夫婦サラリーマンの共働き世帯で夫が失業した場合、夫は妻の社会保険上の扶養に入り第3号被保険者になることができるのでしょうか。また健康保険や介護保険の扱いはどうなるのでしょうか。

◆夫が失業した時に気になる社会保険制度
夫婦がサラリーマンの共働き世帯で夫が失業した場合、夫は妻の社会保険上の扶養に入り第3号被保険者になることができるのでしょうか。また健康保険や介護保険の扱いはどうなるのでしょうか。

今回は夫が失業した際に気になる社会保険制度を解説してみます。

◆第3号被保険者とは?
日本国内に住む20~60歳未満の方は国民年金に加入しなければならず、その加入種別は以下の3種類に分けられています。

第1号被保険者:農業、自営業者、学生など
第2号被保険者:サラリーマン・公務員など厚生年金の加入者
第3号被保険者:第2号被保険者の配偶者

国民年金には3種類の加入区分があります(政府広報オンライン)
なおそれぞれの保険料の負担については、第1号被保険者であれば月額16,540円(令和2年度)を自ら納める必要がありますが、第2号被保険者は給与から天引きされる厚生年金保険料に国民年金保険料が含まれているため自ら保険料を納めることはありません。

また第3号被保険者も自ら保険料を納めることはありません。

参考資料:政府広報オンライン「知っておきたい年金の手続き」

◆社会保険上の配偶者に男女の区別はありません
第3号被保険者とは厚生年金加入者の配偶者であることは前述の通りですが、この場合「配偶者」に男女の区別はありません。

一般的にはサラリーマンである夫の扶養に妻が入り、第3号被保険者となるケースが多いかと思いますが、サラリーマンである妻の扶養に夫が入り、第3号被保険者となることも可能です。

なお第3号被保険者になるためには一定の要件を満たす必要があります。

◆第3号被保険者になるための要件とは?
配偶者が第3号被保険者となるための要件は以下の3つです。

(1)日本国内に住んでいること(*)
(2)20歳以上60歳未満であること
(3)年収が原則130万円未満(60歳以上や障害者は180万円)かつ、同居している場合は夫(妻)の収入の半分未満、別居している場合は夫(妻)からの仕送り額未満

*夫(妻)の海外赴任に同行し海外に住む場合は特例が認められることもあり(海外居住特例)

(1)(2)は読んでそのままですが、(3)は分かりにくいので解説してみます。年収130万円未満とは、年収がこの額を超えると社会保険料は本人が負担しなければならないとの決まりがあるためです。

なお「原則」となっているのは、年収130万円未満であっても、勤め先(パート先含む)で厚生年金に入っているのであれば、第3号被保険者にはなれないためです。

また「同居の場合は収入が半分未満、別居の場合は仕送り額未満」とは、扶養されていることを判断する際の金額基準として設定されているものです。

◆健康保険はどうなるの?
年金制度において第3号被保険者となる配偶者を考える際、男女の区別はないことは前述の通りですが、健康保険ではどうなのでしょう。

実は年金制度における第3号被保険者になるための基準と、健康保険における扶養(*)の基準はほぼ同じです。

具体的には健康保険における国内居住要件や収入要件は年金制度のそれと同じですし、配偶者を扶養する際に性別も問われませんので、要件さえ満たせば夫が妻の扶養となることも可能です。

*協会けんぽや健康保険組合での話であり、国民健康保険に扶養の概念はありません。

◆介護保険はどうなるの?
40歳以上の方であれば介護保険にも加入しなければならず、加入種別は以下の2種類に分けられています。

第1号被保険者:65歳以上の方
第2号被保険者:40~65歳未満の健康保険(国保、協会けんぽ、健保組合)加入者

介護保険には2種類の加入区分があります(厚生労働省パンフレット)
介護保険料ですが、第1号被保険者であれば市町村や特別区が年金からの天引きで徴収しますし、第2号被保険者であれば加入している医療保険が健康保険料と共に徴収しています。

また介護保険は40歳以上であればそれぞれが被保険者となり、本来は個々で保険料を負担する必要があります。しかしながら国保以外の健康保険、つまり「協会けんぽ」や「健康保険組合」で扶養されている40~65歳未満の方(配偶者含む)については保険料の負担はありません(*)。

*厚労省より「特定被保険者制度」を受けた健康保険組合の場合、扶養している方の中に40~65歳未満の方がいれば本人が40歳以上でなくても保険料を徴収されます。

◆まとめ
いかがでしたでしょうか。夫婦がサラリーマンとして働く共働き世帯において、夫が失業してしまった場合に気になる各種社会保険制度について解説してみました。

ポイントをまとめると

・年金制度の第3号被保険者となる配偶者に男女の区別はない
・ただし第3号被保険者となるには要件(居住、年齢、年収)を満たす必要がある
・健康保険の扶養となる際も男女の区別はない
・介護保険は自ら保険料負担する必要があるが、健康保険の扶養に入っていれば保険料負担がない(65歳以上の扶養者、特定被保険者制度の健康保険組合など一部例外あり)

以上のようになるかと思います。

文=川手 康義(マネーガイド)