフトトリーツをパウチに真空パックし、5年間の長期保存を可能にしている。


ペット向けの防災・非常食「わんぱんゴールド」

パウチタイプのため、スペースを取らずバッグの隙間などに詰めやすくしている。おやつとしても食べられる。原材料には犬の主要な食物アレルゲンとなる35品目を使用せずに加工している。

ペットは、知っている味や慣れ親しんでいる食べ物しか受け付けないこともあるので、定期的に買い替えをして、おやつとして与えて定着させる取り組みも必要になるという。


【ペット用防災バッグ&ケージ】避難先での衛生保つ 防災バッグなど受注増
ペット商品をEC展開する各社では、避難所でも衛生的に過ごすための実用性と、持ち運びを重視した機能性を兼ね備えた商品が反響を呼んでいる。東日本大震災の発生から10年目を迎える今年、例年よりも引き合いが強まっている。ペット防災の意識の高まりとみている。

たかくら新産業が販売しているペット用防災バッグ「BOUSAI GO BAG(ボーサイ ゴー バッグ)」は、今年に入ってから、前年同時期比4~5倍のペースで受注が伸びている(3月29日現在)。これまでの累計販売数は約1000個。ふんを入れる防臭性のある袋など7品目のセットで、人間の防災バッグの中に入れたり、普段から車のトランクに入れておけるようコンパクトにした。価格は税込3190円。


「BOUSAI GO BAG」

猫のとびらが販売する猫向けの防災ゲージ「いっしょに避にゃん」も、消費者の関心の高まりから、特に3月上旬は販売サイトのアクセス数が増加したという。


「いっしょに避にゃん」

同商品は避難所で使うことを想定したケージ。付属の猫用トイレをケージ内に設置できる。「猫は通常、犬のように外では排泄しない。通常のキャリーバッグでは、避難所で過ごすには狭すぎる。製造元と話し合いを重ねながら、避難所で使えるケージを開発した」(山下初子社長)。折り畳んで持ち運ぶことができ、工具なしで簡単に組み立てられる。

価格は同1万9800円で、猫用トイレと持ち運び用のトートバッグも付属している。


【カードゲーム】遊びながらペット防災学ぶ 普段からの備えをカードゲームで
通販・EC向けオリジナル製品開発のドリームは、「動物に誠実な飼い主になろう」をコンセプトにシリーズ展開しているペット防災のブランド「リオニマル」を展開している。

遊びながらペット防災について学ぶことができる『カードゲームいっしょに逃げてもいいのかな?』は、「ペットに必要な備えを知るきっかけ作りや飼い主とペットのつながり作りに役立てることを目的」(広報)に開発。2019年11月に発売した。


「カードゲームいっしょに逃げてもいいのかな?」

ペットと住む町を想定し、普段からの十分な備えをプレイヤーが考え、協力し合っていく形式のカードゲーム。価格は税込2970円。


【ペットキャリー】専門家監修の多機能キャリー
「リオニマル」のリュック型ペットキャリーGRAMP(グランプ)は、災害時に起こるさまざまな場面に考慮した多機能性と、特殊な構造にこだわった避難キャリーだ。専門家の知識と経験を踏まえて設計した。

背面部分を開くとケージに拡張する。ケージスペースにトイレシートを敷いて、ペット用の給水ボトルをセットすれば、居心地のいい居住空間が完成する。緊急時の移動用キャリーとしての用途だけでなく、避難先で過ごすということも考えている。価格は税込4万9500円。


「リュック型ペットキャリーGRAMP」


【専門家に聞く】日本愛玩動物協会 広報・啓発課 学術研究課 竹田千寿課長
「事前にコト、モノの準備」
ペットへの防災準備は、事前に「コト」と「モノ」の準備が必要となります。「コト」の準備は住まいの安全性や、家族で避難訓練をしておくことです。「モノ」は、5日分以上の餌や水の確保以外に、避難時に必要とされる商品の準備です。これらを持ち出しやすい場所に置いておくこともポイントになります。


日本愛玩動物協会 広報・啓発課 学術研究課 竹田千寿課長

災害が発生した際、ペットと一緒にいるのか、いないのかで対応は変わります。ペットと一緒にいる場合、「リードをつける」「キャリーバッグに入れる」など、いつでも避難できる準備をしてください。ペットと一緒に避難すると荷物が多くなり、移動時間もかかります。逃げ遅れないためにも早めの準備が必要です。

普段の生活から、しつけやトレーニングも必要です。家族以外の人と落ち着いて過ごせる環境作り、キャリーバッグやケージで過ごす時間、ハーネスやリードに慣れさせておくことなどが大事です。

他にも、感染症の蔓延を防ぐためにワクチン接種や、災害時にペットを探しやすいようにするための所有明示も忘れずに対策が必要です。

災害が発生した際、飼い主が無事でいることが大切です。普段の暮らしの中で、家具の固定や生存空間を確保するなどの環境も整えておいてください。

災害が発生して自宅から避難するとき、キャリーバッグの扉が開いて、ペットが逃げてしまう事例もあります。ペットの逸走を防ぐため、キャリーバッグの扉が開かないよう、ガムテープなどで強固に固定しておくこともお勧めします。