こんにちは。科学コミュニケーターの綾塚です。
最近、デスクワークで首が疲れるので、ノートパソコンの画面の高さを変えられるグッズを買いました。自粛生活が続く中、皆さまはどのようにお過ごしでしょうか。

さて、この記事では私が担当した3月6日(土)放送回の内容を紹介します。

リンク:ニコニコ生放送「わかんないよね新型コロナ」
https://www.miraikan.jst.go.jp/resources/COVID-19/nicovideo/index.html

東京都知事記者会見・緊急事態宣言延長について要点をかいつまむ

緊急事態宣言が2021年3月21日まで延長となりました。この理由の1つは、新規感染者数の下げ止まりにあるとされていました。

2月中旬から下旬にかけて、新規感染者数の下げ止まりの様子が見られる。
資料:(第35回)東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料(令和3年3月4日)「04 グラフ(新規陽性者数 他)」1ページ目。https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/013/177/35kai/2021030404.pdf

なぜ、思ったように感染が収まらないのか。この理由を突き止め、これ以上の感染を未然に防ぐため、検査や感染経路の調査をより充実させる必要性が話されていました。

資料:東京都知事の記者会見・記者会見資料21ページ目。記者会見日時:2021年3月5日(金曜)21時30分~22時08分。資料場所:小池知事「知事の部屋」/記者会見(令和3年3月5日)https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/governor/governor/kishakaiken/2021/03/documents/20210305_rinji_02.pdf

※「積極的疫学調査」については科学コミュニケーター髙橋明子の記事をご覧ください。

「わかんないよね新型コロナ だからプロに聞いてみよう2021春」
ニコ生で放送中! 2/27放送分の振り返り 積極的疫学調査って?
https://blog.miraikan.jst.go.jp/articles/20210316-227.html

加えて、医療現場の負荷を減らし、医療体制を整えることも強調されていました。緊急事態宣言解除の主な指標にもなっているようです。

資料:東京都知事の記者会見・記者会見資料1ページ目。記者会見日時:2021年3月5日(金曜)21時30分~22時08分。資料場所:小池知事「知事の部屋」/記者会見(令和3年3月5日)https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/governor/governor/kishakaiken/2021/03/documents/20210305_rinji_02.pdf

こうした体制変化では、緊急事態宣言の解除後、新規感染者数が再び増加しても対応できるようにすることも目的の一つとしています。

例えば、東京都では新たに「トレーサー」という名前の職員を40名程度募集するそうです。月曜から日曜のうち 月16日または月12日勤務、単年度の採用です。主に保健所や関連施設において、新型コロナウイルス感染症に関する検査・調査の運営、サポートを行う予定です。

リンク:東京都「保健所支援拠点体制拡充 トレーサー班募集」
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/03/05/24.html

お花見を具体的な感染症対策を考える良い機会にするには

今回の記者会見では、緊急事態宣言の延長下での具体的な対策例の一つとして、お花見での飲食禁止が挙げられていました。このように、行動の具体例のみが示されたときは、なぜお花見での飲食は禁止なのか、というふうに考えるのが大事です。

まず、マスクを外して大声を出したり、その状況で飲食をしたりしたら、当然リスクは高くなるでしょう。また、屋外で換気条件は良くても、周りの騒音のため大声で話さなければならないとなれば、リスクが低くなるとは言えません。さらに大人数の場合、相手との距離が遠くなり大声で話す機会が増えそうですし、万が一感染がおこった場合の影響範囲が大きくなります。

このようにお花見の状況を細かく分解して考えると、基本的な感染症対策をイメージする練習にもなります。また、マスクをつけてお花見を静かに楽しむなど、やって良いお花見の形が見えてきます。

堀さんは、お花見をただ禁止するのではなく、お花見をするための工夫を考え、示すことの方が今後の感染症対策にも役に立つ、と話されていました。リスクの高い場面を知ること、そしてそれを避けて楽しむ工夫は、お花見に限らず、ほかのことにもきっと役立つはずです。

緊急事態宣言が明けたら新型コロナ感染症の流行が終わるわけではありません。感染症対策は長期戦です。感染症対策とうまく付き合う方法を探し続けなければなりません。

そういわれればどうなった?海外のようす

新型コロナウイルス感染症は世界的に蔓延しています。たとえ国内で一度収まったとしても、人の往来があれば再拡大の可能性もあります。最近、報道で流れる海外の情報が少なくなった印象ですが、海外の様子はどうなっているのでしょうか。WHOが週ごとに更新している資料を見てみましょう。

(以下資料の引用源)
WHO「Weekly Epidemiological and Operational updates」
https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/situation-reports

2021年3月1日から3月7日までの世界の新規感染者数のようす(2021年3月9日公表・WHO資料「Weekly epidemiological update - 9 March 2021」)

