リアル脱出ゲーム×日本科学未来館『人類滅亡からの脱出』 追加開催 決定!

2021年1月、関東や近畿を中心とした11都府県を対象に、2度目の新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が発出されました。2020年12月11日から開催していたイベント『人類滅亡からの脱出』は、この緊急事態宣言のさなか、会期終了を迎えました。十分な感染症対策をしたうえで体験してくださった方も、社会の状況をかんがみて体験したいけれど我慢してくださった方も、どちらも本当にありがとうございました。

緊急事態宣言中に「ぜひ体験したいが、今は未来館へ行くのがはばかられる…」というご意見をたくさんいただいたことなどを受けて、この度、2021年 春の追加開催が決定いたしました!開催スケジュールなど、詳細はイベント特設サイトをご確認ください。

ということで、今日は改めてこのイベントをご紹介しようと思います。

『人類滅亡からの脱出』ってどんなイベント?

「リアル脱出ゲーム」とは、マンションの一室や廃校、廃病院、そして東京ドームや六本木ヒルズなど、さまざまな場所を舞台に、謎を解いてそこから「脱出」することを目的とした体験型ゲーム・イベントです。

今回の『人類滅亡からの脱出』は、「相次ぐ自然災害や感染症への対策」をテーマに、科学的な知見と謎解きの要素を掛け合わせた完全新作リアル脱出ゲームとして、株式会社SCRAPと未来館が初めてタッグを組んで制作しました。



——— ストーリー

あなたは今日就任したばかりの、とある町の市長。
大きな町ではない。元から住みよい平和なところだから、急がず焦らず、少しずつ町をより良くしていこう……。
そんなあなたの思いを打ち砕くように、突然のニュースが飛び込んできた。

なんと、この町に新型の感染症が広がりはじめているというのだ。感染拡大とともに不確かなウワサも蔓延し、町中が強い不安と大きな混乱に覆われようとしていた。

そして、就任早々、新型感染症対策にてんてこ舞いのあなたに追い打ちをかけるように、さらなる事態が。

感染症、地震、台風……。

手に携えた謎解きと科学の力を使って、次々と襲い来る未曽有の災害から市民の命を守りぬけ。




架空の町の市長となり、館内中に仕掛けられた謎や暗号を解き明かしながら、自然災害や感染症に対する科学的な知見を得るだけではなく、フィクション要素のあるストーリーに没入できるイベントとなっています。

このイベントは、未来館が展開する「ウィズコロナ時代の、広く安全な展示空間を生かした新しい科学館の楽しみ方シリーズ」第3弾として企画されました。

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おためし謎にチャレンジ!

ところで、「そもそも謎解きってなに?」という方のために、ここで一つ、おためし謎をご紹介!



お試し謎_問題4.PNG

こたえはこちら


おためし謎、どうでしたか?難しかったと感じた方もご心配なく。今回のリアル脱出ゲームは、謎解きが初めての方や慣れていない方でも楽しんでいただけるものになっています。自然災害や感染症がテーマだからと言って予備知識は必要ありませんし、謎が解けないときにはヒントを活用することもできます。

友達や家族と一緒に、じっくり話し合いながら解くのもよし。お一人で、意地でもヒントは見ないぞ!という自分ルールで挑んでもよし。自由なスタイルでお楽しみいただけます。

なぜいま、リアル脱出ゲーム×日本科学未来館なのか?

いま私たちは、これまでの価値観や行動様式を大きく変えなければいけない事態に直面しています。災害はある日突然やってくるということを再認識し、世界の不確実さに不安を感じている人もいるかもしれません。あるいは、人と直接会って触れたり笑いあったりすることの価値を改めて実感した人もいるかもしれません。

多くの人が同じ感覚を共有している今だからこそ、このリアル脱出ゲームで体験してほしいことがあります。

体験してほしいこと① 情報の波を乗りこなす

2020年2月初旬、横浜港に到着したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」内での集団感染が引き金となり、あらゆるメディアが新型コロナウイルス関連のニュースで溢れるようになってからおよそ1年が経過しました。

溢れかえる情報はすべてが正しいものばかりとは限りません。誤った情報が広まってしまうことにより、心だけでなく体の健康にも害を及ぼす危険性があります。実際、新型コロナウイルスの対策法として消毒剤の誤った使用方法が広まり、健康被害が報告された例もあります。

情報の波にのまれず、自分や周りの人の心身の健康を守るためには、少しのコツが必要です。

このリアル脱出ゲームでは、一人ひとりが架空の町の市長となり、自らの手で謎を解き、たくさんの情報を見極め、自らの判断で行動を決定していく必要があります。その体験の中に、情報の波を乗りこなすいくつかのコツが散りばめられています。

例えば、情報の出所を確かめる、科学的な事実と照らし合わせる……。

おっと、これ以上はネタバレになってしまうので言えませんが、実際にチャレンジしていただければ、そのコツを体感することができます。

※ ゲームの中では、市長として情報収集を続けなければなりませんが、リアルの世界では、自身の健康を守るためにあえて情報から距離を置くという選択肢もあります。他人の痛みや苦しみに共感するあまり、見ている人の心が疲れてしまうことを“共感疲労と言います。なかには腹痛、頭痛、夜眠れないなどの症状が出ることもあるので、無理をしないことが肝心です。

共感疲労については、こちらのブログで詳しくご説明しています。
科学コミュニケーターブログ:地震のニュースを見すぎて疲れていませんか?

