2020年4月1日から始まったニコニコ生放送「わかんないよね新型コロナ」。平日毎日の定期放送(2020年4月~5月)から週1回(6月)、臨時回など形を変えながら続けてきました、2020年3月20日の放送で、ちょうど60回目。この回はいつものように感染症対策のプロである堀成美さんと未来館の科学コミュニケーター高橋明子がお送りしましたが、2020年度の最後の回でもあるので、詫摩がお送りいたします。いつも声と運営コメントだけですが、堀さん同様60回すべてに参加しておりました。

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この回の放送日であった3月20日は、東京で桜の開花宣言(3月14日)があってからの最初の週末。二度の延長を経て最後まで緊急事態宣言が解除されず続いていた一都三県にも、週明け解除の情報が行きわたった土曜日でもありました。

今回の緊急事態宣言、何をすればいいのか「わかりにくかった」という声があります。飲食店には営業時間の短縮要請がありましたが、宣言解除になっても短縮要請は続いています。解除のタイミングとお花見のタイミングが重なったこともあって、お花見は控えようという声もありました。ですが、ちょっと待ってください。リスクが高いのは、お花見の本来の意味である「桜を愛でること」ではなく、桜の下で「宴会をすること」です。さらに言えば、「大勢が集まって、マスクを外した状態で長時間、大きな声で話すこと」です。逆に言うと、マスクをして花を眺めるだけであれば、野外でもありますし、そこまで感染リスクは高くありません。

お花見ではなく、気をつけるべきは大勢での宴会なのです。

今は、会食はなるべく4人までと言われています。堀さんは「4人というのにも意味がある。4人までならば、大きな声にしなくてもお話しできる。これが6人になると、身を乗り出したり、大きな声で話したりするようになる」といいます。これを聞くと、騒がしい場所よりも静かな所のほうが良いことも分かってきます。

堀さんは「何もかもできない、とするのではなく、できるように工夫をしたい」といいます。例えば会食ならば、「会(会話を楽しむ)」と「食(料理を楽しむ)」を分けるなどです。食べるときはマスクを外して黙々と。その後にマスクをしておしゃべりを楽しむ、ということですね。番組では、第3波が来る前の10月、東京都港区の保健所が作った「みんなで会食マナーガイド」を紹介しました。

みんなで会食マナーガイド(みなと保健所)
https://www.city.minato.tokyo.jp/kouhou/documents/minnatokaisyokumannerguide.pdf

会が始まる前に終わりの時間を決める、などは大事ですよね!

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変異株って、結局どうすればいいの?

緊急事態宣言解除のいわゆる“リバウンド”を防ぐ対策の1つとして「変異株」を見つけ出すための体制強化があげられていました。PCR検査では、新型コロナウイルスの有無はわかりますが、そのウイルスに変異があるかどうかまではわかりません。これを調べるにはまた別の検査が必要です。これまでだいたい、陽性となったサンプルの5~10%を調べていましたが、段階的に40%まで引き上げるというものです。

新型コロナウイルス変異株への対応(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000748323.pdf より

諸外国で猛威を振るっている変異株。まだワクチンの行き渡らない日本では、その拡大の兆候をいち早く検知したいところですが、実は検知数や変異株の割合がいくつになったら、次はどうするのかはまだ発表されていません。

堀さんはこういう基本となるデータの重要性を念押しした上で、「でも、たとえば、変異株の方は症状がなくても全員隔離、退院にはPCRで2回の陰性を確認──こういうことをしたら、またベッドが足りなくなるでしょう。全体のなかで何のためにそれをするのかを考えるのはとても大事」

医療現場の負担を考えると、重症化の程度も気になります。

堀さんは「いろんな病院でのデータを集めてよく調べてみたら、重症化しやすくなっているとかが分かってくるのかもしれないけれど」とお断りを入れた上で「今のところは、患者さんが高齢者であるとか基礎疾患があるとか、そちらの方が重症化するかどうかに大きく効いていて、変異株であるかどうかの影響はあまり見えない」と言います。一方で、個人ができる対策はこれまでと変わりません。マスクと手洗いは変異株でも有効です。

変異株って、そもそも何がどう変わったの? という方は2月20日の放送か、そのまとめブログをご覧ください。

2月20日放送回 https://live.nicovideo.jp/watch/lv330413145

まとめブログ  https://blog.miraikan.jst.go.jp/articles/20210305-220.html

やっぱり気になるワクチンのお話

休憩時間は科学コミュニケーター竹下あすかによる「推しダム」。そして、後半はワクチンの話題です。

医療従事者へのワクチン接種が始まり、4月からは高齢者への接種も始まります。ワクチンの到着が遅れ気味ですし、接種の仕方は地域によっても異なります。「後からやるほうが、副反応の情報もわかってくるし、会場の運営もスムースで洗練されてきている」と堀さんは良い点もあげます。英国では一気に接種を進めるために、会場の運営だけでなく、ワクチン接種そのものも訓練したボランティアさんにやってもらったりしています。筋肉注射のワクチン接種は、「(採血などとは違って)血管を狙って上手に針をに入れてというわけではないから、難しくはない。日本でも病気によっては自分で注射をしている患者さんがいる」と言います。でも、新型コロナのワクチン接種に関しては、日本では今は離職している看護師さんなどに呼びかけることで対応することになりそうです。