この世界地図は、一週間で人口10万人あたりどれくらいの新規感染者が出ているか、という情報を色分けしたものになります。図の見方について補足しますと、まず、色分け設定がざっくりです。例えば、オーストラリアは該当期間中の新規感染者数は65名と同資料の中では報告されていますが、この色分けでは日本と同じレベルになっています。また、この地図は国単位での情報です。都市部か地方部かなど、感染者数は国内地域ごとに違うはずです。その他にも、人口密度のことも考えないと、実態はつかみにくいですよね。国全体が同じ色で均等に塗られていることにも注意が必要でしょう。

これを見ると、ヨーロッパやアメリカ大陸で濃くなっているのがわかります。一例として、昨年11月ごろ、新規変異株の発生を一因とする新規感染者数の増加がみられたイギリスを見てみましょう。

(以下資料の引用源)
worldometer「COVID-19 CORONAVIRUS PANDEMIC」
https://www.worldometers.info/coronavirus/

イギリスにおける日ごとの新規感染者数(worldometerより。2021年3月17日08:45GMT更新)

このグラフの縦軸は、25k=25,000のように数えてください。まず、9月ごろから11月ごろにかけて新規感染者数が増えているのがわかります。ちょうどこの時期に「Variant VOC 202012/01」と名づけられた変異株の流行が始まりました。また、12月ごろに少し下降傾向になったのち、1月にさらに大きな波を迎えています。新規感染者数の増加は感染の原因となったイベントから2週間ほど経ってから現れると言われています。この1月の上昇は、クリスマスや年末年始の時期の行動に理由があるのかもしれません。

このように調べてみると、各国それぞれ感染の流行を抱えていることがわかります。現在、ワクチン接種も進んでいますが、世界的に終息の足並みがそろうのはまだ先となりそうです。

おわりに

緊急事態宣言、ワクチン、変異株、…と、新型コロナウイルス感染症に関する情報が日々更新されていきます。それでも、私たちが日常で行うべき感染症対策は大きくは変わりません。

当番組は、過去回すべてが無料で見られます。皆さまの感染症対策に少しでもお役に立てますと嬉しいです。

また、文末に今回の放送の話題をリストアップします。
こちらを参考にぜひ放送内容をご覧ください。

「わかんないよね新型コロナ 3月6日(土)放送内容」
https://live.nicovideo.jp/watch/lv330413179

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■今週の堀さんのお仕事から見る、新型コロナ関連のトレンド(4:00)
■緊急事態宣言の延長(首都圏)について(7:40)
東京都知事の記者会見の内容を要約すると(9:55)
医療体制の振り返りをして、次の感染症流行時に生かすことが大事(11:56)
変異株が拡大しても、やるべき対策は変わらない(16:15)
宣言を延長して、どんな対策をする?(17:38)
東京都で追加募集するトレーサーって?(18:05)
保健所のお仕事は幅広い(21:22)
■これまでにいただいた質問にお答えします!(24:46)
二酸化塩素、ウイルスへの効果と人体への実害は?(25:05)
厚労省「空間噴霧をおすすめしていません」(27:10)
次亜塩素酸水について(28:45)
予防対策について考えるポイント(31:35)
紫外線ランプの使い方も注意が必要(36:38)
ワクチンがたとえば6ヶ月間しか効かないとしたら、どうなる?(39:00)
N501Y変異は無いが、E484K変異を有している系統、免疫逃避なの?(40:32)
ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンは1回接種で済むのはなぜ?(45:00)
■休憩タイム:科学コミュニケーター山本の「アリの話のつづき」(48:05)
■質問タイム:役所からの情報なら信用できるの?(1:01:15)
■あの話題、どうなったの?(1:05:45)
各国の状況を見てみる(1:07:05)
出される数値は、国の人口や文化の違いなどの影響も受ける(1:13:28)
お花見を例に、感染症対策のやるべきこと・やってはいけないことを考えてみる(1:16:40)
宴会をするために、検査をする人もいる?(1:22:29)
検査について:抗体、抗原、PCR検査の違い(1:23:25)
検査結果をどう使うかまで、あらかじめ考える必要がある(1:27:35)
■質問タイム
抗体検査は、疫学調査のため?(1:31:06)
国によって死因の認定のやり方が異なる?(1:32:40)
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Author
執筆: 綾塚 達郎(日本科学未来館 科学コミュニケーター)
大学では牛と稲を育てる研究をしていました(修士卒)。民間の教育会社で働いたのち未来館へ。ファシリテーション、執筆、ご来館者との展示前対話といった科学コミュニケーション活動を日々行っています。農業に関するテーマをよく扱っています。また、科学コミュニケーションの手法として演劇や五感を刺激するワークショップなど新しい伝え方へのチャレンジも行っています。