ビジネスシーンにおいて、よく「業務の属人化は解消すべき」と言われます。しかし、属人化の解消はなぜ必要なのでしょうか。仕事はできる人に任せた方が効率がよい場面も少なからずあるはずです。そこで本稿では、属人化に陥る原因、属人化のメリットと問題点について解説した後、属人化解消の方法とナレッジマネジメントの活用手順について紹介します。

属人化とは

属人化とは、特定の従業員がある業務に長けているが、そのノウハウを他の人に展開できていない状態のことです。

「この仕事なら〇〇さんに頼もう」という状態は、どの職場でもよく見られるのではないでしょうか。しかし、頼りにしている従業員が何らかの理由で欠けた場合、誰もその従業員の仕事ができない状態では、業務に支障をきたします。

では、よく見られる属人化のパターンと、属人化に陥る原因について確認しましょう。

1 よく見られる属人化3パターン

業務の属人化に陥るパターンはさまざまですが、よく見られる属人化のパターンは以下の通りです。

  • 地位キープパターン
  • 周りが遠慮パターン
  • 人手不足や多忙パターン

地位キープパターンは、自分の地位を危うくしたくない、今の地位を保ちたいという強い意識により、経験や知識を抱え込むパターンです。仕事の進め方がその従業員特有のやり方になってしまいやすく、具体的な業務内容が見えなくなる傾向があります。

周りが遠慮パターンは、業務を抱えている従業員に対し、周囲の従業員がなんとなく遠慮してしまった結果、属人化に至るパターンです。「できる人がいるのだからあえて自分がやる必要はない」という思考や、責任を持ちたくないという従業員が多い場合に陥りがちです。

人手不足や多忙パターンは、業務のできる従業員に仕事が集中しがちな状況で発生します。業務のできる従業員は他の従業員にノウハウを展開するような余裕がない、あるいは教えられる従業員がおらず、いつまでも業務を抱え込んだ状態になります。

2 属人化に陥る原因5つ

属人化に陥る主な原因としては、以下があります。

  • 業務が複雑でノウハウの伝授に時間が必要
  • ノウハウを持つ従業員の、職場における地位へのこだわり
  • 人手不足でノウハウを教える従業員がいない
  • ノウハウを持つ従業員が多忙で教える暇がない
  • 周囲の遠慮

属人化を解消してノウハウを共有するには、これらの原因を解消することも検討する必要があります。

しかし、属人化は絶対だめだと言うわけではありません。時と場合によっては、属人化がプラスになる場面もあります。では、属人化にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

属人化のメリット

個性を発揮すべき業務や接客業での対応など、簡単にマニュアル化できない領域では、むしろ属人化のメリットが発揮されます。誰にも思いつかないユニークな発想の企画、とっさに見せる洗練された接客などは、簡単にノウハウ化できません。また、マニュアル化できる仕事でも、熟練した従業員に任せた方が効率的です。

では、なぜ「属人化は解消すべき」と言われることが多いのでしょうか。その理由は、属人化の抱える問題点にあります。

なぜ属人化を解消すべきなのか?属人化の問題点3つ

属人化を放置していると、業務に悪影響を及ぼす問題点が浮かび上がってきます。属人化の問題点とは、具体的にどのようなことなのでしょうか。

1 長期的にみて業務効率が低下しやすい

業務の属人化は、短期的には業務が効率よく進んでいるように見えます。しかし長い目で見ると、業務ができる従業員がいない場合に業務が滞り、結果的には業務効率低下となりかねません。

また、業務ができる従業員がノウハウを周囲に展開しないと、周囲の従業員が成長できず、職場全体の業務効率低下を招きます。

2 ダブルチェックができず業務品質が不安定になりがち

業務を1人の従業員が抱え込んでしまうと、その業務が正しくできているかどうかのダブルチェックができません。上司が業務を抱え込んでいる従業員の業務をチェックできればいいのですが、特に専門性が高い業務の場合、上司でもチェックできないというケースもあります。

結果として、本当にその業務は求められる品質に達しているかどうか誰も判断できず、業務品質は不安定になります。

3 社内の風通しが悪くなりやすい

業務を抱え込む従業員がいると、コミュニケーションがスムーズにいかず、社内の風通しが悪くなる傾向があります。

従業員同士で活発に意見を交換する中で、業務の品質が向上することも少なくありません。社内の風通しをよくするためには、1人の従業員が業務を抱え込まず、周囲で協力して仕事を進めるような土壌を作っていく必要があります。