英国がここまで急ぐのは、日本よりもはるかに新型コロナの感染者数が多く、はやく打ちたいという気持ちが市民の側にも強いのかもしれません。市民が打ちたいと思っているときに、すぐにワクチンが打てる状態になっていれば良いのですが、残念ながら過去にはうまく合わなかった例もあります。2009年に新型インフルエンザの流行があったときには秋にはワクチンが十分な量、整ったのですが、あまり接種されることなく期限切れになってしまいました。

日本で最近増えてきた問い合わせに「外国に行く必要があるので、お金を払ってでもいいから打てないか」というものだそうです。ワクチンを打った証明書(ワクチンパスポート)があると、入国時の隔離期間が短くなるなどの“特典”があるところも出てきそうです。CDC(米国疾病対策センター)は「ワクチンを打ったらできること」をホームページ上で公開しています。

CDCの「ワクチン接種が完了した人向けのガイドライン」

https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/vaccines/fully-vaccinated.html

このガイドライン、「ワクチンを打ったらマスクをしなくても良い」といった見出しで報道されたりしました。でも、よく読むと「集まっている全員が2回のワクチン接種(J&Jのワクチンは1回)が完了している場合」などなど、細かくいろんな条件がついています。「実際には、なかなか『いいよ』という場面になりにくそう」というのが科学コミュニケーター髙橋の感想でした。

日本では高齢者への接種がいよいよ始まろうというところ。もうしばらくは、対策を続けるしかありません。番組では視聴者の皆さんに「ワクチン、打ちたいですか?」と聞いてみました。

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「海外に行きたいので」「基礎疾患があるから」「アレルギーがあるので」「限りなく後回しに」「献血のタイミングがあえば」など、さまざまな事情が寄せられました。「有給とセットで」というのは接種休みと有給休暇をセットでということでしょうか。接種の翌日に熱を出す方がそれなりの割合でいることがわかってきたからこそ出てきたご意見ですね。どのご意見も参考になります。ありがとうございます。

3月20日放送回のおもな内容と放送時間

この回ではほかにもたくさんの内容を取り上げました。ぜひ、動画でご確認ください。

視聴のURLはこちら>https://live.nicovideo.jp/watch/lv330884695

■緊急事態宣言解除にあたって
4:45~ 本編開始(放送開始が遅れました。申し訳ありませんでした)
9:20〜 緊急事態宣言の解除、どう受け止めた?
12:45〜 「緊急事態宣言」のうまい使い方は?
19:35〜 イベントシーズン、会食の感染対策はどうする?

■変異株の話
34:10〜 日本における変異株の流行状況
36:00〜 変異株について(2/20放送分)のおさらい
 2/20 放送分のまとめブログはこちら https://blog.miraikan.jst.go.jp/articles/20210305-220.html
43:20〜 日本における変異株の追跡体制はどうなっている?
45:40〜 変異株を特定することで、何ができる?何が変わる?

■休憩コンテンツ
52:00〜 科学コミュニケーター竹下による「推しダム」

■ワクチンの話
58:20〜 医療従事者のワクチン接種、進み具合はどう?
1:01:30〜 接種の進め方は地域によって異なる
1:04:10〜 世界のワクチン接種状況は?
1:06:30〜 イスラエルのワクチン接種体制・状況
1:11:40〜 イギリスのワクチン接種体制:ボランティアの活用
1:16:10〜 なぜワクチン接種を一斉に進めたいの?
1:22:00〜 「ワクチンを打ったら〇〇していい」?
1:26:50〜 感染症は新型コロナだけじゃない
1:30:30〜 ワクチン供給のタイミングと、打ちたい気持ちの変化
1:33:35〜 視聴者への質問「今、ワクチンを打ちたいですか?」
1:37:10〜 接種後のアレルギー反応、医療現場の準備体制は?

■Slidoに寄せられた質問へのお返事
1:38:40〜 「副反応」と「アレルギー」のちがいは?
1:41:50〜 普段アレルギーがある場合は接種に慎重になった方がいい?
1:44:00〜 接種後にアレルギー反応が出る人は、女性が多い?
1:46:15〜 接種後に抗体検査キットを使ったら陽性になる?
1:50:50〜 日常生活の中で感染リスクの高い場面は?
1:53:00〜 欧米とアジア・アフリカの感染者数の違い、何が原因?

■視聴者へのアンケート
1:57:10〜 今後、この番組はどういうのがよい?

この番組はこれからどうなる?

冒頭にも書きましたように、この番組は2020年4月1日に始まりました。当時は新しいウイルスによる新興感染症ということで、まさに「わかんない」という状態でした。ですが、1年以上が経ちわかってきたこともあります。2021年度からは番組のタイトルを変えることを考えていますが、また国立国際医療研究センター国際感染症センターのご協力の下、堀成美さんと未来館の科学コミュニケーターたちでお届けしたいと思っております。2021年度も、引き続きよろしくお願いいたします。



Author
執筆: 詫摩 雅子(日本科学未来館 科学コミュニケーター)
新聞記者、科学雑誌の編集者を経て、未来館へ。バックグラウンドは生態学ですが、雑誌の編集部に長くいたせいか、ムダに雑学が多い(らしい)。イラストはアマミノクロウサギ(吉田静佳・画)。短足胴長、変わり者であるところにシンパシーを感じております。アマミノクロウサギに関してならば40字から4万字まで、何字の原稿でも書けます。