BABYMETAL、三吉彩花などを輩出した「さくら学院」が残した芸能界への功績

女優・声優として活動する堀内まり菜が3月10日にアルバム『ナノ・ストーリー』でソロデビューした。堀内は、8月31日に活動終了するアイドルグループ「さくら学院」の卒業生で、ほかにソロアーティストとして活動する武藤彩未をはじめ、女優の三吉彩花やBABYMETALのメンバー、声優の佐藤日向などが卒業生に名を連ねる。さくら学院が世に送り出した幅広い才能を紐解き、同グループが芸能界に果たした役割を総括する。

【写真】グッと大人になった武藤彩未、山出愛子、堀内まり菜ら卒業生の現在の姿

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さくら学院は大手事務所のアミューズに所属する、全国から集められた女子小中学生で2010年に結成。現在は白鳥沙南、野中ここな、田中美空など12歳〜15歳の8名が所属している。他のアイドルグループと大きく違うのは、所属できる期間が義務教育期間のみと決められていたこと。中学を卒業すると同時にグループを卒業するシステムが取られ、「成長期限定ユニット」と呼ばれた。

学院と付いているだけあり、クッキング部、バトン部、新聞部、帰宅部など、さまざまな部活を模したグループ内ユニットが組まれた。BABYMETALはもともと2010年に「重音部」として、SU-METAL(中元すず香/2012年度卒業)、MOAMETAL(菊地最愛/2014年度卒業)、YUIMETAL(水野由結/2014年度卒業)の3人で、さくら学院内で結成。2013年からは課外活動という位置づけになり、同年シングル『イジメ、ダメ、ゼッタイ』でメジャーデビューした。

アイドルとヘヴィメタルを融合したコンセプトが評判となり、世界各国でリリースやツアーを行いワールドワイドに活動。2020年末には、『第71回NHK紅白歌合戦』に初出場を果たした。2018年にYUIMETAL脱退以降は、岡崎百々子(2017年度卒業)と藤平華乃(2019年度卒業)がサポートダンサーとして活動に加わっている。


アーティストとして活動するさくら学院卒業生では、初代生徒会長で2011年度卒業の武藤彩未、2017年度卒業の山出愛子がいる。武藤は2014年にアルバム『永遠と瞬間』でメジャーデビュー。海外留学を経て、現在は川嶋あいや井上苑子などが在籍する「つばさプラス」に所属し、昨年は自ら作詞に参加したミニアルバム『あの頃、君に渡したプレイリストを今でも僕はくちずさむ。』をリリース。80年代アイドル好きであることを全面に押し出し、アーティストとして新たな展開を見せている。

山出は、さくら学院在学中から自作曲を発表し、2018年にBEGINの上地等プロデュースによるシングル『スマイル』でソロシンガーソングライターとしてデビュー。昨年は『はなまる』『365日サンタクロース』を配信リリースした

さくら学院卒業生の多くは、在学中からの活動を引き継ぎモデル・女優として活動。その中でも2011年度卒業の三吉彩花と松井愛莉は成長株。三吉は、さくら学院在学中から女優・モデルとして幅広く活動し、初主演映画『旅立ちの島唄〜十五の春〜』で、第67回毎日映画コンクールと第35回ヨコハマ映画祭で新人賞を受賞した。これまで『GTO』『エンジェルハート』『幕末グルメ ブシメシ!』など多くのドラマ出演を経験。3月10日から上演のミュージカル『Daiwa House Special Broadway Musical「The PROM」Produced by 地球ゴージャス』では、舞台に初挑戦する。

松井も卒業後はモデル・女優として活動し、映画『ビリギャル』やドラマ『グッドドクター』『僕の初恋をキミに捧ぐ』などに出演。バラエティにも進出し、NHK Eテレ『沼にハマってきいてみた』のMCとしても活躍している。


アニメ好きが高じて声優の道を選んだのは、2013年度に卒業した佐藤日向だ。佐藤は2016年に、国民的アニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』に出演。Aqoursのライバルユニット・Saint Snowの鹿角理亞役を好演し、メインのAqoursに迫る人気で2020年にSaint Snowとして単独ライブを開催した。その後もメディアミックス作品『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』、『D4DJ』といったメディアミックス作品にメインキャストの一人として出演。声優としてだけでなく、作品のライブステージに出演している。

佐藤と同じく2013年度に卒業した堀内まり菜は、アニメ『ソマリと森の神様』やメディアミックスコンテンツ『IDOL舞SHOW』などに声優として出演。3月10日には自身が全曲の作詞作曲に携わったアルバム『ナノ・ストーリー』でソロデビューし、活動の場をさらに広げている。

さくら学院卒業後は音楽学校の道に進み、『ナノ・ストーリー』に収録された楽曲には、ここに至るまでの葛藤や音楽にかける思いが込められている。また声優4人組のコーラスユニット・ヒーラーガールズを結成し、3月26日に有名アニソンをカバーしたミニアルバム『Voices vol.1 ~アニソンコーラスカバーアルバム~』をリリース。好きな音楽とアニメに関わるという2つの夢を、同時に果たしている。



多くのアイドルがグループを卒業後、自分の夢にたどり着けずにいる中で、なぜさくら学院卒業生の多くが業界の第一線で活躍しているのか。もちろんその後の本人の努力もあるだろうが、卒業時期を自分で決めるのではなく、中学3年で強制的に卒業と決められているシステムに一因があるだろう。

嫌が応でも卒業後の道を考えざるを得ない状況が、人より早く大人へと成長させる。ただ漠然とアイドルを続けるのではなく、しっかりとした夢や目標を持ち、そのための足がかりを作って行く場がさくら学院だった。さくら学院という優良なタレント育成の場がなくなることは、芸能界として大きな損失になるかもしれない。

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