KDDI総合研究所(KDDI総研)は3月15日、遠隔からの「乾杯」や「お酌」といった食事中の身体的コミュニケーションを可能にするグラス型コミュニケーションシステム「Sync Glass」を開発したと発表した。

  • グラス型コミュニケーションシステム「Sync Glass」

グラス型のデバイスには、情報処理や通信を行うIoTモジュール、グラスの動きを取得するセンサ、振動をリアルに表現するという触感提示デバイスおよび触感に合わせて光るLEDが搭載。インターネット経由でサーバに接続し、乾杯の動作検出と同時に乾杯している遠隔地の他の利用者を検索して触感情報を相手のグラスに向けて伝送する。

また、乾杯だけでなく、お酌の動作をすることで、お酌の触感を同様に伝送することも可能。お酌をされた人のデバイスは、お酌された量の分だけLEDが明るく光り、デバイスを傾けたり回したりすると中で飲み物が動いている触感を体感することができるとのこと。

  • 感触の伝送と生成の仕組み

同システムは、2つの信号波形(衝突感を表現する減衰振動と摩擦感を表現する白色雑音)のみを用い、その信号波形の形状を定める数値(「周波数」「強度」「減衰率」「再生間隔」)を動作に応じて制御するモデルを構築することにより、多様な触感をリアルタイムに合成する技術を活用している。

同技術により、「乾杯」感(グラスの衝突感)、「お酌している/されている」感(液体の衝突感)、「飲み物がグラスの中で動いている」感(液体の摩擦感×衝突感)の触感を、グラスを動かす速度や傾ける角度に応じて変化させている。

同社は今後、ハプティクス(触覚技術)分野の研究を推進し、同技術を活用したユースケースを拡充しながら技術検証を行う方針だ。