20代で社会人になり、将来のお金について興味を持ち始めた人もいることでしょう。ここでは、20代の独身者の貯蓄データをもとに、これからのお金の備え方についてお伝えします。

  • データから見る20代の平均貯金額はいくら?

■20代の平均貯蓄額と中央値は?

知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和2年)」によると、20代の金融資産保有額の平均額は203万円です。ここでいう金融資産とは預貯金はもちろん、積立型の保険や株式、投資信託などが含まれます。この中で、特に貯蓄の割合は高く、203万円のうち約140万円が預貯金、次いで株式25万円、投資信託13万円となっています。

一方で、20代の金融資産保有額の中央値は81万円です。そして、約半数の人が金融資産保有額は100万円未満であると回答しています。ここから平均額と中央値には、大きな差があることが分かります。中央値とは、データの代表的な値、全体の中央に位置する値なので、平均額より中央値の方がしっくりくる人は多いかもしれません。

  • 20代の金融資産保有額(金融資産保有世帯)(「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和2年)」より一部引用)

20代は学生もいれば社会人もいますし、20代前半の人の給料と20代後半の人の給料では金額が全く異なるでしょう。 20代で収入がないと答えた人もいますし、金融資産を保有していないと回答した人も約40%います。

したがって、単純に20代の平均値や中央値を参考にすることはできません。そこで、もう少し詳しくデータを見てみましょう。次に、収入別の金融資産保有額を確認します。

■20代の平均貯蓄額を年収別にチェック

  • 20代の年収別金融資産保有額(「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和2年)」より一部引用)

20代のうち、収入が300万円未満(収入がない世帯含まず)の世帯において、金融資産保有額として最も多かった回答は「保有していない」という回答です。実は、約4割の人が金融資産を保有しておらず、3割が100万円未満と回答しています。平均値は76万円ですが、中央値は5万円と大きな差があります。

次に、収入が300~500万円未満の世帯を見ると、金融資産を保有していないと回答した割合は約30%、そして100万円未満と回答した割合も約30%です。平均値は164万円ですが、中央値は57万円で、ここでも大きな差があります。

「みんな、どれぐらい貯蓄しているのかな」「私の貯蓄額は多いのか、少ないのか」と気になるところかもしれませんが、20代なら実家暮らしの人もいれば、一人暮らしの人もいるでしょう。また、住む地域によっても収入や支出は大きく異なりますから、金額はあまり参考にはならないかもしれません。

■20代で金融資産を持っている人はどのくらいいる?

  • 20代の年間手取り収入(臨時収入を含む)からの貯蓄割合(金融資産保有世帯)(「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和2年)」より一部引用)

ただ、20代で金融資産を持っている世帯の貯蓄率は平均18%で、最も多い貯蓄割合は0%(貯蓄しなかった)ですが、次に割合が多いのが35%以上となっています。35%以上も貯蓄ができれば優秀です。貯蓄率を見ると、二極化している印象を受けますが、貯蓄をしている人は、しっかり行っているということがうかがえます。

しかし、これらは相場のデータであって、正解ではありません。大切なのは、自分なりの計画性を持った貯蓄です。

■貯蓄をする目的とは

金融資産を保有する目的のうち、最も回答の割合が多かったのは「災害や病気への備え」の約45%でした。次いで、「目的がない」が約40%、老後の生活資産が約33%となっています。20代から老後を見据えて、貯蓄をしているのは素晴らしいですね。結婚して子どもが生まれると、老後資金のために貯蓄するのが厳しくなるかもしれませんから、今のうちにしっかり貯蓄をしておくと良いですね。

  • 20代の金融資産の保有目的(金融資産保有世帯)(「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和2年)」より一部引用)

また、「目的がない」と回答した割合が約40%ありましたが、貯蓄は目的があった方が貯まりやすいです。結婚、海外旅行、夢の実現のためなど、これから歩みたい人生を思い描いて、必要資金を見積もってみましょう。

その金額に向けて、今からいくら積み立てれば良いか逆算して貯蓄すれば、目的が達成しやすくなります。もし、積み立てするのが厳しい金額であれば、節約も必要になるでしょう。ただ、収入から生活費を使い、余ったお金を貯蓄していては、目標額を達成できる可能性は低くなります。貯蓄する時は、先取り貯蓄が鉄則です。先に貯蓄をして、残ったお金で生活するようにしましょう。

■資産運用も視野に入れる

そして、貯蓄を成功させるためには資産運用も取り入れましょう。つみたてNISAやiDeCoは、長期運用を前提とした資産形成の制度です。20代であれば、長期投資が十分可能です。どれだけ早くからお金の準備を始めたかで、その後の人生の資金の余裕具合が全く違います。

特に元本保証のないつみたてNISAやiDeCoは、資産形成に時間がかかりますから、早めに始めましょう。つみたてNISAやiDeCoは、毎月口座からお金が引き落とされますから、先取り貯蓄になります。

資金準備は早ければ早いほど良い結果につながりやすいです。まだ始めていない人は、老後はiDeCo、その他の目標額はつみたてNISAを活用して資産形成に取り組むと良いでしょう。

▼出典
知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和2年)」