体験してほしいこと② ハザードは一つとは限らない

今回のリアル脱出ゲームの大きな特徴として、複数の災害が同時にやってくるというストーリーになっている点が挙げられます。一つの災害への対策だけをしていれば良いわけではないのです。市長就任早々、大変なことになってしまうのですね…。

ゲームの中でやってくる災害の設定はすべてフィクションですが、現実の世界でも同じようなことは起こりえます。

2020年12月から翌1月にかけて日本海側を中心に記録的な大雪に見舞われ、落雪による死亡事故や大規模な車の立ち往生など様々な事案が相次ぎました。また、2月13日に福島県や宮城県が強い揺れに襲われたのは記憶に新しいところです。

今私たちの目の前にある災害は、新型コロナウイルスだけではありません。

未来館の5階には「100億人でサバイバル」という常設展示があります。大型模型を使って、地球システムの中で私たちがどんな危険のタネに晒されているかを可視化しています。危険のタネは赤い玉で表現され、展示の中では「ハザード」という言葉で表現されています。


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ハザードは、地球上のさまざまな場所で生まれます。例えば、海の上で台風のハザードが発生したり、火山のてっぺんから噴火のハザードが噴き出てきたり…という具合です。そしてそれらのハザードは、人間や生態系の中の生き物たちを直撃することがあります。直撃するハザードは、一度に一つとは限りません。別の場所で生まれた複数のハザードが、たまたま同時に襲ってくることもあるし、とあるハザードが別のハザードの原因となり、連鎖的に襲ってくることもあります。

この視点が、今回のリアル脱出ゲームでも重要になってくるわけです。

新型コロナウイルスという大きなハザードが目の前にある今だからこそ、別のハザードが同時に襲ってくる可能性を見つめなおしてほしい。そして願わくは、別のハザードへの備えを、少しずつでも始めるきっかけにしてほしい。その思いを、少しでも感じていただけると嬉しいです。

体験してほしいこと③ 「もっと知りたい!」を刺激する。新しい科学コミュニケーション手法としてのリアル脱出ゲームの可能性

今回のリアル脱出ゲームの一番の醍醐味、それは、楽しみながら、いつの間にか学べるということです。

最初から「今日は勉強をするぞ!」と身構える必要は一切ありません。ゲームとして謎解きを楽しむ過程で、気が付くと自然と学びが増えている。自然ともっと知りたいという気持ちがわいてくる。そして、次の日からの意識や行動がちょっとずつ変わり始める。

そんな体験を提供できるよう、リアル脱出ゲームをはじめとした物語体験制作のプロであるSCRAPと科学コミュニケーションのプロである未来館が、頭をひねりにひねって作り上げました。

このリアル脱出ゲームは、ただのゲームではありません。新たな科学コミュニケーション手法開発のための挑戦なのです。

そして、皆さんは、その最初の目撃者となるのです!






……え?そんなにハードル上げて、本当に大丈夫かって……?

そう思ったあなたは、きっと謎解きに向いているはずです。なぜなら、リアル脱出ゲームに必要な視点は、まず「疑う」ことだから。誰かの言葉を鵜呑みにせず、自分の目で確かめ、自分の頭で考え抜くこと。

それは、科学の世界でも、普段の生活の中でも同じです。

考えることをやめない姿勢にこそ、この不確実な世界を生き抜くヒントがあると信じています。



※リアル脱出ゲームは㈱SCRAPの商標登録です。

関連リンク

  • 『人類滅亡からの脱出』- イベントページ
  • 『人類滅亡からの脱出』- 特設サイト
  • 感染拡大防止に関する未来館の取り組みについて
  • 科学コミュニケーターブログ:地震のニュースを見すぎて疲れていませんか?

関連リンク

  • 「ウィズコロナ時代の、広く安全な展示空間を生かした新しい科学館の楽しみ方シリーズ」第1弾:空間インスタレーション「ひらめきの庭」
  • 第2弾:未来を考える映画イベント「Cinema未来館」


Author
執筆: 園山 由希江(日本科学未来館 科学コミュニケーター)
幼少時代毎週のように地元の科学館に通い詰め、科学にトキメキを覚えました。大学時代、生物工学の教授がつぶやいた「僕はこんなにも不思議で面白いと思っているけれど、この感覚をみんなとシェアするためにはどうしたら良いだろう」という嘆きに強い共感を覚え、その答えを探すため未来館へ。