上述した属人化のメリットと問題点の両方を確認して、自社は属人化を解消する必要があるかどうかを、今一度検討してみてください。

属人化を解消する4つの方法

属人化を解消する効果的な方法を4つ紹介します。いずれも重要ですが、ご紹介する順番に対応していくことで属人化の解消が進みますので、まず全体を確認して、どのように進めていくかを検討しましょう。

1 仕事の責任分散化と職務の流動化

まずは、仕事の責任を分散化かつ職務を流動化して、ずっと同じ業務を続けている従業員を別の業務へと回すことから始めましょう。職場の体制として、属人化しにくい環境を整えることが重要です。定期的に別の業務に回ることになれば、自然と次の担当者へ業務を引き継ぐ必要が生じ、業務の属人化を防げます。

2 業務プロセス・業務フロー見直しによる簡素化

業務は、一般的に細かく分割することで単純になり、誰でもできる仕事になります。業務を簡素化すると、誰にでも引き継ぎやすくなるので属人化に陥りにくくなります。

業務プロセス(業務の内容)や業務フロー(仕事の流れ)を見直して、分割できるものは分割することで業務自体を簡素化しましょう。業務の見直しは大変です。しかし、業務そのものの効率化ができるメリットもあり、どこかで時間を取って進めたい対策です。

3 業務内容の標準化・マニュアル化

どうしても簡素化できない業務は、業務内容を標準化・あるいはマニュアル化することを検討しましょう。その業務に詳しい従業員に標準化・マニュアル化を依頼。業務を把握していない同僚が、実際にマニュアルを確認して業務ができるかどうか確認する、という方法で進めましょう。

4 ナレッジマネジメントシステムの活用

業務内容の標準化やマニュアル化が可能な状況なら、ナレッジマネジメントを活用して情報共有まで行える体制作りを進めましょう。情報共有までの作業をルール化することで、情報共有が当たり前になれば、業務の属人化は解消されます。

属人化を解消するナレッジマネジメントの流れ

ナレッジマネジメントシステムを活用することで、業務の属人化を解消できます。ノウハウを蓄積して属人化を解消し、さらに新しいノウハウを生み出すまでの流れについて、順番に解説します。

1 暗黙知の蓄積

日々の業務を進めていくことで、各従業員は、業務のノウハウを蓄積します。個人の中で蓄積されているが共有化していない知識のことを「暗黙知」と呼びます。暗黙知は、単なる知識だけではありません。業務上築いてきた人脈やスキル、アイデアなど業務に関連するノウハウはすべて暗黙知です。

2 暗黙知の表面化と評価

暗黙知を表面化するのには、ナレッジマネジメントシステムが有効です。簡単にノウハウを投稿できる仕組みがあれば、情報を共有しやすい環境が作れます。ただ、自分のノウハウを公開するには、従業員にとって何らかのメリットが得られる仕組みが必要です。

ナレッジマネジメントシステムの中には、ノウハウを公開する従業員への賞賛や評価を可視化する機能を用意している製品もあります。「いいね」や「コメント」機能を活用することで、従業員の情報共有へのモチベーション向上を図りましょう。

有用な情報を多く提供した従業員に対しては、人事面でプラスの評価を与える、という制度もあればさらに効果的です。

3 暗黙知から形式知(標準化・マニュアル化)として蓄積

暗黙知を持つ従業員が提供した情報は、標準化・マニュアル化することで形式知として蓄積されます。ここまで来ると、暗黙知は誰でも利用できる形式知となり、ナレッジマネジメントシステムを利用する全社レベルでの業務効率化が可能です。

4 形式知から新しい暗黙知へブラッシュアップ

蓄積された形式知により、業務のクオリティが上がると、また新しいノウハウが各従業員に蓄積され、新たな暗黙知へとブラッシュアップします。そしてまた暗黙知を共有化して形式知にして、と繰り返していくことで、業務全体の効率化が進められます。

ナレッジマネジメントシステムの活用で属人化の解消を!

属人化は、メリットもありますが問題点も抱えています。従業員のノウハウを全体に共有することで、属人化は解消し、業務全体の品質アップや効率化も可能です。

定期的に職務を流動化して業務を引き継がざるを得ない体制を作るとともに、ノウハウを共有しやすい仕組みとしてナレッジマネジメントシステムを活用しましょう。

ナレッジマネジメントシステムの中には、情報共有のモチベーションアップにもなる機能を備えた製品もあります。ナレッジマネジメントシステムの導入を検討する場合は、ぜひ以下より製品の情報を入手して、製品の比較検討にご活用ください。

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